インド市場の四輪、二輪の販売減が響く
ホンダが11月8日発表した2020年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績(国際会計基準)は、インドでの販売減や為替影響などが響き減収減益となった。加えて、部品調達上のトラブルから新型車の生産が滞ったことや下期も厳しい市場環境を予測していることを踏まえ、通期見通しを下方修正した。倉石誠司副社長は本社で開いた決算発表会見で「米中などの主要国では市場の伸びを上回っており、前年越えを目指す。一方で、品質問題で販売が伸ばせなかった。インド市場の低迷も大きい」と述べた。(佃モビリティ総研・松下 次男)
4~9月の6カ月累計業績は減収減益
4~9月の6ヵ月間累計の連結業績は売上高が7兆7253億円で前年同期比1・8%減、営業利益が4726億円で同8%減、当期純利益が3688億円で同19%減となった。四輪車の販売台数は256万2千台と同0・4%増となったものの、インドでスクーターなどが落ち込み二輪車の販売台数は1001万9千台と同6・1%減となった。
部品品質問題について倉石副社長は調達先の生産ラインで不具合が見つかり、8月に全面改良した新型軽ワゴンの「N-WGN」の生産を一時止めて品質確認後に生産再開したため、販売台数に影響が出たという。新型「フィット」も同じ部品を使うため、発売を延期せざるを得なかったとし、「製造ラインでばらつきが出たのが原因だ。生産量が増えたのも要因」と分析した。
為替影響や日本での部品供給制限影響なども利益を圧迫
通期の連結業績見通しは売上高15兆円(前期比5・3%減)、営業利益6900億円(同5%減)、当期純利益5750億円(同5・8%減)に修正。期初見通しから売上高で6000億円、営業利益で800億円、当期純利益で700億円それぞれ引き下げた。グループ販売台数については四輪車497万5千台(同6・5%減)、二輪車1990万台(同1・7%減)の販売計画へ下方修正し、前回見通しからそれぞれ13万5千台、45万台引き下げた。
通期の四輪車販売台数見通しを市場別にみると、日本で5万5千台、北米で1万台、欧州で5千台、アジアで5万5千台、その他市場で1万台それぞれ前回見通しから引き下げた。二輪車についてはアジアの販売台数を大幅に下方修正した。
日本市場では、上期N-BOXやN-VANが好調に推移し、市場の伸びを上回る販売台数を達成した。前年同期比でも四輪車は9・5%増となった。一方で、市場環境の悪化や部品調達上のトラブルの影響があり、通期では全需、ホンダの販売台数ともに前年度を下回ると予想した。
アジア地域で2輪も微減、通期見通しを下方修正
米国では、セダン市場が縮小し、全需も上半期は前年割れとなった。今年の四輪車市場は1700万台弱と微減を予測。これに対し、ホンダは第2四半期の3か月間でみると、プラスを達成。通期でもCR-Vハイブリッドの新規投入やパスポートの投入効果などで前年越えを目指す。
中国は現地の中国汽車工業協会が7月に今年の四輪車市場を2668万台と前年比5%減の見通しへ下方修正したが、新車効果などにより上期2割弱の伸びと好調だったホンダは2019年度「過去最高を目指す」と強気の姿勢をみせた。
二輪車では、上期インドで2割弱落ち込んだほか、タイで前年同期に比べ約1割の減少となった。その他のアジア地域でも微減となった。インド市場については個人消費が低迷するなど早急な回復は難しいと予測する。
4~9月期の事業別の売上高営業利益率は四輪事業が3・7%(前年同期4%)、二輪車が14%(同16・2%)だった。