さてここに至るまでの1年を振り返ってみると2018年3月、アリゾナ州でUber社の自動運転実験車が道路を横断中の女性をはねて死亡させ、このアクシデントの原因が車両の技術的不足に加え、運行を管理していたドライバーの不注意だったことが明るみに出た。
これによりアリゾナ州の実証は停止命令が下され、Uber社の自動運転プログラムは一気に減速した。その後ピッツバーグでプロジェクトの再始動こそ実現したが、この間、ウェイモ社に大きく水を空けられた格好となった同プロジェクトは、今技術注力を仰ぐことで本格始動する運びとなりそうだ。
その目標は2021年のUber社の配車サービスでの自動運転車両投入だ。これに乗じて以前から予定されていたことだがUber社は、先のもうひとつのライバルlift(リフト)に続いて先の11日に米証券取引委員会(SEC)に対してニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)を申請した。
実際の上場時期は5月上旬になるものと見られるが、上場時の時価総額規模はこのニュースにより1000億ドル規模超が予想されることになり、Uber社の企業価値を大きく見せることにも多く貢献するもと見られる。そうなると米国内で今年最大のIPO案件となっていく可能性がある。
そうした意味で米国国内に於いて、Uber社が輸送サービスの巨人になれるかどうかの鍵は、この3社の投資を伴う同計画の浮沈に掛かっているとも言えそうだ。またトヨタに取っても、特定地域(米国大陸)に於けるモビリティカンパニー実現への大きな挑戦の第一歩となる。
実際、この米国内での成功如何が、ソフトバンクも含めASEANエリアに於ける同じライドシェア現地ベンチャーのグラブホールディングス・インク(Grab Holdings Inc.)との協業の可能性を探る布石となることは必須であるし、さらにトヨタのお膝元である日本に於ける「自らのモビリティカンパニーへの脱皮」を目指す格好の試金石ともなるだろう。