デンソーと、台湾半導体ファウンドリー大手のユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション (本社:新竹市/以下、UMC)の日本拠点であるユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン(本社:神奈川県横浜市/以下、USJC)は、5月10日、300mmウェーハでの「絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor以下、IGBT)」の出荷開始を発表した。2025年には月産10,000枚を目指すと云う。
世界的なカーボンニュートラルに向けた取り組みに於いて、電動車の開発・普及が加速する中、その航続距離や電費のさらなる向上が重要な課題に。電動車のモーターを駆動・制御するインバーターに採用されるパワー半導体には、発熱による電力損失の低減と小型化が求められていると云う。
デンソーは、従来のIGBT(IGBTとダイオードを別チップで接続したもの)と比べ、エネルギー損失を最大20%削減した小型で低損失な次世代IGBT(RC-IGBT=ダイオードと一体のIGBT)を開発し、10日、その生産をUSJCと共同で新設した製造ラインで開始。同日、野原経済産業省商務情報政策局長をはじめ、一見三重県知事、伊藤桑名市長、デンソーの有馬社長 、UMCのJason Wangコ・プレジデントなどの出席の下、その出荷式典が、USJC三重工場で行われた。
テープカットの様子。(左から)USJC ChairmanのS F Tzou氏、UMC Co-PresidentのJason Wang氏 、三重県知事の一見勝之氏、経済産業省商務情報政策局長の野原諭氏、桑名市長の伊藤徳宇氏、デンソー代表取締役社長の有馬浩二氏、デンソー経営役員の加藤良文氏
※タイトル画像は、出荷式の様子。(左から)デンソー代表取締役社長の有馬浩二氏とUMC Co-PresidentのJason Wang氏。
[各社コメント]
■デンソー代表取締役社長の有馬浩二氏
「本日、デンソー、UMC、USJCの3社のパートナーシップを象徴する記念すべき出荷式を迎えることができ、大変うれしく思います。半導体業界と自動車業界という異なるカルチャーを持った者同士が、お互いに尊重し合いながら地道に取り組んできたことは競争力の源泉となっています。今後もデンソーは、信頼し合える仲間とともに、競争力ある半導体の生産を通じて電動化をさらに加速させ、地球環境の保全と笑顔あふれる社会の実現に挑戦していきます」。
■USJC代表取締役社長の河野通有氏
「USJCが日本の半導体ファウンドリー企業としては初めて300mmウェーハでのIGBT製造を実現し、200mmウェーハでの製造に比べ、より高い生産効率をお客様に提供できることを誇りに思います。デンソーのサポートと当社の専門チームの貢献により、試作と信頼性テストを滞りなく完了し、お客様と合意した量産スケジュールを守ることができました」。
■UMC Co-PresidentのJason Wang氏
「車載ソリューションをグローバルに提供する、デンソーの戦略的パートナーになれたことを誇りに思います。今回の協業は、製造能力と協力的なアプローチによって、我々ファウンドリー企業がお客様を成功に導くことをまさに証明しました。自動車の電動化・自動化は、特に28nm以上のプロセスノードにおいて、スペシャルティ・ファウンドリーのプロセスで製造される半導体の車載搭載量を増加させていくでしょう。UMCは、スペシャルティ・テクノロジーのリーダーとして、自動車のバリューチェーンにおいてより大きな役割を果たす立場にあり、急速に進化する産業において我々のパートナーが市場シェアを獲得できることを目指します」。