NEXT MOBILITY

MENU

2019年4月19日【オピニオン】

トヨタ・ソフトバンク連合、自動運転でウーバーへ10億ドル出資

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 さてここに至るまでの1年を振り返ってみると2018年3月、アリゾナ州でUber社の自動運転実験車が道路を横断中の女性をはねて死亡させ、このアクシデントの原因が車両の技術的不足に加え、運行を管理していたドライバーの不注意だったことが明るみに出た。

 

 

これによりアリゾナ州の実証は停止命令が下され、Uber社の自動運転プログラムは一気に減速した。その後ピッツバーグでプロジェクトの再始動こそ実現したが、この間、ウェイモ社に大きく水を空けられた格好となった同プロジェクトは、今技術注力を仰ぐことで本格始動する運びとなりそうだ。

 

 その目標は2021年のUber社の配車サービスでの自動運転車両投入だ。これに乗じて以前から予定されていたことだがUber社は、先のもうひとつのライバルlift(リフト)に続いて先の11日に米証券取引委員会(SEC)に対してニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)を申請した。

 

実際の上場時期は5月上旬になるものと見られるが、上場時の時価総額規模はこのニュースにより1000億ドル規模超が予想されることになり、Uber社の企業価値を大きく見せることにも多く貢献するもと見られる。そうなると米国内で今年最大のIPO案件となっていく可能性がある。

 

そうした意味で米国国内に於いて、Uber社が輸送サービスの巨人になれるかどうかの鍵は、この3社の投資を伴う同計画の浮沈に掛かっているとも言えそうだ。またトヨタに取っても、特定地域(米国大陸)に於けるモビリティカンパニー実現への大きな挑戦の第一歩となる。

 

 

 実際、この米国内での成功如何が、ソフトバンクも含めASEANエリアに於ける同じライドシェア現地ベンチャーのグラブホールディングス・インク(Grab Holdings Inc.)との協業の可能性を探る布石となることは必須であるし、さらにトヨタのお膝元である日本に於ける「自らのモビリティカンパニーへの脱皮」を目指す格好の試金石ともなるだろう。

 

同記事のトップページへ戻る

1 2 3 4
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。