新たな燃料電池車は米オハイオ州PMCで生産し、米国と日本で発売
本田技研工業傘下のアメリカン・ホンダモーターは6月5日( 米国初 )、米国オハイオ州メアリズビルの四輪車生産拠点パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)で、新型燃料電池車「CR-V e:FCEV(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」の生産を開始した。今年、米国および日本での発売を予定している。
CR-V e:FCEVは、外部から充電可能なプラグイン機能を持つ燃料電池車。燃料電池車が持つ長い航続距離と水素の充填時間の短さなどの特長に加え、家庭や外出先で充電できるプラグイン機能を加えることで利便性を大きく高めた。これによりCR-V e:FCEVの一充填走行距離は270マイル以上、EV走行可能距離は29マイル以上となっている( 米国仕様車。EPA<米国環境保護庁>が定める基準 )。
CR-V e:FCEVに搭載されている燃料電池システムは、本田技研工業とゼネラルモーターズ(GM)が共同で開発。両社で設立した合弁生産拠点である米国ミシガン州ブラウンズタウンのFuel Cell System Manufacturing LLC( FCSM )で生産する。
一般的に、燃料電池システムの普及・活用拡大に向けては、コストや耐久性が主な課題とされる中、両社の知見やスケールメリットを生かしたこの燃料電池システムは、電極への革新材料の適用やセルシール構造の進化、補機の簡素化、生産性の向上などを図った。
燃料電池システム活用に向けたカーボンニュートラルに係る取り組み
その結果、燃料電池車「CLARITY FUEL CELL( クラリティ フューエル セル/2019年モデル )」に搭載していた燃料電池システムに対して、コストを3分の1に低減させた。また耐食材料の適用や劣化抑制制御により、耐久性を2倍に向上させ、耐低温性も大幅に向上した。
なお本田技研工業では、燃料電池システム活用のコアドメインとして、燃料電池車( FCEV )に加え、商用車、定置用発電所、建設機械の4つを定め、事業機会を追求するため、他社との協業にも積極的に取り組んでいる。
同社では、「2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラル実現を目指すと共に、製品だけでなく、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロの実現に向けて、〝カーボンニュートラル〟〝クリーンエネルギー〟〝リソースサーキュレーション〟の3つを柱に取り組んでいます。
その中で水素を、電気とともに有望なエネルギーキャリアとして位置づけています。当社は今後、コア技術である燃料電池システムの搭載・適用先を拡大していくことで、水素をつかう領域で、社会のカーボンニュートラル化を促進し、水素需要の喚起に貢献していきます」と結んでいる。