中古車買取・販売のガリバーを運営するIDOMは10月26日、展開しているアフリカ事業を分離(スピンオフ)し、新会社となる株式会社FMGを設立したと発表した。それとともに、創業期のスタートアップへの投資・成長支援を実施するサムライインキュベートの子会社のサムライインキュベートアフリカが運営する「Samurai Africa Fund 2号投資事業組合」より、FMGへの出資・成長支援が決定している。
アフリカ諸国においては日銭を稼ぐ層がまだ多い中、配車サービス等のドライバーとして生計を立てる人が増加傾向にある。車があれば、より多くの仕事を得られる一方で、アフリカでは銀行口座を持たない人が大半のため、与信を得ることができず、車を購入できないという現状がある。現在の車の二次流通では、アフリカの人々に中古車が届くまでに介在するプレイヤーが多い構造も問題となっており、車を購入する人々が安心して日本の中古車を手にできない状況が発生していた。また現地において、これらの問題を組織的に解決する企業が存在しないことも課題だった。
IDOMは、2017年より、アフリカ現地での調査をスタートし、クルマの流通構造や金融サービス等の検証を行いながら、新たな中古車流通の形を模索してきた。こうした取り組みを進める中、より柔軟かつスピーディーな事業運営を図ることを目的に、このたび同事業をIDOMからスピンオフすると同時に、サムライインキュベートからの出資を受けることとなったものである。
新会社FMGでは、これまでの取り組みに加えてドライバーを組織化し、ドライバーへ直接中古車を貸与すると同時にファイナンスも行う。FMGと配車サービス企業は、顧客属性、支払履歴、保証人、走行履歴等これまで可視化されていなかった良質な働き手の信用情報データを蓄積・共有連携し、FMGから配車サービス企業へ車両とドライバーをセットにして提供する。これにより、与信を取ることができなかった人々も車を入手して配車サービスで仕事をすることができるようになる。 また、FMGが日本からアフリカへ良質な中古車を直接輸出することで、構造をシンプルにすることができるため、相対的に割安な価格かつ、ドライバーが安心して日本の中古車を手に入れることができるようになる。
FMGは、IDOMで蓄積した流通ノウハウやリソースを強みに、アフリカ諸国における流通構造の変革を通じた新たなビジネスモデルの構築およびサービス改善・拡張を進めていく。またサムライインキュベートは、FMGへ資金の提供とともに”ハンズイン”型の成長支援として財務・広報・採用面でのサポートを強化する。
FMGの林亮代表取締役社長とサムライインキュベートの榊原健太郎代表取締役は、今回の設立について以下のようにコメントしている。
「今回、IDOMの強みと、サムライインキュベートの強みを掛け合わせ、新会社を設立し、短期ではなく長期視点に立ち、これから巨大市場に成長していくであろうアフリカ市場を攻略することのできる体制の基礎を作ることができました。 新型コロナウィルスの流行によって、世界が大きな影響を受けている環境ですが、このようなときだからこそ、大局的な視野を持ち、日本の自動車業界がこれまで築き上げてきた強みを活かしながら、次の世代に繋げることができるようなビジネスモデルを創り上げていきたいと考えています」
(FMG 林亮代表取締役社長)
「今回FMG、IDOM、弊社が一緒に取り組むことにより、生み出されるキーワードが沢山あります。大企業から”スピンオフ”する起業の方法や新規事業の作り方の事例になるだけでなく、日本のものづくりの中心産業でもある自動車関連であり、さらに、グローバルオープンイノベーションのビジネスだからこそ、次世代のビジネスに大きく繋げていけるとも考えています。 また、アフリカ大陸での雇用を創出することにもなり、SDGs目標の観点でも世界をリードできる日本のビジネス成功事例になりうる事業だと確信しています」
(サムライインキュベート 榊原健太郎代表取締役)
■FMG:www.fleetmg.co.jp