東急、東日本旅客鉄道、伊豆急行は4月27日、観光型MaaS「Izuko」Phase3の実証実験の検証結果を発表した。
3社は、2020年11月16日から2021年3月31日に伊豆を中心としたエリアで、さまざまな公共交通機関や観光施設、観光体験をスマートフォンで検索・予約・決済できる観光型MaaS「Izuko」Phase3の実証実験を実施した。
実証実験では、サービスエリアを西伊豆エリアや静岡・静岡空港エリアまで拡大すると同時に、観光商品を、Phase2の約6倍にあたる125種に拡充させ、オリジナル観光体験を地元事業者と連携して作り出すなど、質と量の両面で、来訪目的の創出を推進。また、事前購入機能の導入および会員登録時の認証や決済方法の選択肢を増やすなど、利便性向上を図った。
各取り組みの結果は以下のとおり。
①エリア拡大の結果
販売枚数全体における中伊豆、西伊豆エリアの商品販売割合はPhase2の3倍(12%)に伸長し、利用エリア拡大の効果がみられた。
<エリア別・チケット種別販売枚数>
②観光商品拡充の結果
Phase2と比較した全チケットに対する観光チケットの販売割合は高くなり、より多くのニーズに合った観光商品を充実させることができたと考えられる。しかし、観光チケットの合計販売数は想定を下回り、コロナ禍の外出自粛の影響を受けたことが原因と考えられる。また、新たに開発した予約型のオリジナル観光体験商品については、利用者から好評を得たものの、コロナ禍の状況が見通せない中で、利用3日前までの予約が必要という制約が心理的ハードルになったと考察する。
<チケット販売枚数(Phase2との比較)>
③機能面拡充の結果
交通チケット購入者の約半数が事前に購入し、約4割が新しく導入した認証もしくは決済方法を利用するなど、利便性の向上に寄与したと考えられる。
<新機能の利用率>
そのほか、新たにワーケーション施設との連携を行った結果、全利用者の2%をワーケーション滞在者が占め、コロナ禍において生まれた新しい需要を確認した。その一方で、ワーケーション滞在者のニーズに即した商品開発など、伊豆の関係人口増加に向けた新たな課題も明らかになった。
<ワーケーション層の取り込み(Izuko利用者:N=29)>
利用者の9割が20-30代と非常に若く、飲食チケットの購入傾向が高い
今後は実証実験の結果を踏まえ、社会実装を含め、持続可能な運営体制や収益確保に向けて、関係者と検討していくとしている。
実験結果詳細
Phase3チケット販売数の推移
・12月末からのGoToキャンペーン停止、首都圏における緊急事態宣言の発出、それに伴う観光・宿泊施設の休業などが重なり販売数は低迷
・2月上旬の静岡県内での新型コロナウイルス警戒レベルの引き下げや河津桜の開花以降利用が伸長、緊急事態宣言解除後に利用者は大幅に増加
Phase3利用者属性(性年代)
20代を中心に、メインターゲットに設定した若年層の利用割合が増加
Phase3利用者属性(居住地)
利用者の居住地割合はPhase2とほぼ同様で、東京・神奈川が約6割を占める
AIオンデマンド交通「Izukoくろふね号」利用実績
・コロナ禍による周遊傾向低下、相乗り回避意識により、平均乗車回数はPhase2から減少
・新たに停留所を設定した宿泊施設を発着とする移動が全体の13%を占め、需要を確認