カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research/カウンターポイント社)は1月17日、Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Trackerによる2023年第3四半期EVグローバル市場の最新調査を発表致した。
なお今発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したもの。 (調査時期:2023年7月1日~2023年9月30日)
まず中国はEV市場で世界最大市場の地位を維持したものの、同国での販売はかつての勢いを取り戻そうと苦戦中の状態にある。
その背景には、経済の見通しが弱含んでいること、そして、価格競争が激しいという理由がある。実際、2023年第3四半期に於ける中国のBEV販売の伸びは僅か11%と世界平均に届かないものだった。
但し中国メーカーは世界中でBEVを13万台販売し、2022年第3四半期から4倍増となっている。マーケットはTesla、BYD Auto、Volkswagen AGがBEV販売のトップセラー企業であり、BYD Auto(Denzaを除く)は、Teslaに追いつき、更に第4四半期にはTeslaを追い抜いて世界トップになる見込みとした。
図1: グローバル乗用BEV自動車メーカー・2023年第3四半期における販売台数シェア出典: カウンターポイント社Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Tracker Q3, 2023※BYDにはDenzaを含む (Denzaを含まない場合、BYDのBEV販売台数はTeslaより少ない)
EVグローバル市場動向に関して、カウンターポイント社シニアアナリストSoumen Mandal氏は、「中国は依然としてグローバルBEV市場の58%を占めており、米国は約12%の市場シェアを獲得している。
また、3番目に大きいBEV市場であるドイツでは、市場が毎年60%成長している。更に値ごろな車種が手に入るようになり、BEV市場はインドや東南アジアなどの新興国でも立ち上がりつつある。
2023年中に米国の市場は急成長したが、米国BEV市場が第3四半期に前年同期比63%も伸びたにも関わらず、消費者は、内燃機関を採用する従来の車種やハイブリッド車よりも、BEVのために余分の出費をしたくないという傾向があるため、一部のメーカーはEV関連の投資を縮小しつつある。
FordはEV向けの120億米ドルの投資を延期した。またGMはEVを減産しEVの新車投入を遅らせることを決めた。さらにGMはHondaと共同で低価格EV(30,000米ドル未満)を生産する計画を白紙に戻した」と説明した。
図2: グローバルトップ5BEVモデル出典: カウンターポイント社Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Tracker Q3, 2023
またEVのグローバル市場の見通しに関して、カウンターポイント社リサーチディレクターJeff Fieldhack氏は、「2023年中にBEVの年間販売台数がほぼ1,000万台に達するとみられる。
メーカーの期待は下回るものの、米国のBEV販売は前年比50%を超える見通しだ。リチウムイオン電池のコストが下がり、あわせて低価格な代替バッテリー材料の開発が進めば、BEVはさらに買いやすくなる。
欧州も米国もBEVに必須な鉱物類の入手を確実にするため、相当な投資を継続するだろう。中国への依存を軽減するためである。
欧州の自動車市場に対する中国の影響に対処するため、EU欧州連合は中国で製造されたBEVに対する反補助金調査を開始した。中国からの低価格BEVの流入は欧州国内の自動車メーカーには悪い影響を与える。その理由は、BEV市場での価格競争が激化するからであり、その激しさはさらに増すだろう」と述べている。