林テレンプは1月19日、自動車業界各社の防音分野の研究開発支援を目的に、走行時の車内の音をリアルに再現できる、当社独自開発の車両音響シミュレーター(Advanced Acoustic Simulator 以下、AAS)を通じた各種サービスを提供する新事業「AAS技術サービス事業」(以下、AAS事業)を開始することを発表した。
具体的には、自動車内装部品の総合メーカーの林テレンプが、顧客指定コース・車両で走行時の車内音を測定し、AASで視聴できるようにする「① データ測定・視聴サービス」と、AAS本体を顧客に使用頂く「② 本体販売・レンタル」、AASでデータライブラリーに登録済みの各種車両の走行音を視聴できる「③ データ提供サービス」を行う。また、事業は北米・欧州・中国・タイでも展開予定で、日系メーカー以外にも広くソリューションを提案していくという。
自動運転や、乗り物のサービス化「MaaS」の台頭により、車内の静粛性はこれまで以上に高い基準で求められるようになっている。また、EVではエンジン音がなくなったことで、ロードノイズや風切り音がより際立つようになるなど、新たな「音」に関する各自動車メーカーの研究開発は、世界的に、より一層スピード感ある開発が求められている。同社は、AAS事業を通じて、自動車業界のバーチャル開発を支援し、静粛性の開発プロセスへの貢献を目指している。
車両音響シミュレーター「Advanced Acoustic Simulator」
林テレンプが2018年に開発した独自の車両音響シミュレーター「AAS」は、あらかじめ収録した走行時の車内音を3D音響技術により、忠実に再現するシステム。音だけでなく映像と振動も連動させることで、よりリアルな再現が可能なほか、防音材の位置や素材、厚みなどに変更を加えた場合の音の変化予測を、解析データをもとに実音で再現する機能も備えている。
数値だけでは測れない“人間の聴覚”フィーリングを生かした開発を実現するAAS
自動車業界では、一般的に静粛性の目標を数値で設定する。しかしデータ上で目標をクリアしても人間の耳で感じる静粛性とは異なる場合があり、「目標はクリアしているが、ちょっと違う」という微妙なフィーリング上の問題が度々発生する。AASを活用することにより、数値だけでなく「実音」での静粛性も併せて確認でき、数値と人間の聴覚を組み合わせたフィーリング重視の開発を行うことが可能になる。