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2022年1月5日【トピックス】

独BASF、2021年の自動車カラーレポートを発表

NEXT MOBILITY編集部

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ドイツの総合化学会社BASF(本社:ルートヴィッヒスハーフェン)のコーティングス事業本部は、現地時間の1月5日、「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート2021」を発表した。

BASF・ロゴ

自動車産業は、一昨年、昨年と世界中で生産が大幅減となるなど、これまでにない新たな課題に直面。そのため、BASFのコーティングス事業部が作成したデータ分析「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート(※)」では、世界各地で特定のカラー領域の人気がより鮮明になる一方、長年人気があったカラー領域に陰りが見られたと云う。

 

「ホワイト」や「ブラック」、「グレー」、「シルバー」といった無彩色は、現在も最も人気あるカラーではあるが、不動だった人気に変化が起こりつつあり、世界の多くの地域では、「ブルー」や「レッド」にシェアが奪われる傾向に。また、数字としては小さいが、データには「グリーン」や「ベージュ」といったカラーも登場しているとのことだ。

 

 

※昨年(2021年)1年間の世界の自動車生産と乗用車への塗料適用に基づいて作成。

 

 

■欧州、中東、アフリカ(EMEA):有彩色がさらに多様に

 

欧州、中東、アフリカ(EMEA)では、有彩色のシェアが現在27%を超えてさらに上昇、過去20年間で最も高い数値となった。

 

そのような中で、現在、スカイブルーからミッドナイトブルーまで180色近い種類がある「ブルー」がトレンドを牽引。エレガントで新鮮かつ、若々しさを感じさせるブルーは、全てのセグメントのあらゆるボディタイプに使用されている。また1位のブルーに大きく引き離されつつも2位につける「レッド」、そして「グリーン系」の色もかなりのシェアを獲得した。

 

無彩色では、「ホワイト」が依然として一番人気ではあるが、エレガントやダーク表現、輝きを放つ色から、軽やかでスポーティなソリッドカラーまで160種類の選択肢がある「グレー」も追い上げてきていると云う。

 

以上の結果に対して、EMEAの自動車デザイン責任者のマーク=グートヤール氏は、以下のようコメントしている。

 

「EMEAのためにデザインされた色は、見慣れた色域を使いながらも、新しいエフェクト、かすかな色のグラデーション、あるいは特定の輝きを加えることで新鮮な色にしています。これにより、有彩色が個性とスポーティさを大胆に表現する色となり、毎年人気が高まっています」。

 

 

■アジア太平洋:グローバルな色の多様性を牽引

 

アジア太平洋地域では、新車の79%に無彩色が使われ、「ホワイト」が最も人気のある色となったが、「ブラック」と「グレー」が4年連続で増加し、その人気には陰りが。

 

有彩色の人気は安定しており、最人気カラー「ブルー」の割合が「レッド」のシェア減少分を食う形で、グローバルデータ同様に増加した。また、「ブラウン」と「ゴールド」はある程度の数値となり、「ベージュ」、「オレンジ」、「イエロー」、「グリーン」、「バイオレット」はそれぞれ1%程度で踏みとどまった。

 

アジア太平洋のデザイン責任者の松原千春氏は、この結果に対して、以下のようにコメントしている。

 

「アジア太平洋地域は自動車生産台数が世界一であり、他の地域と比較して最も多様な色が使用されています。ブルーの急増に伴い、グリーン系統の色も約2%増となりました。ただし、通常のグリーンではありません。ティール、カーキ、オリーブと、今年は特にSUVでグリーン系の色の人気が高まりました」。

 

 

■北米:アメリカでは色の好みが急速に変化

 

北米では、有彩色「ブルー」のシェアが昨年比で4%減少。その人気が他の色へ移行し、「ブルー」を好む傾向が2017年の水準となった他、「レッド」が1%増加、有彩色で「ブルー」と並ぶ最も人気ある色となった。

 

一方で世界的に減少した「ホワイト」を含む無彩色が増加。しかし「シルバー」と「グレー」は共に減少した。

 

なお昨年、原材料不足により少ない資源の配分を迫られた自動車メーカー各社は、より大型で人気のあるプラットフォームを好む傾向にあったと云う。

 

この結果を受けて、南北アメリカのデザイン責任者であるポール=チョーニー氏は、以下のようにコメントしている。

 

「北米はより早く方向転換しているようです。需要が高く、供給が減少傾向にあるため、購入者はより現実的な選択を迫られ、感情に基づく選択をしなくなるでしょう。消費者は、無彩色のカラー領域で、より親しみやすい色合いにすばやくシフトしています」。

 

 

■南米:世界的方向性に追随

 

南米では、世界的に人気が急上昇している「ブルー」が3%増となり、「レッド」のシェアを奪う一方、購入者の目を引く新しい色合いも登場。この地域で「ホワイト」の車を購入する人たちは、より保守的である傾向が強いと云う。

 

自動車デザイナーは通常、3~4年先のモデルを見据えて色を開発するが、南米では他の地域に比べて色の方向性を受け入れるのが遅い傾向があり、予想通りの展開となった。

 

南米自動車塗料のディレクター、マルコス=フェルナンデス氏は、この結果に対して、以下のようにコメントしている。

 

「これだけ増えてくると、南米でもブルーが定着してきたと言えるでしょう。スカイブルーからダークブルーまで、より多くの購入者がこのカラーファミリーを好むようになってきました。 私たちは、この重要なデザイン領域を高めるような、美しいエフェクトや顔料、特にメタリックを取り入れています」。

 

 

■(BASFジャパン)BASF自動車用OEM塗料カラーレポート(日本語)(※クリックでPDFダウンロード):https://www.basf.com/jp/documents/ja/news-and-media/news-releases/2022/20220106_Color%20Report%202021_JP.pdf

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。