ロールス・ロイス・モーター・カーズは8月29日、東京都内でスーパー・ラグジュアリーSUV「カリナン・シリーズ(Cullinan Series)Ⅱ」を日本初公開した。同車は全国の正規代理店を通じて2024年第4四半期から順次、納車を開始する予定。(佃モビリティ総研・松下次男)
加えて、ロールス・ロイスをより直感的に表現した「ブラック・バッジ・カリナン・シリーズ(Black Badge Cullinan Series)Ⅱ」も同時展開する。英ロールス・ロイス・モーター・カーズは独BMWグループの完全子会社。
新車発表会でスピーチしたロールス・ロイス・モーター・カーズのアイリーン・ニッケイイン・アジア太平洋リージョナル・ディレクターは近年、ロールス・ロイスのユーザー層が変化していると強調し、「若い世代が増え、自らハンドルを握るセルフドライバーが多くなった」と話した。
それに一役買っているのがスーパー・ラグジュアリーSUVのカリナン・シリーズだ。2018年に初代のカリナン・シリーズが登場したころは、自身でハンドルの握るユーザーは70%未満だったが、現在はほとんどのオーナーがカリナンを運転し、運転手を利用するユーザーは10%を下回るという。
また、カリナンは新たなユーザーを獲得し、その平均年齢を2010年の56歳から現在の43歳へと大きく若返らせ、ロールス・ロイス全製品の中で最も需要の大きいモデルへと成長した。
このようにカリナンは、ロールス・ロイス・モーター・カーズに新たな位置を築き、超高級消費者世代とのコラボレーションによって形作られているのが特徴だ。カリナン・シリーズⅡはこうした位置付けを一段と進化させる。
その特色は、初代カリナンの本質的な要素を着実に受け継ぎながら、変遷するラグジュアリーのコードと進化するユーザーの利用パターンを反映させていることだ。
エクステリアでは、デイタイム・ランニング・ライトにグラフィカルで垂直性のあるデザインを採用し、昼夜を問わずシリーズⅡが容易に識別できるのが特徴の一つ。そのデザインはカリナンが駆け抜ける大都会のライトアップされた摩天楼にインスピレーションを得たものとし、都会的で若々しいユーザーへ向けたディテールを醸し出す。
エクステリアで核となるのは圧倒的な存在感を示すイルミネーテッド・パンテオン・グリル。シリーズⅡに初めて採用された同グリルは、前縁を低く下げて刷新したものだ。また、デイタイム・ランニング・ライトとの間にポリッシュ仕上げの水平な「ホライゾン・ライン」が追加され、ロールス・ロイスの最高峰モデル、ファントム・シリーズⅡと明確なつながりがあることを示す。
サイドはサーフェーシングに更なる変化を加えるなど、不変なフォルムの中にも更なる躍動感を生み出させている。リアには大胆な力強さを表現させるフォルムが生かされた。インテリアでは、インテリアパレットに新たに植物由来の素材と現代的な工芸技術を採用する。
カリナン・シリーズⅡではデジタル・インターフェース「スピリッツ」とロールス・ロイスのオーナー専用アプリ「ウィスパーズ」が統合され、アプリを通じて車両に目的地を直接送信したり、車両位置の遠隔操作や施錠を管理することができる。さらにインターネット接続の搭載により、Wi―Fiホットスポット接続を利用し、各スクリーンを個別に視聴することが可能だ。
車両サイズは、全長5355ミリメートル、全幅2000ミリメートル、全高1835ミリメートルで、ホイールベースが3295ミリメートルの長さ。搭載エンジンはV型12気筒6・750リットルで、最高出力は420キロワット。燃費は100キロメートル当たり16・8~16・0リットル。
ニッケイン・ディレクターの発表会でのスピーチの骨子は次のとおり。
「カリナン・シリーズⅡは2018年の初代以来の成功を収めてきた理念と品質を忠実に受け継ぎながら、洗練された比類なき能力を新たな高さへと進化させています。また、ビスポークを通じて求められている要件を巧みに提供しています。近年、私たちはロールス・ロイスのお客様が変わりつつあることを実感しています。それは若い世代であり、初めて接する人々です。自らお買い物を行い、ハンドルを握るセルフドライバーの人たちです。そしてこのスーパー・ラグジュアリーSUVは、私たちの大胆で、妥協を許さないお客様とのコラボレーショによって実現しました」
「まもなくアンベールするカリナン・シリーズⅡは最新の注意を払ってアップデートされたデザイン、新素材、そして精巧でコンテンポラリーなカスタマーシップにより、さらに大胆さを表現しています。実は、2か月ほど前にグローバルイベントがスペインで行われ、そこでグローバルなジャーナリストとお会いし、このカリナン・シリーズⅡを実体験しました。そこでは多くのポジティブな意見をいただきました。そして私どもは発売当初から二つに選択肢を提供したいと考え、初めてブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡを提供することになりました。この洗練されたエクステリアからラグジュアリーなインテリアは、これまで我々がロールス・ロイスに追及してきたものであり、お客様の要望に応えるゆるぎない姿勢を表すものです」