JATO Dynamicsは11月5日、2020年9月欧州新車販売台数速報を発表した。
2020年は世界中の自動車市場で、乱気流が吹いているが、特に欧州はその影響を受けてきた。今年の最初の9カ月間の合計販売台数は29%減となる854万台ではあったものの、欧州で電動化革命が起こるための要件が揃っていることを示すはっきりとした兆候が見られている。JATOのデータによれば、2020年9月に、すでにその兆候は見られている。
今回、調査を行なった欧州27カ国のデータによると、当月に販売された電動車の台数はディーゼル車の台数を超えている。5年前であれば、欧州で最も有力なのはディーゼル車であったが、今回、代替燃焼車(AFV)が内燃機関(ICE)の1種の台数を超えた。
*電動車とは、ピュアEV(BEV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、マイルドハイブリッド(MHEV)を合わせたものを定義
歴史的な電動車の成長
市場全体では、当月は前年同月比で1.2%増とわずかな伸びであったが、130万台の新車の乗用車の内、燃料タイプによって成長率が大きく異なることが分かる。ガソリン車とディーゼル車の台数は昨年同月から2桁減となったのに対し、電動車の方は139%増となる327,800台を売り上げ、台数でもマーケットシェアにおいても新記録を更新した。月次台数で電動車が30万台の壁を壊したのは今回が初めてであり、マーケットシェアが20%を超えたのは2度目である。
ディーゼル車の転落
同時に、ディーゼル車のマーケットシェアも当月過去最低となる24.8%となっている。ちょうど10年前、ディーゼル車は全体の50%を占めていたが、電動車はその時1%以下だった。
JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「内燃機関から電動車への転換が、ようやく起きている。もっとも、政府の政策と奨励金によるところが大きいが、消費者の方もようやくこれらの新しいテクノロジーを受け入れる用意ができているのだ」と述べた。
この状況の変化は、いくつかの自動車会社をよりいっそう味方している。例えば、フォルクスワーゲングループは、車両の電動化においても存在感を高めており、2015年のディーゼルゲート事件をなんとか乗り越えることができた。当月欧州で40,300台の電動車を売り上げ、ハイブリッド車(HEV)セグメントで圧倒的な地位を築いているトヨタに次ぎ、2番目の規模となっている。「SUVの場合と同じように、フォルクスワーゲングループは電動車の流行にも後れて参加した。しかしながら、同社の車両は競争力が高いためすぐに追いつき、今では首位になろうとしている」とMunozは付け加えた。
ハイブリッド車を取り巻く市況
当月、ハイブリッド車(HEV)とマイルドハイブリッド(MHEV)は合わせて、電動車全体の53%を占めており、販売台数は前年同月比124%増となった。トヨタとレクサスがいつも通り32%のマーケットシェアを占めたが、その他、フォード、スズキ、フィアット、BMWも販売台数を伸ばす。トヨタのいくつかの車種による優れた結果に加え、フォード プーマ(Puma)、フィアット500とフィアット パンダが販売台数を伸ばしており、。各モデルとも電動車率が高く、フォード プーマ(Puma)の内69%がマイルドハイブリッド。フィアット500とフィアット パンダは、その内それぞれ59%と41%がハイブリッド車であった。
フォルクスワーゲンはピュアEV(BEV)で首位に
ピュアEV(BEV)のモデル別販売ではテスラ モデル3が首位となったが、テスラの台数は前年同月比で5%減となった。その一方、ライバルのフォルクスワーゲンとルノーは台数をそれぞれ352%、211%伸ばしている。フォルクスワーゲンはテスラを抜き、全自動車メーカーの内、当月ピュアEV(BEV)の販売台数で首位となった。プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)では、メルセデスベンツが22%のマーケットシェアを得て首位となり、その後にボルボ、BMWが続いた。