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2021年8月11日【MaaS】

車の定額制サービス、利用検討は1割未満。JDパワー調べ

NEXT MOBILITY編集部

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J.D. パワー ジャパン(以下「J.D. パワー」)は8月11日、コロナ禍でのカーライフやクルマの意向に関するアンケート調査における、車の定額制サービス「サブスクリプション」と「カーリース」に関する一般消費者の考えについて公開した。

 

「サブスクリプション(サブスク)」は、定額料金を支払ってコンテンツやサービスを利用することで、商品を「所有」せず、一定期間「利用」するビジネスモデルを指す。音楽や動画、ファッション、食品など様々なジャンルで利用が広がっており、車のサブスクはトヨタが2019年にスタートした「KINTO(キント)」を始め、「ホンダマンスリーオーナー」や「NOREL(ノレル)」などが代表的。

 

一方、「カーリース」は歴史が古く、法人向けカーリースが日本で登場したのは1960年代、個人向けカーリースが登場したのは1980年代。利用者が選んだ新車の月々の使用料金をカーリース会社に支払い利用するシステムになっている。

 

 

 

 

ローンの利用や現金での支払いという従来の支払い方法から、残価設定型ローンの利用が大きく伸長している。この傾向は、この数年で起きた「自動車の購入」における大きな変化の一つと言える。

 

そんな中、カーリースやサブスクでは、認知率はサブスクリプションサービスで2人に1人、カーリースで4人中3人という結果が出たものの、その内訳を見ると「名前を見聞きしたことがある」程度にとどまっている人が過半数を占めており、現状ではカーリースやサブスクといったサービスへの馴染みが薄いことがうかがえる。また、利用に関する関心度についても、世代や車の保有有無を問わず、まだ低い水準にあることが明らかになった。

 

 

半数以上が車のサブスクリプションサービスを認知
車のサブスクリプションサービスについて知っているか尋ねたところ、「名前は見聞きしたことがある」が33%、「サービス内容を知っている」が23%(何となくは知っている:18%、詳しく知っている:5%の合計)という結果になった。全体の半数以上(56%)の人が車のサブスクリプションサービスの存在を少なからず認識していることになる。

 

サブスク各社は主に若者やクルマを保有していない層をターゲットにした施策を実施している印象だが、調査ではどの世代で見てもサブスクの認知率(「名前は見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)が55~56%という結果になり、世代による開きは見られなかった。

 

一方、現在車を保有している層と保有していない層で比較すると、車保有層でのサブスクの認知率が59%であるのに対し、非保有層でのサブスクの認知率が45%となり、現在車を保有している層のほうがサブスクに馴染みがあることが判明した。

 

 

 

今後、サブスクの利用を検討する人は一割未満
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものを尋ねたところ、サブスクリプションサービスの利用を「検討する」と回答したのは全体の4%にとどまった。現在車を保有している層だけで見ても5%という結果で、あまり差は見られなかった。

 

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに車のサブスクリプションサービスの利用や関心が高まっていると言われている。この調査から、車離れと言われる若年層(20~34歳)からシニア層(60~69歳)までの全世代、また車の保有層だけではなく、車の非保有層においても一定の認知を得ているものの、実際の利用検討にまで踏み切れないという人がまだ大多数であることが確認できた。

 

 

 

7割以上が車のカーリースを認知
カーリースについて知っているか尋ねたところ、「名前は見聞きしたことがある」が39%、 「サービス内容を知っている」が35%(何となくは知っている:26%、詳しく知っている:9%の合計)となった。全体の7割以上(74%)がカーリースの存在を少なからず認識していることが確認できた。

 

世代別に見ると、シニア層(60~69歳)では85%が認知しているのに対し、若年層(20~34歳)では67%となり、世代間で大きな開きがあることが確認できた。

 

また現在車を保有している層と保有していない層で比較すると、保有層の認知率(「名前は見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)は80%、非保有層の認知率は58%と大きな開きがあった。

 

サブスクと異なり、車を保有している層やシニア層では特にその存在が認識されているようだ。

 

 

 

今後、カーリースの利用を検討する人は一割未満
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものを尋ねたところ、カーリースの利用を「検討する」と回答したのは全体の5%にとどまった。現在車を保有している層だけで見ても6%という結果で、あまり差は見られなかった。

 

 

 

カーリース利用率は2%、顧客満足度にも課題
新車購入から2~13カ月の保有者を対象にした別のJ.D. パワー調査(2020年8月発表、J.D. パワー 2020年日本自動車セールス満足度調査SM)によると、新車購入の際の支払い方法として実際にカーリースを利用した人はわずか2%であった。

 

購入時の満足度について、支払方法(現金、購入店のローン、残価設定型ローン、購入店のリース、購入店以外のローン)別に総合満足度を見ると、購入店でリース契約を利用した層の総合満足度は最も低くなっている。

 

特に、商談時における「購入価格の妥当感」「質問への回答/要望への対応」、契約手続き時における「契約書類・内容のわかりやすさ」「契約手続きに要した時間」などが、他の支払い方法に比べて低い満足度となっている。

 

 

■調査概要
– 「コロナ禍でのカーライフやクルマの意向」に関するアンケート
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年6月
対象者 :20~69歳の計2,800名
– 引用:J.D. パワー 2020年日本自動車セールス満足度(Sales Satisfaction Index、略称SSI)調査℠
調査方法:インターネット調査
調査期間:2020年5~6月
対象者 :メーカー正規ディーラーから新車購入後、2~13ヶ月経過したユーザー7,180名

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。