マツダは内燃機関の改善を重視
当日は、まず基調講演として、マツダ株式会社 常務執行役員・シニア技術開発フェローの人見光夫氏が登壇。「マツダのものづくり ~選択と集中による開発革新~」というテーマで講演を行った。
講演の主な内容は、現在、急速に世界中に伝播しているEV(電気自動車)シフトに対する問題提議。
人見氏によれば、環境対策として内燃機関を搭載するガソリン車からEVへの移行が叫ばれる世間評が多いが、EV増加により増える電力消費量をいかにまかなうかも考慮する必要があるという。
確かにEVは、クルマ自体はCO2を出さない。だが、充電時間が長いこともあり、その数が増えることで、消費電力は増大する。また、現在はEVの数が少ないため電気料金も安いが、増えればガソリンのように税金が課せられる可能性もあり、「価格が上がる」ことも考えられるという。
また、発電方法も考慮が必要だという。石炭を燃やす火力発電ではCO2の削減には繫がらないし、現在は原子力発電も抑制されている。そんな中、太陽光や風力等の(比較的クリーンな)発電だけで増加するEVの電力消費をまかなうことにはインフラ投資等の面でも難しい。
しかも、いかに先進国等がEV開発を重視しても、今後20年先も新興国を中心に内燃機関を搭載したクルマが増えることは間違いないとも予測する。
そこで、同氏は、EV等の開発はもちろん必要ではあるが、まず今は、内燃機関の開発を重視すべきといった持論を展開。しかも、内燃機関は燃費やCO2削減の面でまだまだ改善する余地があるという。
同氏は、内燃機関でも「SKYACTIVE搭載車の実用燃費を、平均的発電方法で供給された電気を使うEVに対して10%強改善、火力発電で最もCO2排出量が少ないLNG(液化天然ガス)でも25%改善すれば追いつく」といった、SKYACTIVEのさらなる進化を目指す同社ならではといえる論旨を展開した。