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2020年8月19日【アフター市場】

国内2輪4社がEV蓄電池交換実証の「eやんOSAKA」と連携

坂上 賢治

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 本田技研工業、川崎重工業、スズキ、ヤマハ発動機の4社で電動二輪車の普及を目的に設立した「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」が8月19日、来月9月から大阪府と組んで行う交換式バッテリー電動二輪車実証実験「e(ええ)やん OSAKA」で連携していくと発表した。(坂上 賢治)

 

このeやん OSAKAは、一般社団法人 日本自動車工業会の二輪EV普及検討会が大阪府、国立大学法人・大阪大学と連携。環境性能に優れた電動二輪車の普及と認知度向上。該当車両活用による持続可能な都市交通戦略の検討を目指した実証実験だ。

 

 

 同コンソーシアムは、国内都市部での電動二輪車の実証連携を通じ、交換式バッテリーの利便性や有用性を確認。将来のバッテリ交換システム構築にあたって共通仕様を検証していく。また技術的なシナジーやスケールメリット等も検討していく構えだという。

 

コンソーシアム自体は昨年4月に発足していたもので、環境に優しく利便性も高い移動手段として電動二輪車を掲げ、小型車ゆえ普及の課題となる筈の〝航続距離の延長や、充電時間の短縮〟、インフラコストへの対応策として〝交換式バッテリーの標準化(共通仕様の実現)〟についても検証していく。

 

 具体的な取り組みとしては、着脱式バッテリーを搭載した原付1種 50cc相当のホンダ「ベンリィe(BENLY e)」を20台用意。これに大阪大学構内(吹田キャンパス並びに豊中キャンパス)と周辺のコンビニエンスストアの計12箇所へ、4から6個程度の交換用バッテリを設けた拠点を用意。学生や職員がこれを利用するなかでバッテリ交換を試すなど、利便性や使い勝手について確認していく。

 

 

なお実証実験は1年間続ける予定。もちろんバッテリーの利用状況や累積ま走行距離などの情報は、ビッグデータとして利活用していく方針。またこれらの活動を通じて、二輪業界全体で議論を活発化させ、電動二輪車普及による低炭素社会の実現に貢献していくことを目指す。

 

 ちなみに複数企業が共同し小型の二輪EVで行った過去の事例では、2017年9月にさいたま市と本田技研工業、ヤマハ発動機の3者による原付EVバイクの実証実験が最も近い例となるだろう。

 

 

この際は、さいたま市の電気自動車普及施策「E-KIZUNA Project」の一環として、電動二輪車の普及拡大と交通空白地域の解消に向けて行われた。実験は低炭素社会を目指す地方自治体と、EVバイクの普及を目指す二輪メーカーとで行った国内では初の試みで、これがCO2削減とEVバイクの普及に向けた重要な第一歩となった。

 

 

 それ以降では、ホンダが国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業としてインドネシア(インドネシア 西ジャワ州バンドン市、バリ州デンパサール市・バドゥン県クタ地区)で2018年から19年に掛けて、パナソニックと組み、着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(ホンダモバイルパワーパック)」を用いたバッテリーシェアリングの実証研究を行っている。

 

同様の似た動きでは2018年1月31日には、沖縄ツーリストと住友商事が、住友商事の100パーセント連結子会社であるe-SHARE石垣がヤマハ発動機も関わるGogoro社製バッテリー交換式電動スマートスクーターと、交換式バッテリー用充電ステーションを組み合わせたシェアリングサービスを行った。

 

さらに2019年3月に、同じく本田技研工業が今度はソフトバンクと連携。レンタル事業者の「宮古カレン(沖縄県 宮古島市)」に若干上位のモデルとなるが、電動二輪車「PCX ELECTRIC(エレクトリック)」を提供。レンタル事業に於ける電動二輪車の活用状況と着脱時バッテリの交換データを収集した。

 

 今回の活動については、コンソーシアムの代表幹事である本田技研工業株式会社 常務執行役員 二輪事業本部長の安部典明氏が「これまで国内二輪4社で協働検討を重ねた結果、交換式バッテリーの共通仕様の検証に向け、eやん OSAKAと連携することができました。

 

ここに至るまでコンソーシアムに関係する皆さまのご理解とご協力に感謝いたします。一方で電動二輪車の普及には、まだまだ解決すべき課題があることは認識しております。

 

今後も引き続き、お客様の利用環境改善へ各社が協調して検討を進める領域と、お客様へ魅力的な商品やサービスのご提供を目指して切磋琢磨して取り組む競争領域と、両面で努力し、皆様の移動手段として“選ばれる”二輪車となるように真摯に取り組んでまいります」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。