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2021年1月27日【企業・経営】

日野自動車、2021年3月期3Q連結決算

松下次男

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日野自動車・ロゴ

 

 日野自動車が1月27日発表した2021年3月期第3四半期連結決算(2020年4~12月)は新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な販売台数減少が響き、22億円の最終赤字となった。直近の10~12月の3か月間では黒字を確保。2021年3月期決算の通期見通しは米子会社の工場生産停止に伴う特別損失を計上し、最終損益を120億円の赤字へ下方修正した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

赤字決算となった最大の要因は、日本・海外ともに新型コロナの感染拡大の影響

 

 2020年4~12月の9か月間の連結業績は売上高が1兆745億円で前年同期比21・8%減、営業損益が10億円の赤字となった。前年同期は営業利益482億円、当期純利益299億円だった。
赤字決算となった最大の要因は、日本・海外ともに新型コロナの感染拡大の影響で、グローバル販売台数が前年同期比26・9%減の10万3247台にとどまったためだ。
 市場別にみると、日本は4万2420台と同13・7%減となった。内訳は、大中型トラックが2万4011台で同10・2%減、小型トラックが1万7224台で同15・6%減、バスが1185台で同41・6%減。シェアは0・9ポイントアップし、33・4%となった。

 

アジアでも市場環境が厳しく、9か月の累計で8156台と同64・6%減

 

 海外は6万827台で同33・9%減。内訳はアジアが3万3163台で同37・9%減、中南米8678台で同25・1%減、北米7481台で同46・9%減、オセアニア4825台で同4・6%減、中近東3625台で同14・4%減、アフリカ1986台で26・6%減、欧州1069台で同3・8%増だ。
主力市場のインドネシア、米国、タイをみると、インドネシアは厳しい市場環境が継続しており、9か月の累計で8156台と同64・6%減と大きく落ち込んだ。

 

北米は工場停止が響き、通算の生産台数は6251台・45・9%減に

 

 米国は新型コロナの影響に加え、連結子会社の日野モータース・マニュファクチャリングUSAのウェストバージニア工場および日野モータース・カナダのウッドストック工場での車両生産を2021年9月まで停止することなどが響き、6251台と同45・9%減となった。
タイはeコマース拡大により、小型車から伸長傾向となっており、直近の3か月では前年越えにまで回復。9か月累計の販売台数は8231台で同13・4%減となった。
トヨタ自動車向けは、車両が7万8839台で同26・8%減、ユニットが49万1149ユニットで同17・1%減となった。

 

当期純利益は74億円と同34・4%減の実績。売上高も前期並みに近づく

 

 直近の10~12月の第3四半期業績でみると、売上高が4082億円で前年同期比4・7%減、営業利益が107億円で同30・9%減、当期純利益が74億円と同34・4%減の実績。売上高は前期並みに近づき、利益も黒字化した。
グローバル販売台数をみても、3万8811台と前年同期比18・2%減と落ち込み幅が縮小。うち日本は1万4113台と同6・0%増と前年を上回った。海外は2万4698台で同27・6%減だった。トヨタ向け車両・ユニット販売も車両が同9・9%増、ユニット販売が同23・8%増とプラスに転じた。

 

2021年3月期の通期連結業績見通しでは売上高、営業利益も据え置く

 

 2021年3月期の通期連結業績見通しでは、売上高、営業利益については前回公表値の1兆4300億円(前期比21・2%減)、30億円(同94・5%減)を据え置いた。
 ただし、当期純損益については昨年12月23日に公表したウェストバージニア工場、ウッドストック工場の車両生産停止に伴う関連費用約140億円を第4四半期に特別損失として計上する予定で、前回公表値の30億円の損失から120億円の赤字へと下方修正した。
 通期のグローバル販売台数見通しは、前回公表値の日本5万9千台(前期比11・7%減)、海外8万3500台(同26・4%減)の合計14万2500台(同21・0%減)を据え置いた。トヨタ向けも10万9700台(インドネシア向けダイナ含む)と前回見通しから変化なし。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。