本田技研工業は9月28日、来春発売予定の新型軽商用EV「N-VAN e:(エヌバン イー)」の関情報を公式ホームページで先行公開 した。
同社は、来たる2050年のカーボンニュートラルを視野に、2030年の国内四輪車の100%電動化(ハイブリッド車を含む)を目指しており、来春発売予定の同・軽商用EVを皮切りにEV展開を本格スタートさせる構え。
そこで現在、N-VAN e:プロトタイプの実用性検証を、日本に於いては6月からヤマト運輸で。海外では9月からインドネシア国営石油会社のプルタミナと実施。商品配送時の実用航続距離、走行性能、搭載蓄電池信頼性確認、充電プロセス等を検証中だ。
なお、実証の詳細は「Honda Stories (ホンダストーリーズ)」で紹介されている(記事末にリンク有)。加えて東京ビックサイトで開催予定の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」(プレスデー:10月25日~26日、一般公開日:10月28日~11月5日)でのプロトタイプ車両の展示も予定している。
[N-VAN e:の概要]
1.パッケージング
・荷室フロア下搭載のバッテリーを薄型化してフラット床を低く、反対に天井を高くすることによって大容量な荷室空間を確保した。加えて助手席から荷室に至る導線上もフラットして長尺の荷物も積めるようにした。なおセンターピラーのない助手席側の大開口スライドドア採用はN-VANに準じたもの。
※写真はガソリンモデルのN-VAN。実際の仕様とは異なる。
2.デザイン
・エクステリアは従来のN-VANデザインを踏襲し、使用済み自動車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」をフロントグリルなどに使用した。
・インテリアは、エアコン操作部やシフトポジションスイッチなどの機能をドライバー席側に集中配置し利便性を高めた。
3.ダイナミクス
・EVの特性である低振動・低騒音により、ガソリン車に比べて走行時や停車中の音が軽減されるため、早朝や深夜でも静かに移動・配送できる。
・電動サーボブレーキを軽商用バンとして初採用(自社調べ)し、スムーズなブレーキの掛かり方で車内の積載物を荷崩れさせづらいコントロール性を実現した。
・積載時を配慮し、ブレーキディスクローターのサイズアップや、Dレンジと比べて減速度を大きくするBレンジを設定した。
4.パワーユニット
・電動アクスルと蓄電池の小型化並びに高電圧部品の集中配置で、商用車に必要な荷室空間とWLTCモードで210km以の航続距離の確保を目標に開発。エアコンの消費電力を抑え、実用航続距離の延長に寄与するECONモードも設定した。
5.充電・給電
・6.0kW出力の普通充電器に対応したことで充電時間は約5時間に。夜間に充電を行えば翌日はフル充電の状態で使用を開始できる。
・充電リッドを車両の前部に配置することで充電・給電時にも充電コードなどを気にせず、車の乗り降りやドアの開閉をおこなえる。
・AC車外給電用コネクター「Honda Power Supply Connector(パワーサプライコネクター)」の利用で、内蔵バッテリーで合計1500Wまでの電化製品の使用が可能。
また可搬型外部給電器「Power Exporter e: 6000(パワーエクスポーターイー)」、「Power Exporter 9000」の利用により、それぞれ最大6kVA、9kVAの高出力給電も可能にした。これにより災害時などに出力の高い冷蔵庫や冷暖房器具など、複数の電化製品の同時使用ができる。
6.Honda CONNECT(ホンダコネクト)
・スマートフォンに「Hondaリモート操作アプリ」をインストールすることで、「お出かけ前タイマー設定」、「充電待機時間設定」、「最大電流量設定」、「最大充電量設定」、「外部給電下限SOC設定」の遠隔操作を可能にした。
– 出発前タイマー設定:アプリで出発時間をタイマー設定し、設定時間に合わせて車内の温度を快適にしておくことができる。併せて、外気温に応じてバッテリーを最適な温度にコントロールすることで、冬場でもバッテリーが温まった状態で走行が開始できることで航続距離最大化に寄与している。
– 充電待機時間設定:バッテリーの充電時間帯を曜日単位で設定することが可能。電気代の高い時間帯を避けた充電設定ができる。
– 最大電流量設定:充電時の電流量の最大値を設定することで、家庭や事業所で電力会社との契約容量を超えないような充電も可能とした。
– 最大充電量設定:車を長期間使用しないときなど、充電量の上限を80%~100%の間で設定可能。バッテリーの負担を抑え、性能劣化を抑制する。
– 外部給電下限SOC設定:「Honda Power Supply Connector」などを使用して、アウトドアやレジャーなどで電化製品を使用した際に、あらかじめ設定した残充電量になると自動で給電を停止。給電による電気の使い過ぎを防ぐ。
7.安全機能
・安全運転支援機能を全タイプに標準装備し、軽商用バンとして初めてサイドカーテンエアバッグを運転席と助手席に標準装備した。
(参考)N-VAN e:に関するHonda Storiesの記事
・「N-VAN」が電動化!開発チームのプロジェクトリーダー4人が語る軽EV挑戦の裏側
・最前線の配送現場、実用性検証で得た走行データで確信から確証へ ヤマト運輸との「答え合わせ」で見えてきた「N-VAN e:」の手応え