日野自動車が1月29日発表した2020年3月期第3四半期連結決算(累計、2019年4~12月)は、グローバル販売台数の減少が響き営業利益が前年同期比23・6%減となるなど減収減益となった。20年3月期決算の通期見通しは前回下方修正した予想値を据え置いたが、東京都内で決算発表会見した佐藤真一取締役専務役員は「新型コロナウイルスの先行きが懸念」などと不安定要素も示した。
日本での反動減や海外市場の減少が響き減収減益へ、営業利益は対前年比24%の減益
日野は中国の上海に合弁のエンジン工場、広州に同車両工場を持つ。中根健人専務役員によると、両工場は中国の旧正月に当たる春節期間中、稼働をストップしており、当初は春節明けの2月1日から稼働を再開する予定だった。だが、中国政府の休日延長方針から、再開を遅らすことを決めたが、再開時期の見通しが立たないという。
現在のところ2月9日頃まで休みが続く見込みで、これがさらに延びれば生産、販売活動への影響が大きくなる。
2019年度第3四半期累計業績は売上高が1兆3743億円で前年同期比5・8%減、営業利益が482億円、当期純利益が299億円で同21・0%減となった。グローバル販売台数は14万1256台で同8・6%減だった。
市場別にみると、日本および主要市場のアジアでの減少が響いた。日本については小型トラックの排ガス規制駆け込み需要に伴う反動減があり、4万9170台と前年同期3・4%減となった。
アジアでは、需要回復の遅れなどから5万3371台と同17・6%減となった。とりわけASEAN(東南アジア諸国連合)の2大市場であるインドネシア、タイでの販売減が響いた。
佐藤取締役によると、インドネシアは「第3四半期にかけて着実に回復しており、ほぼ計画通りの推移」としながらも、「過積載規制強化の動き」などの想定の遅れを見込む。第3四半期累計の販売台数は2万3039台と同25・8%減だ。タイは建設系を中心とした市場の様子見が継続しており、販売台数は9503台と同6・6%減となった。
通期見通しは前回予想を据え置くものの、新型コロナウイルスによる影響が懸念材料に
一方で、米国は市場、販売台数とも堅調で、第3四半期累計の販売台数は1万1565台と同3・8%増となった。ただし、今年春先の商談については「不透明感が出ている」と注視の必要性を示唆した。このほか、トヨタ向け車両・ユニット事業でも、タイ市場の悪化がユニット販売減へと影響した。
営業利益の二ケタ台の減益は、こうした国内外での販売減に加えて、米ドルやタイ・バーツ高、それに新興国の通貨安が響いた。佐藤取締役によると、同期131億円の原価改善を達したものの、販売面の影響や環境面の変化を補いきれなかったのが実態。
2020年3月期通期見通しは、売上高1兆9000億円(前期比4・1%減)、営業利益680億円(同21・6%減)の予想を据え置いた。ただし、不安材料は少なくないとしており、新型ウイルスについても「長引けば、車両にとどまらず、部品がスムーズに調達できるかどうかの心配もある」などと影響が広がり兼ねないとの見方を示した。