独・アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット)の取締役会会長職にあったルパート シュタートラー氏が、去る6月18日にミュンヘン検察庁に身柄を拘束されて既に3ヶ月を超えた。(坂上 賢治)
この間、当局による同氏の拘束は続いており、終わりがないように見えるディーゼルゲート(Dieselgate)と呼ばれる同スキャンダルはドイツ国内で依然続いている。
シュタートラー氏拘束の経緯は、予てよりドイツ当地でも取り沙汰されてきた排出ガス不正の捜査上に同氏の関与が浮上してきたことによるもの。
当時、ミュンへン検察当局がシュタートラー氏の拘束を決断した理由は、同氏を拘束せずに放置していると、ポルシェに対するシュツットガルト検事の予備調査等で証人に影響を与えるなど、一連の詐欺行為について証拠隠滅の可能性があると判断したことによる。
そんなシュタートラー氏は、2007年よりアウディの経営責任を担ってきたが、それ以前は、かつてフォルクスワーゲングループの会長職にあったフェルディナント・ピエヒ氏をサポートする職責にあった。
同社グループは、世界中で約1100万台のディーゼル車に排ガス基準の測定値を潜り抜けるソフトウェアを取り付けたとされ、このディーゼルゲートで、自ら300億ドルを超える罰金刑をたぐり寄せただけでなく、複数の自社経営幹部が刑事罰の容疑者になるという状況を作り出した。
またフォルクスワーゲンの元CEOのマルティン・ヴィンターコーン氏は、米国で陰謀や詐欺などの重罪で起訴されたが、米国司法省が訴追して以降、米国側と直に接触する機会が得られず逮捕されるに至っていない。