本田技研工業(以下、ホンダ)は、クラシックカーの祭典「AUTOMOBILE COUNCIL 2019」(以下、オートモビル カウンシル2019、4月5日〜4月7日・幕張メッセ)にブース出展し、1980年代の人気モデル「シティ(CITY)」や関連商品であるミニバイク「モトコンポ」などを展示した。
今回、同社ブースのテーマは「Honda ものづくりー継承されるM・M思想~生活を豊かにする“人中心”のコンセプト~」だ。
これは、1981年に発売を開始したシティを筆頭に、現在まで脈々と受け継がれているホンダのクルマづくりに関する基本概念、「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」を伝えるというもの。
このM・M思想とは「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」という意味で、今回ブースには、1982年型のシティと、2018年の現在に発売したN-VANを対比的に展示。
いずれもコンパクトなボディに広い居住性や積載性を実現している両モデルを通じて、ユーザー中心の車づくりという同社の車両製作コンセプトを紹介した。
ブース展示のメインとなったシティは、当時の都市部に住む若者をメインターゲットにした初代モデルだ。
排気ガスを低減する独自機構CVCC採用の水冷直列4気筒エンジンは、最高出力63ps/5000rpmを発揮。
ボディには、小さな専有面積で居住性に優れた背が高いトールボーイデザインを採用。
同時期のシビックより全長で380mm短く、全高が120mm高いフォルムが当時としては斬新で、広く市場に受け入れられ、ターボモデルやカブリオレなども登場。
1986年にロー&ワイドの新コンセプトとなった2代目が登場するまで、若い世代を中心に高い人気を誇った。
ブースには、他にも、1982年にシティと同時発売したモトコンポや1980年に発売した発電機デンタEM400も展示。
モトコンポは、50cc・空冷2ストローク単気筒を搭載するミニバイクで、シティに積載可能な折りたたみバイクというコンセプトで登場。当時のアウトドア・ブームもあり、車で運び郊外で遊ぶレジャー向けバイクとして、良好なセールスを記録したモデルだ。
また、デンタEM400は、59.8cc・強制空冷4ストローク単気筒を搭載。同じく当時斬新だった携帯用発電機で、乾燥重量18kgという軽量さにより、「片手で持てる発電機」として人気を博した。
一方、現在のモデルである軽商用車N-VANの展示車両には、50ccビジネスバイクのクロスカブを積載し、モトコンポが搭載可能なシティとの類似性をアピール。
独自のセンタータンクレイアウトや助手席スペースまで低床でフラットである荷室による高い積載性が、前述のM・M思想に通じることを紹介した。
今回の展示では、他にも同社デザイン担当者らの手による、シティやモトコンポ、デンタの1/4モックアップモデルや、
当時のカタログなども展示。
1980年代の時代背景もよく分かる内容などが、多くの来場者の注目を浴びていた。