当時VWは、米国の排出ガス規制から免れるために車両規定の試験実施時にだけ、有害物質の排出量を抑える違法なソフトウエアを搭載してこれをクリアした。その後グループ傘下を含み、欧米で延べ905万台の車両販売を消化。
2014年5月の時点で、社内の不正行為が逃れようのない事実であると認識されて以降も、世界中で約1100万台のディーゼル車を販売して各国の消費者や当局を欺き、経営トップとして責任ある行動を怠った罪は重いと述べている。
なお同起訴発動に伴い、名前自体が明らかにされてはいないが、当時の同社幹部4人も併せて起訴したと発表している。
ヴィンターコーン氏は社内不正が発覚した直後に、企業の混乱をもたらした責任を取るかたちで辞任。しかし今も排出ガス不正事件に関して、不正が明るみになる直前に至るまで、これらの事実をまったく把握していなかったと主張している。
これを契機にVWブランドに対する信頼感は地に落ち、同社は通算280億ユーロ(約3兆5千億円)超の罰金刑並びに賠償刑を自らでたぐり寄せてしまった。
また複数の自社経営幹部が、刑事罰の容疑者になるという深刻な状況をも作り出した。
結果、ヴィンターコーン氏は、不正発覚の震源地となった2018年の米国で、排ガス規制逃れを認識しながらも証券を発行し続けて、米国の投資家を欺いたとして米証券取引委員会(SEC)から陰謀や詐欺などの重罪で起訴された。
しかし米国司法省が訴追して以降、米国側と直に接触する機会が得られず、未だ米当地で逮捕されるには至っていない。