日野自動車が1月27日発表した2021年3月期第3四半期連結決算(2020年4~12月)は新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な販売台数減少が響き、22億円の最終赤字となった。直近の10~12月の3か月間では黒字を確保。2021年3月期決算の通期見通しは米子会社の工場生産停止に伴う特別損失を計上し、最終損益を120億円の赤字へ下方修正した。(佃モビリティ総研・松下 次男)
赤字決算となった最大の要因は、日本・海外ともに新型コロナの感染拡大の影響
2020年4~12月の9か月間の連結業績は売上高が1兆745億円で前年同期比21・8%減、営業損益が10億円の赤字となった。前年同期は営業利益482億円、当期純利益299億円だった。
赤字決算となった最大の要因は、日本・海外ともに新型コロナの感染拡大の影響で、グローバル販売台数が前年同期比26・9%減の10万3247台にとどまったためだ。
市場別にみると、日本は4万2420台と同13・7%減となった。内訳は、大中型トラックが2万4011台で同10・2%減、小型トラックが1万7224台で同15・6%減、バスが1185台で同41・6%減。シェアは0・9ポイントアップし、33・4%となった。
アジアでも市場環境が厳しく、9か月の累計で8156台と同64・6%減
海外は6万827台で同33・9%減。内訳はアジアが3万3163台で同37・9%減、中南米8678台で同25・1%減、北米7481台で同46・9%減、オセアニア4825台で同4・6%減、中近東3625台で同14・4%減、アフリカ1986台で26・6%減、欧州1069台で同3・8%増だ。
主力市場のインドネシア、米国、タイをみると、インドネシアは厳しい市場環境が継続しており、9か月の累計で8156台と同64・6%減と大きく落ち込んだ。
北米は工場停止が響き、通算の生産台数は6251台・45・9%減に
米国は新型コロナの影響に加え、連結子会社の日野モータース・マニュファクチャリングUSAのウェストバージニア工場および日野モータース・カナダのウッドストック工場での車両生産を2021年9月まで停止することなどが響き、6251台と同45・9%減となった。
タイはeコマース拡大により、小型車から伸長傾向となっており、直近の3か月では前年越えにまで回復。9か月累計の販売台数は8231台で同13・4%減となった。
トヨタ自動車向けは、車両が7万8839台で同26・8%減、ユニットが49万1149ユニットで同17・1%減となった。
当期純利益は74億円と同34・4%減の実績。売上高も前期並みに近づく
直近の10~12月の第3四半期業績でみると、売上高が4082億円で前年同期比4・7%減、営業利益が107億円で同30・9%減、当期純利益が74億円と同34・4%減の実績。売上高は前期並みに近づき、利益も黒字化した。
グローバル販売台数をみても、3万8811台と前年同期比18・2%減と落ち込み幅が縮小。うち日本は1万4113台と同6・0%増と前年を上回った。海外は2万4698台で同27・6%減だった。トヨタ向け車両・ユニット販売も車両が同9・9%増、ユニット販売が同23・8%増とプラスに転じた。
2021年3月期の通期連結業績見通しでは売上高、営業利益も据え置く
2021年3月期の通期連結業績見通しでは、売上高、営業利益については前回公表値の1兆4300億円(前期比21・2%減)、30億円(同94・5%減)を据え置いた。
ただし、当期純損益については昨年12月23日に公表したウェストバージニア工場、ウッドストック工場の車両生産停止に伴う関連費用約140億円を第4四半期に特別損失として計上する予定で、前回公表値の30億円の損失から120億円の赤字へと下方修正した。
通期のグローバル販売台数見通しは、前回公表値の日本5万9千台(前期比11・7%減)、海外8万3500台(同26・4%減)の合計14万2500台(同21・0%減)を据え置いた。トヨタ向けも10万9700台(インドネシア向けダイナ含む)と前回見通しから変化なし。