グループPSA(本社:フランス・パリ、CEO:カルロス・タバレス、以下、PSA)によると、同社がフランス国内に果たした2018年の貿易収支に対する貢献相当金額が49億ユーロ(記事掲出時換算でおよそ6192億円)となったという。(坂上 賢治)
これは同社発表に先だって仏現地時間の2月7日に、仏・ジャン=バティスト・ルモワンヌ・ヨーロッパ外務副大臣が発表したフランス関税・間接税総局(財貿易関連)と、フランス銀行(サービス貿易関連)による2018年のフランス貿易統計に関連した企業貢献に関わるものから2月12日に同社が導き出したもの。
具体的には国内5拠点にある組み立て工場では、対前年プラス6.4%の120万台が生産されたが、これはグループ PSAの全生産台数のおよそ3分の1に相当する。
同社の発表を紐解くと同年の輸出水準は、2016年7月に6つの仏労 働組合中、総組合員の8割が占める5つの労働組合によって合意された『新たな成長勢力 (New Momentum for Growth)』の公約内容を上回るものとなったと謳っている。
結果、グループPSAの各社はフランス国内の自動車メーカーとしての強い存在を発揮し、プ ジョー、シトロエン、そしてDSオートモビルの合計14モデルが“Guaranteed French Origin”(フランス原産保証品)として、非営利機関Pro Franceによって認定された。
これを受け、グループPSAの最高経営責任者のカルロス・タヴァレス氏は 「グループPSAが、このようにフランス経済に強く貢献していることは、国内で働く68,000人の従業員にとっても非常に大きな誇りです。
この度の認定は、グループのフランス国内製造拠点の競争力の成果であり、今後のエネルギー転換の時代に向け掲げる挑戦に対する重要な資産となるでしょう」と結んでいる。
ちなみに2018年のフランスの財貿易収支は、前2017年の578億ユーロの赤字から599億ユーロへと若干の下がったのだが、サービス貿易収支の黒字は、前年の264億ユーロから280億ユーロへと伸張が認められる。
また同国外の資金調達ニーズを測る数値である経常収支では、フランス銀行の最新評価で、2018年の対GDP比がマイナス0.7%となった。
そうしたなか2018年の貿易赤字は、エネルギー分野を除き前年の326億ユーロから286億ユーロへと減少した。但しエネルギー輸入額は原油価格の高騰で460億ユーロ増加し、貿易赤字全体の3分の2近くを占めている。
一方で、同国定番の高級品関連産業(前年比6.3%増の513億ユーロ)を筆頭に化学製品、香水、化粧品分野(同比3.1%増の583億ユーロ)、農産品・農産加工品分野(同比2%増の624億ユーロ)、エアバス(過去最高の800機を輸出/ちなみにカルロス・タヴァレス氏はエアバスSEの取締役会メンバーである)などの航空機分野(同比2.7%の572億ユーロ)が輸出収益を牽引。ここに自動車分野も食い込み、前年比7.9%増の355億ユーロとなっている。
これを踏まえ同国のルモワンヌ副大臣は「近年、労働コスト削減措置によって競争力が明らかに向上しました。フランスのコスト競争力は2013年末以降、その他の経済開発協力機構(OECD)加盟国に比べて4%以上改善しています。
これを梃子にフランスの輸出額は増加傾向にあります。エネルギー輸入額を除けば、貿易赤字は12%以上解消されています。実際、2011-12年以降、初めてフランスの成長に対する貿易の寄与度が2年連続でプラスを記録しました。
今後、フランス政府はさらに輸出戦略を強化すると共に、自国経済の国際化を支援するため、エドゥアール・フィリップ首相が2018年2月23日にルーベで発表した改革戦略をより強力に続行していきます」と話している。