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2024年8月23日【IoT】

ファブリカら3社、中古EVの電池劣化を診断する実証開始

坂上 賢治

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業務効率化を推進するファブリカコミュニケーションズ、合成樹脂を担う丸紅プラックス、総合電機の東芝は8月23日、3社共同で中古電気自動車( EV )に搭載された電池の健康状態( 劣化度合いなど )を診断する実証事業「中古車EV電池診断プロジェクト」を開始した。

 

より具体的には、予てより( 2022年4月から )3社は東芝が保有する電池劣化診断技術を用いた評価指標の確立に取り組んできた。そうしたなかで今回、ようやく試作版の完成に漕ぎ着けた。

 

そこで同指標を、ファブリカコミュニケーションズが運営する中古車情報サイト「車選びドットコム」に今後、半年間掲載することで、当該指数の有効性と実用性を検証する。

 

 

(掲載例)
https://www.kurumaerabi.com/usedcar/detail/20781-18277/
<診断例 https://img1.kurumaerabi.com/image/202407/238/599bf5f9.jpg

 

https://www.kurumaerabi.com/usedcar/detail/20781-17996/
<診断例 https://img1.kurumaerabi.com/image/202407/239/c513a2c0.jpg

 

https://www.kurumaerabi.com/usedcar/detail/29192-5/
<診断例 https://img1.kurumaerabi.com/image/202407/162/c5f27541.jpg

 

3社は、このプロジェクトを通じて、中古車市場においてEVの電池の容量や劣化状態を定量的に判断する業界で初めての指標を確立し( ファブリカコミュニケーションズ、丸紅プラックス、東芝調べ )、購入者の信頼性向上を目指す。

 

ちなみにこの実証事業を実施する背景と狙いは、EVは「脱炭素化」の主役として2030年の温室効果ガスの削減目標( 日本の排出削減目標|外務省 )に向けて世界的に急速な市場拡大が予想され、中古EV市場もこれに伴い成長が見込まれることがある。

 

しかし一方で、中古EVの電池状態は評価が難しいという課題がある。そこで今回の実証では電池の残容量に加え、電気化学に基づいた指標を用いて電池の内部状態を可視化し、劣化度を定量的に判断する指標の確立を模索している。

 

3社によるバッテリ劣化診断の実証事業概要は以下の通り

 

先の通り3社は、短時間での電池測定・診断方法の確立に取り組んできた。また、診断に、あたっては二次電池の安全性や寿命を診断業務を行う(株式会社)電知の機材提供などによる技術協力のもと、短時間での正確な診断を実現する測定器の小型化に向けた技術を開発。一方で、様々な形でのフィールドテストを実施し、市場導入に向けた要件定義および仮説検証を重ねてきた。

 

今回は、実用に向けた市場実装を見据えたPoC( 概念実証 )実施を下敷きに、ディーラーでの電池診断結果( 測定方法や診断書、判定基準は下図1~4を参照されたい )を中古自動車販売サイトに掲載することで、購入者に信頼性の高い情報を提供。これにより参画3社は中古EV市場の取引活性化と信頼性向上を推進していきたい考えだ。

 

株式会社電知のEV車載電池用診断装置 Bi-S.C002P

 


測定方法および劣化度(P値)について


EVバッテリー診断の解説


EVバッテリー診断書(イメージ)


EVバッテリー診断書の総合判定基準

 

今後は、以降半年間に亘り、診断装置を用いて中古EVの電池状態を計測し、継続的に販売サイトへ掲載していく予定。この取り組みを通じ、EV市場全体の透明性と信頼性向上に貢献し、購入者と販売者双方にとって公平で健全な市場成長を支援することを目指す。

 

今回の参画各会社の概要は以下の通り

 

株式会社ファブリカコミュニケーションズ
・代表者 :谷口政人
・本社所在地 :愛知県名古屋市中区錦3-5-30 三晃錦ビル8F
・事業内容 :自動車販売業務支援システム開発・販売事業、 インターネットメディア事業、WEBマーケティング支援事業、自動車修理・レンタカー事業
・出資比率 :株式会社ファブリカホールディングス(東証スタンダード市場 証券コード:4193)100%
・ホームページ:https://www.fabrica-com.co.jp/

 

丸紅プラックス株式会社
・代表者 :曽倉義久
・本社所在地 :東京都文京区後楽一丁目4番14号 後楽森ビル9階
・設立 :1975年12月
・事業内容 :各種合成樹脂原料・製品販売、各種包装材料販売、自動車・一般工業用機能樹脂販売、電子デバイス材料販売
・ホームページ:https://www.plax.co.jp/index.html

 

株式会社東芝
・代表者 :島田太郎
・本社所在地 :東京都港区芝浦1-1-1
・設立 :1875年7月
・東芝グループ事業内容 :エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューション、電池事業
・ホームページ:https://www.global.toshiba/jp/top.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。