具体的には、フォルクスワーゲングループはユーロ5(Euro5)並びにユーロ4(Euro4)基準の車両ユーザーに対して新型車への乗り換え時(トレード・イン対策)におよそ65万7000円にあたる5000ユーロ(車種・条件により4000から8000ユーロ)の購入オプションが提示された。但し各社の足並みが揃っている訳ではなくBMWは該当車両に対して6000ユーロ。ダイムラーは1万ユーロの購入オプションが提示された。
一方ユーロ5基準車に対しては、該当車両に追加の対策措置(レトロフィットキットの装着)を講じることで、そのまま対象車を乗り続けることもできる。
この対応で連立政権は、措置に係るコストを自動車の製造メーカーが全額負担することを望んでいる。これに対して独・自動車メーカー最大手のフォルクスワーゲンは、改造支援自体には合意しているが、この日の段階ではBMWやダイムラーをふくめ全額負担に関しての完全合意には至っていない。
さらに仏・プジョーとオペルは追加対策の技術面・経済面双方で賢明な策ではないとハードウェア改造の方向性に難色を示すなど混迷を極めている。
しかし連立政権は、ドイツの各都市におけるディーゼル禁止が実施される以前の段階で、ディーゼル車の大気汚染対策で合意する方針であることを確認したと高らかに宣言している。
なお連立政権は、ゴミ輸送車などの行政が利用する大型公共車両の改修費用のおよそ8割の資金提供(税収からの供与となる)を提案しており、このような内容を含め、一般市民からは連立政権の自動車メーカーに対する対応が甘過ぎるという声も上がっている。
当地で交渉後の会見の席に立った独・環境省と、独・環運輸省の担当者は「旧ディーゼル車オーナーが、多額の割引で新型車に交換できるトレードインスキームについては、早々に利用可能になる。
しかし排出ガス削減を目的に、旧ディーゼルエンジン搭載車に新たなハードウエア対策を施す改造計画は、自動車メーカーと完全に合意するためにさらなる時間が必要だ。我々は、この交渉によってドイツの14の都市でディーゼル走行の禁止が回避されることに期待している」と語っている。
ただディーゼルゲート前のピーク時からディーゼル車の販売は永らく芳しくなく、そうしたなかユーロ5基準のディーゼル車は550万台、ユーロ4基準のディーゼル車は310万台が今も市中を走行しており、ディーゼル車の将来に関する不確実性は未だ解消していない。