アウトドア志向の高まりに対応、タントシリーズの改良に合わせ追加
ダイハツ工業は10月3日、よりアウトドア志向色を高めた新モデル「タント ファンクロス」を発売した。タントシリーズの商品改良にあわせて追加したもので、奥平総一郎社長はオンラインで開いた商品説明会で「手軽にアウトドアが楽しめるなど、多様化するニーズに対応したモデル」と強調した。(佃モビリティ総研・松下次男)
タントシリーズは2003年に初代を発売した軽乗用車ジャンルのスーパーハイトの草分け。そのスーパーハイトは今や軽乗用市場の約半数を占める最大のジャンルとなっている。
その分、競合も増え、より特色、個性が求められている。そこで「タント」「タント カスタム」に加えて、楽しさやアクティブさを表現したファンクロスを加え、タントシリーズを3モデルに増やした。
改良した新型タントシリーズはすでに8月22日から先行受注を開始。これまでに月販目標の1万2500台の2倍強となる2万8千台を受注し、好調な滑り出しを見せている。
このうち、ファンクロスの受注は約25%を占めている。現状、最も受注比率が高いのはカスタムで、約45%を占める。
営業・商品企画などを担当する武田裕介取締役はファンクロスの販売比率について20%程度を想定しているとしながらも、アウトドア志向の高まりなどから「もっとヒットするかもしれない」とし、実際に「実車を目にすれば(カスタムシリーズ)の3割を超える可能性がある」との見解を示した。
半導体不足をはじめとした部品調達難などから車両納期に遅れが生じている問題については、ダイハツ車の多くは「1~3か月お待ち頂いている」と状態とし、一部車両では「6か月待ち」とした。
改良後の価格は据え置き、立ち上がり2〜3か月の納期でお届けしたい
これに対し、新型タントシリーズについては半導体不足など「予期せぬ事態があるものの、立ち上がりは2か月から3か月の納期でお届けしたい」と述べ、速やかに供給できるよう部品・資材を確保していることなどを示した。
さらに資材高騰や円安に伴う諸費用上昇から、これらの上昇分の車両価格への転嫁も迫れているが、奥平社長は「大変厳しい状況には間違いない。しかし、軽自動車は皆様の暮らしを支える重要なインフラであり、価格は据え置いた」と述べた。価格アップは「最後の手段」とも話す。
タントシリーズは2003年の初代以降、安全性を向上させるなどして現行の4代目へと進化。現行モデルは2019年にダイハツの新たな開発手法「DNGA(ダイハツ・にゅー・グローバル・アーキテクチャー)」を採用した第1弾であり、基本性能も大幅に向上させている。
今回の新シリーズはこれの改良版であり、それに新モデルを追加した。背景にあるのが、コロナ禍でもあり「手軽にアウトドアやキャンプを楽しみたいという人が増えている」ことなど、ニーズが多様化している点だ。
新モデルのファンクロスはアウトドアシーンに調和したアクティブ調とタフさを表現したスタイルを採用。新型カスタムは立体感を強調し、より上品で迫力あるスタイルに進化させた。
ファンクロスの車両価格(消費税込み)は172万1500円から193万500円。タント(カスタム含む)は138万6000円から199万1000円。