ステランティスN.V.( Stellantis N.V. )傘下のDSオートモビルズは( 2月20日/仏パリ発 )、先の2023年10月から、車載インフォテインメント「DS IRISシステム」上へのChatGPTの実証導入を開始。その結果、音声認識の利用が50%以上増加したことを受けてChatGPTの標準搭載を決定。これまでの音声認識機能と組み合わせて、車内で生成AIを楽しむことを可能にする。
搭載に先駆けて実施した実証導入は、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスで実施。ChatGPTのクルマへの標準装備は、自動車ブランドとして世界で初めての試みとなる。なお、このChatGPT APIは、米SoundHound AI, Inc.( サウンドハウンド社 )が自社で独自開発したAI認識技術を介して動作する。
このDSオートモビルズとサウンドハウンド社の試みは、〝Connected Car Award 2023〟で2023年12月、ドライビング エクスペリエンスを新たな高みに引き上げたことが評価されて、Auto BildとComputer Bildによる「パイオニア アワード」にも賞されている。
そんなサウンドハウンド社は、デラウェア州を拠点に、法人企業向けにスマートな音声認識技術を組み合わせたAI電話での自動対応プラットフォームを提供している。その技術は、Speech-to-Meaning技術を介して自動音声認識( ASR )と自然言語理解( NLU )のプロセスをワンステップで行い、より速く精度の高い会話型音声アシストの構築を実現するものとなっている。
DSオートモビルズ各車へのChatGPT機能の追加導入は、同社のConnect Plus Packageの一部として提供される。このパッケージにはモデルに応じて、コネクテッドナビゲーション、リモートコントロールおよびeリモートコントロール、コネクテッドアラーム、Send2Nav、EV Trip Planner、e-Routesなどが含まれる。また同パッケージは、DSオートモビルズのすべてのモデルに3年間標準装備される。
具体的な搭載車種は、DS 3、DS 4、DS 7、DS 9の全モデルが対象。3月から出荷されるDS IRISシステムを装備するモデルで音声認識機能を導入している以下の18か国および13の言語で、同機能がインストールされる。なお日本市場へのChatGPT導入は、4月中旬を予定している。
• ドイツ(ドイツ語)
• オーストリア(ドイツ語)
• ベルギー(フランス語、オランダ語、ドイツ語)
• デンマーク(デンマーク語)
• スペイン(スペイン語)
• フランス本土、グアドループ、マルティニーク、レユニオン(フランス語)
• アイルランド(英語)
• イタリア(イタリア語)
• 日本(日本語)
• ルクセンブルク(フランス語、ドイツ語)
• ノルウェー(ノルウェー語)
• オランダ(オランダ語)
• ポーランド(ポーランド語)
• ポルトガル(ポルトガル語)
• チェコ共和国(チェコ語)
• イギリス(英語)
• スウェーデン(スウェーデン語)
• スイス(フランス語、ドイツ語、イタリア語)
これによりDSオートモビルズ車のユーザーは、インタラクティブな旅のパートナーとなり得るDS IRISシステムと音声認識で対話し、あらゆる質問をできるようになる。例えば、その例は以下の通り。
– 「このエリアにはどんな観光スポットがありますか?」
– 「10歳の息子と一緒にいて、これから2時間滞在できるのですが、この城では何をするのがお勧めですか?その場所まで案内してください」
– 「この料理と一緒に何を飲むのがお勧めですか?」
– 「この場所を舞台に、想定した人物を主人公にして物語を創作してください」など…。
いずれも道路から視線を逸らしたり、ステアリングホイールから手を離したりすることなく、移動中に質問とその回答を楽しんだり、学んだりすることができる。
この新機能の搭載についてDSオートモビルズCEOのオリヴィエ・フランソワ氏は、「当ブランドは、この決定によりChatGPTを自動車の世界に取り入れたパイオニアとなりました。
私たちは柔軟かつ直感的ゆアクセスが可能な生成AIを取り入れ、あらゆる移動の機会をユニークな旅に変えていきます。DSオートモビルの使命は、お客様にユニークな体験を提供することです」と導入の理由を語った。
またステランティスの最高ソフトウェア責任者のイヴ・ボンヌフォン氏は、「試験導入の成功と共に、テストに参加頂いたお客様からの反響を受け、私たちはChatGPT機能を標準装備する初めてのブランドになることを誇りに思います。DSすべてのモデルを皮切りに、間もなく他のステランティスブランドも続く予定です」と説明した。