通期見通しを上方修正、売上収益13兆500億円、営業利益4200億円予想へ
ホンダが11月6日発表した2021年3月期第2四半期(4~9月)連結決算(国際会計基準)は米中などで四輪車販売が想定以上に回復してきたことから営業利益が1692億円へと黒字転換した。通期業績見通しもこれに合わせて前回予想を上方修正。倉石誠司副社長は「すべての領域で抜本的な改革を実行するとともに、想定を超える販売の伸び」が収益改善につながったと決算説明会で述べた。(佃モビリティ総研・松下次男)
2021年3月期通期の連結業績見通しは前回予想から売上収益を2500億円引き上げ13兆500億円(前期比12・6%減)へ、営業利益を2200億円引き上げ4200億円(同33・7%減)、最終利益を2250億円引き上げ3900億円(同14・4%減)へとそれぞれ上方修正した。
また、年間の販売台数見通しも二輪車は前回予想の1480万台を据え置いたが、四輪車は10万台上回る460万台へ上方修正した。
2020年度4~9月期の連結業績は新型コロナウイルス感染症の影響で赤字決算だった第1四半期から改善し、売上収益が5兆7751億円で前年同期比25・2%減、営業利益が1692億円で同64・2%減、親会社の所有者に帰属する四半期利益が1600億円で同56・6%減となり、黒字転換した。
上期の収益を事業別にみると、二輪車は796億円の営業利益を達成し、売上高営業利益率が10・4%だったが、四輪車事業は705億円の営業損益となった。上期の新車販売台数は四輪車が204万5千台で前年同期比20・2%減、二輪車が632万2千台で同36・9%減となった。
コロナ禍の影響は、第2四半期の伸びが経済活動が再開されたころから想定以上に
主要地域別の四輪車販売をみると、日本はN-WGNや新型Fitなど前年同期を上回るモデルもあったが、6か月間の販売台数は28万2千台と前年同期比25・8減と全需の販売を下回った。ただし足元では回復の兆しも見えており、年度の販売見通しを上方修正した。
米国は68万2千台と同18・5%減の実績となり、市場の伸びを上回った。小型SUVや小型トラックが好調で、「インセンティブ(販売奨励金)が業界を大幅に下回った」と収益性も回復。生産も着実に拡大しており、ほぼ「通常の在庫水準に戻った」と述べた。
米国の年間需要は「1400万台規模と前年の8割の水準」を予想。米GMとの提携では、「ウインウイン関係で相互に補完する」としたが、新たな内容には言及しなかった。
中国は84万4千台と同7・1%増となった。しかし、新型コロナ感染症の影響で春先に生産がストップしたこともあり、市場の伸びに届かなかった。
二輪車は中国や米国などで回復するものの、主力市場のアジアで新型コロナ感染症の影響やインドネシアでの融資引き締めなどにより市場が低迷した。インド、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、パキスタンの6か国の卸売実績は462万9千台で同41・6%減となった。
特にインドネシアでは5割を超える落ち込みで109万3千台にとどまり、インドでも149万5千台と同44・2%減となった。
通期のグループ販売台数見通しを地域別にみると、四輪車は日本が62万台、北米153万5千台、欧州11万台、アジア220万5千台、その他市場13万台を計画。前回見通しに比べ、日本で1万台、欧州で5千台、アジアで8万5千台それぞれ引き上げた。
二輪車は前回見通しから日本で3万台、北米で3万5千台、欧州で1万台、その他市場で10万台それぞれ引き上げた一方で、アジアは17万5千台引き下げ1293万台予想へと修正した。
倉石副社長は新型コロナ感染症の影響についてロックダウンなどの「規制が解除され、経済活動が再開されたころから第2四半期の伸びは想定以上」と述べるとともに、通期見通しは特別なことがないことが前提と表明。
このため、ここへきて欧州などで広がっている第2波、第3波の新型コロナ感染症の拡大に対し「要ウオッチ」と懸念を示した。