ホンダが2月7日発表した2020年3月期第3四半期累計(2019年4~12月)連結決算(国際会計基準)は四輪、二輪車ともに販売台数が減少し、営業利益が前年同期比6・5%の減益となった。ただし、本社で決算発表会見した倉石誠司副社長はコストダウン効果などにより「為替や一過性影響を除くと実質682億円の増益」と強調した。(佃モビリティ総研・松下 次男)
営業利益は682億円の増益。通期の販売台数、業績見通しを前回公表値から上方修正
また、日本でN-BOXやフリードなどの好調な販売を踏まえ、通期の販売台数、業績見通しを前回公表値から上方修正した。売上高を1千億円、営業利益を400億円、当期純利益を200億円それぞれ前回公表値から増やし、15兆1500億円、7300億円、5950億円予想へと変更した。
これが実現できれば、営業利益は前期の7263億円を上回り、増益となる。通期の四輪車販売台数見通しは日本で1万台のアップ、欧州で5千台のダウン予想の498万台(前期比4・8%減)へ上方修正した。二輪車は前回公表値から変更なし。
新型コロナウイルスの影響が懸念される中国事業については、湖北省の武漢に工場のある東風本田汽車については2月17日から、広州の広汽本田汽車については2月10日から再開の準備に入る考えを示した。
中国事業、武漢工場の改修は計画通りであれば影響は軽微。長期化すれば影響が避けられない
倉石副社長によると、武漢の工場については一部生産ラインの改修がストップしているため、まずそれを1週間程度かけて完成し、そのあと従業員の安全や部品の確保を確認し、再稼働に踏み切る方針だ。
中国の四輪車市場が縮小するなかで、ホンダは同市場で前年同月比7・8増(9か月累計)の121万9千台の販売台数を達成。さらに新型車の投入効果を高めるなどのために、春節期間を利用して工場の改修に乗り出していた。それが新型コロナウイルスの影響で、中断していたものだ。
現状、計画通りに再開できれば「影響は軽微」とみているが、長期化すれば影響が避けられない。いずれにしろ、現時点では「精査中」とし、工場再開に向け準備に着手するというのが実態だ。
グループ販売台数は四輪で380万9千台の4・1%減、二輪は1503万8千台の4・1%減に
2019年度第3四半期累計の連結業績は売上高が11兆4729億円で前年同期比3・1%減、営業利益が6392億円、当期純利益が4852億円で同22・1%減となった。
ホンダグループの販売台数は四輪車が380万9千台で同4・1%減、二輪車が1503万8千台で同4・1%減の実績となった。
主要市場をみると、日本の四輪車販売は50万2千台と市場の伸びを下回る同5・1%減となった。新型N-WGNの部品供給制限に伴い車両生産が一時ストップしたなどが影響したため。それも解消し、N-BOXなどが好調な販売となっていることから、通期見通しでは前回公表値を上方修正した。
米国はパスポートの投入効果やHR-Vの増加などにより市場の伸びを上回る
米国はパスポートの投入効果やHR-Vの増加などにより市場の伸びを上回る123万8千台(同0・3%減)の四輪車販売となった。さらに通期見通しではライトトラックの増加を図り、前年度上回る販売を目指す。
二輪車はフィリピンで増加したものの、最大市場のインドで景気後退や失業率の悪化などによる市場縮小の影響を受け同16%減の377万1千台の販売にとどまった。
このほか、インドネシア、ベトナム、タイ、パキスタンなどのアジア市場でも二輪車の販売台数は前年同期を下回った。
通期の地域別四輪車販売台数見通しは、日本65万5千台、北米186万5千台、欧州13万5千台、アジア211万台、その他市場21万5千台を見込んでいる。