j.D.パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、以下:J.D.パワー)は10月21日、2020年日本自動車耐久品質調査の結果を発表した。同社はCS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関。
調査の結果、ブランドランキングの総合ではダイハツが初のNo.1ブランドを受賞、ラグジュアリーブランドでは3年連続の受賞となるレクサスがランクインした。
セグメント別ランキングでは、軽自動車セグメントでダイハツ「ムーヴキャンバス」、コンパクトセグメントでトヨタ「パッソ」が1位を獲得。ミッドサイズセグメントスバル「レヴォーグ」、トヨタ「カローラ」が同点1位。ミニバンセグメントではトヨタ「エスティマ」が1位となる結果となった。
出典:J.D.パワー 2020年日本自動車耐久品質調査℠(VDS)
調査は、新車購入後37~54ヶ月経過したユーザーを対象に8分野177項目でユーザーの不具合経験を聴取している。分野の内訳は、「外装」「走行性能」「装備品/コントロール/ディスプレイ」「オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)」「シート」「空調」「内装」「エンジン/トランスミッション」の8つ。すべての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘件数(Problems Per100vehicles=PP100)として集計され、数値が低いほど品質が高いことを示す。
業界平均のPP100は大幅に減少、特に実際の故障等に係る製造関連の耐久品質改善が顕著
総合不具合指摘件数は、業界平均62PP100(車両100台当たり平均62件の不具合指摘)となり、前年比-10ポイントの改善となった。最も品質改善が進んだ分野は「エンジン/トランスミッション(-2.4ポイント)」で、具体的な項目としては「アイドリングストップ(自動エンジン停止/再始動)機能の不具合」で-0.6ポイント、「AT/CVT‐変速中のもたつき/シフトタイミングが悪い」で-0.4ポイントの改善となった。その他の分野では「外装(-1.9ポイント)」、「内装(-1.8ポイント)」での改善が大きい。
ランキング対象14ブランド中7ブランドが-10ポイント以上の改善
ランキング対象となった14ブランド中12ブランドにおいて昨年に比べ不具合指摘件数が減少し、品質改善が進んでいる。
中でも-10ポイント以上改善したブランドは7ブランドで、特にマツダ(-24ポイント)、ダイハツ(-19ポイント)、BMW(-14ポイント)の3ブランドは競合に比べ品質改善が大きい。
耐久品質への満足と再購入意向への影響
調査では総合的な品質に対する評価についても10点満点で測定している。10点満点中9点又は10点と評価した層において、「(次回も)絶対にまた同じメーカー(ブランド)の車を買う」と回答した割合をみた。今年8月に発表した日本自動車初期品質調査(IQS)でも同様に、次回の購入意向について測定しているが、新車購入後2~9ヶ月のユーザーを対象にしたIQSでは26%であったのに対して、新車購入後37~54カ月のユーザーを対象にした本調査(VDS)では30%となり、より高い割合となっている。購入から長期間が経過しても品質に対して高い満足度を得ていることは、ブランドロイヤルティにより大きく影響するということが言えるだろう。
j.D.パワー オートモーティブ部門 シニアディレクター 浦山浩一は、調査結果に対し次の様にコメントしている。
「今年の耐久品質調査では、昨年と比較すると改善がみられた。しかし本調査を開始した2015年からみると、使いづらさやわかりにくさの指摘を測定する設計品質において、オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)では反対に不具合指摘が増え、改善があまり進んでいない領域もある。ロイヤルティ醸成においても、長期にわたってユーザーから高い評価を得られるよう、品質改善、品質維持に引き続き取り組むことが重要である。」
《 j.D.パワー 2020年 日本自動車耐久品質調査概要 》
年に一回、新車購入後37~54カ月のユーザーを対象に、所有する自動車の不具合経験についての評価を8分野177項目で聴取。自動車の耐久品質に関するユーザー評価を明らかにする調査。今年で6回目の実施となる。
■実施期間:2020年6月~7月 ■調査方法:インターネット
■調査対象:新車購入後37カ月以上54ヶ月以内のユーザー■回答者数:19,488人
※j.D.パワーが調査結果を公表する全ての調査は、j.D.パワーが第三者機関として自主企画し実施したもの。