安全の追求と、カーボンニュートラルの実現を目指す
日野自動車は10月31日、バッテリーEV(BEV)フルフラット路線バス「日野ブルーリボン(Blue Ribbon)Z(ズィー) EV」を発売した。
ブルーリボンは日野自動車が1951年から1975年まで。更に1982年以降から販売している大型バスの総称。ちなみに車名は社内公募で募られたとされる。今回の「ブルーリボンZ EV」は、バッテリーとモーターによる走行で排気ガス・CO2を排出しないゼロエミッションを実現したサ最新鋭の環境車両。低騒音・低振動のスムーズな走りは、乗員の快適性を向上させるだけではなくドライバーの運転疲労軽減にも寄与する。
高電圧バッテリー配置図
小型化したバッテリーは屋根上と最後部の座席下に分割収納した。またリヤアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「ハブモーター付きドロップアクスル」を採用することで、最前部から最後席までステップがないバリアフリーのフルフラットフロアを実現した。結果、段差を気にすることなく全ての客席にアクセスが可能となった。
なお日野ブルーリボンZ EVは日野のグループ会社であるCUBE-LINXが提供し、商用電動車の導入・利用に関するワンストップサービス「エモぷらっと」が利用できる。これは車両運行にあたり必要な充電器や電力設備、工事手配の他、建物側と合わせた電力の視える化やCO2の削減などを包括的にサポートする。
車両の特長は以下の通り
1.フルフラットフロア
リヤアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「ハブモーター付きドロップアクスル」を採用してフロアを低床化した。また高電圧バッテリーパックを車両の屋根上と最後部の座席下に分散して配置することで、フロアレイアウトの自由度を高め、最後部席まで段差のないバリアフリー化を実現している。
フルフラットフロア
2.航続距離
ディーゼルエンジンモデルの「日野ブルーリボン」と同等の動力性能を確保しながら、路線バスで使用される航続距離をカバーした(外気温、冷暖房の使用、乗車人数などの影響により短くなる)。バッテリー充電は国内主流の350Vで充電できる高電圧バッテリーを採用し、3.2時間(急速充電<CHAdeMO Ver1.0> 外気温20℃・充電出力50kwの場合)で20%の残量から80%まで充電が可能としている。
3.外部給電
日野ブルーリボン Z EVと、電力を取り出す外部給電器(別売)を接続することで家庭用電源として使用可能になり、災害などによる非常時には救援車として電力供給を行うことができる。(V2L機能<Vehicle to Loadの略称>)
4.安全機能
事故の抑制に貢献するフロントブラインドスポットモニター(自車速10km/h以下、歩行者3~5km/h 自転車3~10km/hで作動)を装備し、死角になり易い車両直前の歩行者や自転車を検知し、自車と近づくと警告表示でドライバーに注意喚起を行う。また衝突の可能性があると判断した場合、警告表示に加え、シートバイブレーターで注意を促す。なおEDSS(Emergency Driving Stop System/ドライバー異常時対応システム)による緊急停車時には、電動パーキングブレーキが自動で作動する機能を採用し、坂路などでの緊急停車時の安全性が向上させている。
「日野ブルーリボン Z EV」 代表車型(都市型)
型式 :ZAC-KV828L1
全長×全幅×全高 :10545×2485×3330 (mm)
ホイールベース :4990 (mm)
最小回転半径 :7900 (mm)
乗員 :70人
モーター 種類 :交流誘導電動機
最高出力 :250(kW)
バッテリー :リチウムイオンバッテリー
充電方式 :急速充電(CHAdeMO方式)
一充電走行距離 :360km(国交省審査値)