アバルト車販売は日本がイタリアを超え、世界トップの市場へ
ステランティスジャパンは10月11日、電気自動車(EV)「アバルト500e(チンクエチェント イー)」のオンラインプレス発表会を開いた。500eはアバルト・ブランド初のEVで、10月28日から発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)
ステランティスジャパンの打越晋社長は500eの発売に当たり「アバルト・ブランドに新たな1ページを刻む」と強調した。
アバルト車はステランティスブランドの中で、フィアットと同様なコンパクトながらスポーツ性を前面に打ち出しているのが特徴だ。このため、打越社長は500eについて電動化で「さらにとんがり感が高まった」とアピールした。
アバルト・ブランドは日本が最重点市場という。2022年、日本で販売台数が2600台を超え、「イタリアを抜き、世界トップの市場」となった。
ステランティスジャパン傘下ブランド全てで電動化を実現
500eはそのブランドで初のEV。また、同車の発売により、ステランティスジャパンの全ブランドで電動化がラインアップされることになる。
新型500eは、コンパクトな車両サイズを維持しながら、114キロワット、235ニュートンメートルのレスポンスの優れたモーターと42キロワットアワーのバッテリーにより「きびきびした走り」を実現する。
0―100キロメートル加速は7秒で、ガソリン車を上回る性能だ。また、前後重量配分も57:43に改善するとともに、トレッドをガソリン車より60ミリ拡大し、クイックなハンドリングと安定性を両立させている。
加えて、新型500eはエンジン車に乗っているようなサウンドを再現。独自のサウンドシステム「サウンドジェネレーター」を装備し、EVとは思えないエキサイティングで刺激的な走りを表現する。
EVながらもアバルトのガソリンエンジン音を忠実に再現
サウンドジェネレーターは、ステランティス・グループのサウンドデザインスタジオと、イタリアのステランティス専任チームが共同開発した。ダイナミックな運転とスピード、アクセル開度とリンクさせ、アバルトのガソリンエンジンを忠実に再現したものだ。
サウンドジェネレーターは停止時にオン、オフの切り替えが可能だ。デザインでは、アバルトとして初めて、車体の随所に、ブランドアイデンティティであるサソリのパーツを模したデザインを採用する。
さらに18インチアルミホイール、フロントバンパー、ステアリングホイールにサソリの爪を模し、独特な外観のリップスポイラーはサソリの足を模している。
エクステリアは、全長3.6mのコンパクトな車体に18インチアルミホイールを採用し、アグレッシブさを持ちながら柔らかなプロポーションを実現する。
アバルトのEV化により女性ユーザーの増加を期待
インテリアは、黒を基調とした、シックでスポーティな空間を実現。これにより高級感のある室内空間を演出する。
アバルトはこれまで男性ユーザーが大半だったが、新型500eはキュートさも醸し出しており、女性ユーザーの増加を期待していると話す。
新型500eの日本導入を記念し、ローンチエディションの限定車「500e Scorpionissima(チンクエチェント イー スコーピオニッシマ)」を200台限定で同時に発売する。
車両価格(消費税込み)は615万円から660万円。導入記念限定車は630万円から。