EV開発と生産を担うGLMは12月13日、開発中の商用車(主に大型トラック)向け車載用サブバッテリーシステムの受注を開始した。
当該製品は今春のプロトタイプの発表以降、製品化へ向けた改良を重ね、様々な点で利便性や効率を向上させることを確認したことから事業者からの受注に踏み切った。
プロトタイプからの大きな変更点は製品のパッケージ性向上が挙げられるという。全てのユニットを組み込んだボックスをキャビン内に配置するプロトタイプでは、居室空間をある程度犠牲にする必要があったため改良。
バッテリー、インバーター、充電器などをワンパッケージとしていたユニットを室外設置ユニット(主にバッテリー)とキャビン内設置ユニット(主にインバーターと充電器)に分けることで、限られた空間の有効活用に成功。
特にキャビン内はデッドスペースにユニットを設置することにより、居住性を犠牲にすることなく製品をインストールすることが可能になった。
製品の希望小売価格は750,000円(税別/車両取付ブラケット別売)、2023年12月18日より受注を開始し、2024年春以降随時デリバリーを行う。
また来春以降にパーキングクーラーの受注開始も予定しており、車内環境の向上へ向けより利便性の高いパッケージとする予定としている。
バッテリー容量は2.56kWh(2,560Wh)の大容量。これは車内での冷暖房機器の長時間の稼働を可能にするもので、主に都市部などで問題となっている待機中トラックのアイドリング問題解決へ大きく寄与でき、当該製品を採用することで環境保護への取り組みを大きくアピールできる。また近年高値で推移する燃料費の削減も期待できるとしている。
一般的に車両待機中のアイドリングによる燃料消費は、年間約30〜50万円(当社算出)もの額になることから、近年高騰の一途にある燃料価格による大幅なコスト増に直面している貨物自動車運送事業者にコストダウンを提案できる。
更に同製品は走行中にオルタネーターで自車発電したエネルギーで充電するため、約4時間の走行で80%の充電が可能であり、充電の手間が省けると共に大変効率の良いエネルギー消費及びチャージが可能となっている。
これら製品特性を踏まえ、環境問題や2024年問題(働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称)に取り組む貨物自動車運送事業者等への納入を見据えている。
なお当量産モデルの開発にあたっては、プロトタイプの開発に引き続きダブルクラッチと協業体制を維持。商用トラックを複数台有し、商用車向け先進製品の開発を行っている同社との協業により、製品の実証実験や実利用シーンからのリターンを迅速に開発現場に落とし込むことができ、より利用者のニーズに寄り添った製品の開発をスピーディーに推し進めることが可能となった。
ダブルクラッチ株式会社
HP : http://wdx.doubleclutch.co.jp
・代表:中本浩司
・事業内容 商用車向け研究開発のエンジニアリング業務
・モビリティ用品の企画・製造・販売業務 一般貨物自動車運送事業