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2024年9月10日【新型車】

フィアット「600e」発表 25年春にMHEV

松下次男

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ステランティスジャパン(打越晋社長)は9月10日、フィアットの新型電気自動車(EV)「600e」のプレス発表会を東京・二子玉川ライズのスタジオ&ホールで開いた。600eは「セイチェントイー」と読み、同日から発売した。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

発表会の冒頭、打越社長はステランティスジャパンンの戦略に触れ、ステランティス傘下の7つのブランド全てでバッテリーEVの拡充を継続する一方で、市場動向に合わせてガソリン車を含めたマルチパスウエイ戦略を積極的に展開すると表明した。

 

打越社長はまず傘下の全ブランドで電動化車両がラインアップされるとともに、フィアット・ブランドに続き、ジープ、プジョー、シトロエンアルファロメオなどのブランドで立て続けに新型車を投入する計画を紹介。

 

そのうえで、BEVのみならず、プラグインハイブリッド(PHV)、マイルドハイブリッド、ガソリンエンジン車などの全てのパワートレインを展開する方針を語った。

 

これにより、ステランティスが元々持っていた「多様性のあるモデル」に加え、ユーザーのライフスタイル、カースタイルに即した形でパワートレインを選んでもらえる体制が整うと強調。「選択できる喜びをより強化」し、新しい時代に向け、ステランティスの強みになると話した。

 

このため600シリーズについてもマイルドハイブリッドの「セイチェントHV」を来年春ごろ日本に投入する計画だ。
今回、日本に導入することになった600eは昨年夏、欧州で発表された新型EVで、すでに国内でも8月1日にティザーサイトを公開済み。

 

新型EVはステランティスジャパン傘下のフィアット・ブランドのラインナップに1年半ぶりに加わる新モデルで、アイコニックなイタリアンデザインに快適性、革新性、テクノロジーを詰め込んだ100%BEVのコンパクトSUVだ。

 

最大の特徴は、1955年に発売した初代「600」や「500e」からインスピレーションを得たデザインを随所に散りばめた点であり、フィアット・ブランドとして初めて4つの運転支援機能を装備した。

 

来日したフィアット・ブランドのフランソワ・ルボワンヌ・チーフデザイナーは「すべて丸みを帯びたスタイルが特徴だ」と述べ、独自性のあるデザインを強調した。

 

ステランティスジャパンの熊崎陽子氏によると、フィアット・ブランドユーザーの50%以上が女性で、2台以上保有している人も60%となっており、約80%以上の人が「かわいい」と表現されたスタイルに満足しているという。

 

このため、600eについても「かわいい顔して、しっかりしたモノ」というキャッチコピーで展開し、ヤングファミリー層がメインのターゲットとなる。プレス発表会を二子玉川で開いたのも、ヤングファミリーのイメージと重なるためだ。 

 

エクステリアは、丸みのあるフォルムにLEDライトを装備。さらにグロスブラックのアクセントを随所に採用して、18インチダイヤモンドカットアルミホイールとともに精悍さを際立たせている。

 

 

インテリアはアイボリーカラーを基調とし、丸形のメータークラスターや2スポークステアリングホイールなど、初代600からのインスピレーションを散りばめている。シートにはアイボリーカラーのエコレザーシートを採用し、フィアットロゴのエンボスおよびターコイズブルーのステッチをアクセントとして加えている。

 

パワートレインは、54キロワットアワーのバッテリーを装備し、一充電航続距離(WLTC)は493キロメートルと従来から約2割航続距離を高めた。

 

運転支援機能では次の4つをフィアット・ブランドとして初めて採用。一つがレーンポジションアシスト で、任意の位置を設定しステアリングを握ることで、その位置を維持するレーンポジションアシスト機能を搭載。運転時のステアリングをサポートする。

 

このほか、運転席にシートマッサージ機能を搭載し、ドライバーの疲労を軽減するアクティブランバーサポートやハンズフリーパワーリフトゲート、キーレスエントリーを初めて採用した。

 

ボディカラーはフィアット・ブランドとして新色の「サンセット オレンジ」および「スカイ ブルー」、人気の「ホワイト」の3色を用意。

 

車両サイズは全長4200ミリメートル、全幅1780ミリメートル、全高1595ミリメートル。ホイールベースは2560ミリメートルの長さ。ポーランドのティヒ工場で生産される。車両価格(税込み)は585万円で、65万円の助成金がある。

 

また、ステランティスジャパンは600e発売を記念し、アニメ「ルパン三世」とのコラボレーション・キャンペーンを実施する。

 

ルパン三世のアニメ映画の中で、フィアットの代表モデルである「500」が愛車としてたびたび登場することから、ルパン三世がモチーフのアクセサリー7点を装備した特別仕様車を9月10日から発売したほか、オリジナルの短編小説やイラストなどを特設サイト内で公表する予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。