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2020年11月6日【経済・社会】

欧州史上初、新車販売でEVがディーゼル車を超える

NEXT MOBILITY編集部

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JATO Dynamicsは11月5日、2020年9月欧州新車販売台数速報を発表した。

 

 

2020年は世界中の自動車市場で、乱気流が吹いているが、特に欧州はその影響を受けてきた。今年の最初の9カ月間の合計販売台数は29%減となる854万台ではあったものの、欧州で電動化革命が起こるための要件が揃っていることを示すはっきりとした兆候が見られている。JATOのデータによれば、2020年9月に、すでにその兆候は見られている。

 

今回、調査を行なった欧州27カ国のデータによると、当月に販売された電動車の台数はディーゼル車の台数を超えている。5年前であれば、欧州で最も有力なのはディーゼル車であったが、今回、代替燃焼車(AFV)が内燃機関(ICE)の1種の台数を超えた。
*電動車とは、ピュアEV(BEV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、マイルドハイブリッド(MHEV)を合わせたものを定義

 

 

 

歴史的な電動車の成長

 

市場全体では、当月は前年同月比で1.2%増とわずかな伸びであったが、130万台の新車の乗用車の内、燃料タイプによって成長率が大きく異なることが分かる。ガソリン車とディーゼル車の台数は昨年同月から2桁減となったのに対し、電動車の方は139%増となる327,800台を売り上げ、台数でもマーケットシェアにおいても新記録を更新した。月次台数で電動車が30万台の壁を壊したのは今回が初めてであり、マーケットシェアが20%を超えたのは2度目である。

 

 

 

ディーゼル車の転落

 

同時に、ディーゼル車のマーケットシェアも当月過去最低となる24.8%となっている。ちょうど10年前、ディーゼル車は全体の50%を占めていたが、電動車はその時1%以下だった。

 

JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「内燃機関から電動車への転換が、ようやく起きている。もっとも、政府の政策と奨励金によるところが大きいが、消費者の方もようやくこれらの新しいテクノロジーを受け入れる用意ができているのだ」と述べた。

この状況の変化は、いくつかの自動車会社をよりいっそう味方している。例えば、フォルクスワーゲングループは、車両の電動化においても存在感を高めており、2015年のディーゼルゲート事件をなんとか乗り越えることができた。当月欧州で40,300台の電動車を売り上げ、ハイブリッド車(HEV)セグメントで圧倒的な地位を築いているトヨタに次ぎ、2番目の規模となっている。「SUVの場合と同じように、フォルクスワーゲングループは電動車の流行にも後れて参加した。しかしながら、同社の車両は競争力が高いためすぐに追いつき、今では首位になろうとしている」とMunozは付け加えた。

 

 

 

ハイブリッド車を取り巻く市況

 

当月、ハイブリッド車(HEV)とマイルドハイブリッド(MHEV)は合わせて、電動車全体の53%を占めており、販売台数は前年同月比124%増となった。トヨタとレクサスがいつも通り32%のマーケットシェアを占めたが、その他、フォード、スズキ、フィアット、BMWも販売台数を伸ばす。トヨタのいくつかの車種による優れた結果に加え、フォード プーマ(Puma)、フィアット500とフィアット パンダが販売台数を伸ばしており、。各モデルとも電動車率が高く、フォード プーマ(Puma)の内69%がマイルドハイブリッド。フィアット500とフィアット パンダは、その内それぞれ59%と41%がハイブリッド車であった。

 

 

 

 

フォルクスワーゲンはピュアEV(BEV)で首位に

 

ピュアEV(BEV)のモデル別販売ではテスラ モデル3が首位となったが、テスラの台数は前年同月比で5%減となった。その一方、ライバルのフォルクスワーゲンとルノーは台数をそれぞれ352%、211%伸ばしている。フォルクスワーゲンはテスラを抜き、全自動車メーカーの内、当月ピュアEV(BEV)の販売台数で首位となった。プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)では、メルセデスベンツが22%のマーケットシェアを得て首位となり、その後にボルボ、BMWが続いた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。