J.D. パワー ジャパン(以下「J.D. パワー」)は8月11日、コロナ禍でのカーライフやクルマの意向に関するアンケート調査における、車の定額制サービス「サブスクリプション」と「カーリース」に関する一般消費者の考えについて公開した。
「サブスクリプション(サブスク)」は、定額料金を支払ってコンテンツやサービスを利用することで、商品を「所有」せず、一定期間「利用」するビジネスモデルを指す。音楽や動画、ファッション、食品など様々なジャンルで利用が広がっており、車のサブスクはトヨタが2019年にスタートした「KINTO(キント)」を始め、「ホンダマンスリーオーナー」や「NOREL(ノレル)」などが代表的。
一方、「カーリース」は歴史が古く、法人向けカーリースが日本で登場したのは1960年代、個人向けカーリースが登場したのは1980年代。利用者が選んだ新車の月々の使用料金をカーリース会社に支払い利用するシステムになっている。
ローンの利用や現金での支払いという従来の支払い方法から、残価設定型ローンの利用が大きく伸長している。この傾向は、この数年で起きた「自動車の購入」における大きな変化の一つと言える。
そんな中、カーリースやサブスクでは、認知率はサブスクリプションサービスで2人に1人、カーリースで4人中3人という結果が出たものの、その内訳を見ると「名前を見聞きしたことがある」程度にとどまっている人が過半数を占めており、現状ではカーリースやサブスクといったサービスへの馴染みが薄いことがうかがえる。また、利用に関する関心度についても、世代や車の保有有無を問わず、まだ低い水準にあることが明らかになった。
半数以上が車のサブスクリプションサービスを認知
車のサブスクリプションサービスについて知っているか尋ねたところ、「名前は見聞きしたことがある」が33%、「サービス内容を知っている」が23%(何となくは知っている:18%、詳しく知っている:5%の合計)という結果になった。全体の半数以上(56%)の人が車のサブスクリプションサービスの存在を少なからず認識していることになる。
サブスク各社は主に若者やクルマを保有していない層をターゲットにした施策を実施している印象だが、調査ではどの世代で見てもサブスクの認知率(「名前は見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)が55~56%という結果になり、世代による開きは見られなかった。
一方、現在車を保有している層と保有していない層で比較すると、車保有層でのサブスクの認知率が59%であるのに対し、非保有層でのサブスクの認知率が45%となり、現在車を保有している層のほうがサブスクに馴染みがあることが判明した。
今後、サブスクの利用を検討する人は一割未満
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものを尋ねたところ、サブスクリプションサービスの利用を「検討する」と回答したのは全体の4%にとどまった。現在車を保有している層だけで見ても5%という結果で、あまり差は見られなかった。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに車のサブスクリプションサービスの利用や関心が高まっていると言われている。この調査から、車離れと言われる若年層(20~34歳)からシニア層(60~69歳)までの全世代、また車の保有層だけではなく、車の非保有層においても一定の認知を得ているものの、実際の利用検討にまで踏み切れないという人がまだ大多数であることが確認できた。
7割以上が車のカーリースを認知
カーリースについて知っているか尋ねたところ、「名前は見聞きしたことがある」が39%、 「サービス内容を知っている」が35%(何となくは知っている:26%、詳しく知っている:9%の合計)となった。全体の7割以上(74%)がカーリースの存在を少なからず認識していることが確認できた。
世代別に見ると、シニア層(60~69歳)では85%が認知しているのに対し、若年層(20~34歳)では67%となり、世代間で大きな開きがあることが確認できた。
また現在車を保有している層と保有していない層で比較すると、保有層の認知率(「名前は見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)は80%、非保有層の認知率は58%と大きな開きがあった。
サブスクと異なり、車を保有している層やシニア層では特にその存在が認識されているようだ。
今後、カーリースの利用を検討する人は一割未満
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものを尋ねたところ、カーリースの利用を「検討する」と回答したのは全体の5%にとどまった。現在車を保有している層だけで見ても6%という結果で、あまり差は見られなかった。
カーリース利用率は2%、顧客満足度にも課題
新車購入から2~13カ月の保有者を対象にした別のJ.D. パワー調査(2020年8月発表、J.D. パワー 2020年日本自動車セールス満足度調査SM)によると、新車購入の際の支払い方法として実際にカーリースを利用した人はわずか2%であった。
購入時の満足度について、支払方法(現金、購入店のローン、残価設定型ローン、購入店のリース、購入店以外のローン)別に総合満足度を見ると、購入店でリース契約を利用した層の総合満足度は最も低くなっている。
特に、商談時における「購入価格の妥当感」「質問への回答/要望への対応」、契約手続き時における「契約書類・内容のわかりやすさ」「契約手続きに要した時間」などが、他の支払い方法に比べて低い満足度となっている。
■調査概要
– 「コロナ禍でのカーライフやクルマの意向」に関するアンケート
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年6月
対象者 :20~69歳の計2,800名
– 引用:J.D. パワー 2020年日本自動車セールス満足度(Sales Satisfaction Index、略称SSI)調査℠
調査方法:インターネット調査
調査期間:2020年5~6月
対象者 :メーカー正規ディーラーから新車購入後、2~13ヶ月経過したユーザー7,180名