米・新興EVメーカーのフィスカー(Fisker inc.)は8日31日(米ロサンゼルス時間)、シティユース向けクロスオーバー型ピックアップBEV「PEAR」の車両情報を明らかにした。( 坂上 賢治 )
車両そのものは、先の8日3日に開かれた自社イベントのProduct Vision Day(プロダクト・ビジョン・デー/本記事末尾の最下段に掲載・但し長尺のためその旨、留意されたい)の壇上で、新型ピックアップトラック「アラスカ(Alaska)」と共に披露されたもの。
これ以降のPEARのお披露目は、9月4日から10日までミュンヘンで開催されるIAA Mobility 2023内に於いて、カウフィンガー通りのフィスカー・ラウンジで一般公開される予定だ。
このPEARは、フィスカーにとって初の若者層をターゲットとした車両であり、今後、同社ラインナップを拡張する同社にとっての量産車両となる可能性がある。またこのクルマは、オハイオ州のフォックスコン工場で生産され、気になる価格は29,900-ドルとなる見込み。予定納車は2025年7月からとしている。
コンパクトかつスタイリッシュなクロスオーバーボディを持つPEARは、5名または6名乗車のシートアレンジがあり、2タイプの搭載バッテリ容量により推定航続距離は180~320マイル。
車載コンピューターに社内設計した非対称アーキテクチャの〝Fisker Blade〟を搭載したことで、最大6.2TFLOP(1TFLOPは、浮動小数点演算を1秒間に1兆回行うことを表す単位)のスピードを叩き出す。この結果、使用ワットあたりのパフォーマンスが最大25%向上した。
この新型PEARの情報公開にあたり、フィスカーのヘンリック・フィスカーCEOは、「各国の大都市に住む若者達は、革新的なスタイリングと汎用性を併せ持つ手頃なモビリティを必要としている。今回、我々はPEARのリリースにより、旧態依然としたクルマづくりの常識を打ち破る」と語った。
そんなPEARは、2023年第2四半期に納車が開始されたフィスカー・オーシャン SUVより短い15フィート(4550mm) の全長を持ち、部品数を35%削減できる鋼製の軽量ボディを採用している。
また独特なトランク構造により、狭い路上での駐車でも荷物の積み降ろしが容易にする。この際トランクリッドとガラスは、リアバンパービームの後ろに移動する。
キャビン自体の耐久性も高く、積み荷の上げ下ろしで簡単に壊れてしまうような可動部品は存在しない。併せて室内と空間を共有しない引き出し型の格納区画を別に用意されているため、汗をかいたトレーニングギアなどを手軽に保管でき、室内に不快な臭いが入ることを防ぐ。
室内空間は、後部座席を含む全シートを倒して格納することでフラット化する。なお 5人乗り仕様の場合、助手席とセンターコンソールの区画に2人掛けのベンチを設けることもできる。
先の通りで搭載バッテリーは2タイプ。軽量蓄電池を搭載した仕様車は推定航続距離が180マイル。一方、長距離旅行に向く大型蓄電池搭載車は、推定航続距離320マイル(WLTP 推定値320~560 km)となる。
動力性能は0-90mphが6.3秒、0-100km/hが6.8秒。路面へのパワー伝達は、後輪駆動と4WDの2タイプ。タイヤは標準の20インチホイール車と、オプション設定の22インチホイールが用意される。