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2024年10月23日【新型車】

独・アウディ、Q6スポーツバックeトロンの市場投入間近

坂上 賢治

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空力に優れたボディデザインにより、最長656kmの一充電走行距離を実現

 

独アウディAGは10月14日(独インゴルシュタット発)、当地で人気のSportback(スポーツバック)仕様としたQ6 Sportback e-tronの導入をパリモーターショー2024の会場で公開し電動モデルのラインアップを拡大。日本に向けても10月23日(日本時間)に同車が新たに追加されたことを明らかにした。

 

今回、独・本国に於ける新型Q6 Sportback e-tronは、SUV e-tronにSportbackの仕様に仕立て上げたデザイン志向が高いモデルとされ、PPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)を持つQ6シリーズの中でも一充電あたり最長の走行距離(656km)と、充電時の効率性を高めたクルマであると謳っている。

 

 

パリモーターショー2024のアウディブースで同社CEOのゲルノート デールナー氏(Gernot Döllner)はQ6 Sportback e-tronについて、「この新型モデルは、私たちの次世代電気自動車の多様性を示しています。なかでもSportback仕様は、電動モデルポートフォリオの拡大に於ける次のステップとなります。Audi Q6 Sportback e-tronは、パッケージ効率、一充電走行距離、パフォーマンスの電動モデルとしての3つの強みを、魅力的なデザインと融合させています」と述べた。

 

またデールナー氏は、「そんなQ6 Sportback e-tronは、SUV特有の室内空間の広さとクーペの優雅さを兼ね備えたクルマです。初代Audi TT Coupéのアイコニックなデザインを思わせるSportbackの傾斜したルーフラインは、スポーティな美しさをさらに際立たせており、そのシルエットは優雅に流れ水滴のような流線形を描いています。

 

 

デザインチームはルーフ全体をデザイン見直し、Aピラーから始めSportbackの全体の車高はSUV仕様よりも37mm低くなりました。これによりSUVのクラシックなプロポーションにSportback独自のダイナミズムとエレガンスが加わり、例え静止しているだけでもクリーンに美しさを放っています。

 

SUVの広さとクーペの優雅さを兼ね備えたQ6 Sportback e-tron

 

グリーンハウスは、力強いボディに対して、より低く、引き締まった形状を持っています。その柔らかな曲線は、ボディの鋭いラインやエッジと意図的に対比され、ダイナミックな陰影を生み出しています。

 

フラットなリヤウィンドウは、3つ目のブレーキランプを組み込んだ独立したエッジで終わり、リヤのテールライトから後部ドアまで伸びる力強いラインがquattroブリスターの上部と、ホイールアーチ上の幅広いショルダーを際立たせます。

 

リヤウィンドウはダイナミックに上向きにカーブしており、これはすべてのアウディのSportbackに共通する特徴です。この小さなディテールにより、車両はさらにダイナミックな印象を与え、周囲のアルミ調トリムがこのディテールを一層強調しています。

 

また純粋なSUV仕様よりもダイナミックに絞り込まれたリヤは、スポーティなエレガンスと力強さを融合させています。e-tron GTファミリーとの類似点も明確で、途切れなく続くライトストリップと広々としたクリアなリアアーキテクチャは、アウディならではのクリーンでバランスの取れたデザインをSportbackに与えています。

 

 

そんなスポーティで表現力豊かなこの電気自動車は、511リットルのラゲッジコンパートメントと64リットルのフロントトランク(フランク)を備えており、後席のリヤシートを折り畳むと、ラゲッジ容量は最大1,373リットルまで拡大します。

 

ホイールベースが2,899mmと長いことにより、室内スペースが充分以上に確保されており、それに加えて25リットルの便利な収納スペースも備えています。加えてQ6 Sportback e-tron quattroは、最大2,400kg(その他の駆動仕様は2,000 kg)の高い牽引能力を誇り、日常使用にも妥協しない実用性を併せ持ってます。

 

Sportbackのスポーティなキャラクターにマッチする走行ダイナミクス

 

なお電動Q6 SportbackとそのSUVバリエーションは、市場導入時には10モジュールを備えた総容量83 kWh(正味容量: 75.8 kWh)のバッテリー仕様も用意されます。これによりquattro四輪駆動とSモデルの他、後輪駆動の2つの仕様も提供されるため、電動モーターを搭載したQ6 e-tronファミリーのラインナップ拡充を担います。

 

加えてQ6 Sportback e-tron performanceは、空気抵抗係数0.26(SUV仕様は0.28)という空力的なボディデザインと、総容量100 kWh(正味容量94.9 kWh)の大型バッテリーを搭載した全長4,771mm、全幅1,965mm(ミラーを除く)、全高1,665mmというサイズであるため、完全なSUV仕様よりも37mm低いことも特徴のひとつです」と語った。

 

そんなQ6 Sportback e-tronのインテリアは、デザインの初期段階から素材の特性が慎重に検討され、リサイクル素材を使用したファブリックが使用されている。ルーフライニング、ピラー、サンバイザーも100%リサイクルポリエステルで作られたという。

 

 

対してパフォーマンス面では、2種類のバッテリーサイズと2つの駆動バリエーションが用意される。エントリーモデルは83kWhの高電圧バッテリー(正味容量:75.8kWh)を搭載。後輪駆動のQ6 Sportback e-tronは、185kW(252PS)の出力を持ち、ローンチコントロールモードでは、0–100km/h加速を7.0秒で駆け抜ける。

 

後輪駆動のAudi Q6 Sportback e-tron performanceは、100kWhバッテリー(正味容量:94.9kWh)を搭載し、出力は225kW(306PS)、ローンチコントロールモードで0–100km/h加速を6.6秒で達駆け抜ける。システム出力285kW(387PS)のQ6 Sportback e-tron quattroであれば0–100km/h加速を5.9秒で駆け抜ける。

 

パフォーマンス、一充電走行距離などの複数の強みを兼ね備えたクルマ

 

更に最もパワフルなバージョンのSQ6 Sportback e-tronは、前後軸に2つの電動モーターを搭載していることからシステム出力は360kW(489PS)で、ローンチコントロールモードでは4.3秒で100km/hに達する。また、リヤ駆動のAudi Q6 Sportback e-tron performanceは、大容量のバッテリーにより先の通り最長で656kmの一充電走行距離を稼ぐこともできる。

 

なお83kWhバッテリーを搭載したモデルは、最長で545kmの一充電走行距離。quattro四輪駆動モデルでは最長636km、同じくquattro四輪駆動のSQ6 Sportback e-tronでは607kmの走行が可能となっている。なおQ6 Sportbackの全てのバリエーションは、最高速度が210km/hに固定され、唯一SQ6 Sportback e-tronは、最高速度230km/hをマークする。

 

 

バッテリーの使い勝手では800V電気システムにより充電性能にも抜かりはないとしている。例えば、Audi Q6 Sportback e-tron performanceは、理想的な条件下で、最大270kWの充電出力をもつ高速充電ステーションを利用すると10分で最長265kmの一充電走行距離を充電することができる。

 

高電圧バッテリーの10%から80%までの充電は22分で完了。Sモデルも最大270kWで充電可能であり、リヤ駆動のバリエーションでは、100kWhバッテリー搭載モデルが最大260kW、83kWhバッテリー搭載モデルが最大225kWで高速充電が可能だ。

 

最後にQ6 Sportback e-tronとSQ6 Sportback e-tronは、アウディのインゴルシュタット本社工場で、ネットカーボンニュートラル環境下で製造される。これらのモデルは2024年から2025年にかけてオーダー可能となる予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。