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2024年1月18日【経済・社会】

カウンターポイント、2023年第3四半期EV市場を評価

坂上 賢治

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カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research/カウンターポイント社)は1月17日、Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Trackerによる2023年第3四半期EVグローバル市場の最新調査を発表致した。

 

なお今発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したもの。 (調査時期:2023年7月1日~2023年9月30日)

 

まず中国はEV市場で世界最大市場の地位を維持したものの、同国での販売はかつての勢いを取り戻そうと苦戦中の状態にある。

 

その背景には、経済の見通しが弱含んでいること、そして、価格競争が激しいという理由がある。実際、2023年第3四半期に於ける中国のBEV販売の伸びは僅か11%と世界平均に届かないものだった。

 

但し中国メーカーは世界中でBEVを13万台販売し、2022年第3四半期から4倍増となっている。マーケットはTesla、BYD Auto、Volkswagen AGがBEV販売のトップセラー企業であり、BYD Auto(Denzaを除く)は、Teslaに追いつき、更に第4四半期にはTeslaを追い抜いて世界トップになる見込みとした。

 

図1: グローバル乗用BEV自動車メーカー・2023年第3四半期における販売台数シェア出典: カウンターポイント社Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Tracker Q3, 2023※BYDにはDenzaを含む (Denzaを含まない場合、BYDのBEV販売台数はTeslaより少ない)

 

EVグローバル市場動向に関して、カウンターポイント社シニアアナリストSoumen Mandal氏は、「中国は依然としてグローバルBEV市場の58%を占めており、米国は約12%の市場シェアを獲得している。

 

また、3番目に大きいBEV市場であるドイツでは、市場が毎年60%成長している。更に値ごろな車種が手に入るようになり、BEV市場はインドや東南アジアなどの新興国でも立ち上がりつつある。

 

2023年中に米国の市場は急成長したが、米国BEV市場が第3四半期に前年同期比63%も伸びたにも関わらず、消費者は、内燃機関を採用する従来の車種やハイブリッド車よりも、BEVのために余分の出費をしたくないという傾向があるため、一部のメーカーはEV関連の投資を縮小しつつある。

 

FordはEV向けの120億米ドルの投資を延期した。またGMはEVを減産しEVの新車投入を遅らせることを決めた。さらにGMはHondaと共同で低価格EV(30,000米ドル未満)を生産する計画を白紙に戻した」と説明した。

 

図2: グローバルトップ5BEVモデル出典: カウンターポイント社Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Tracker Q3, 2023

 

またEVのグローバル市場の見通しに関して、カウンターポイント社リサーチディレクターJeff Fieldhack氏は、「2023年中にBEVの年間販売台数がほぼ1,000万台に達するとみられる。

 

メーカーの期待は下回るものの、米国のBEV販売は前年比50%を超える見通しだ。リチウムイオン電池のコストが下がり、あわせて低価格な代替バッテリー材料の開発が進めば、BEVはさらに買いやすくなる。

 

欧州も米国もBEVに必須な鉱物類の入手を確実にするため、相当な投資を継続するだろう。中国への依存を軽減するためである。

 

欧州の自動車市場に対する中国の影響に対処するため、EU欧州連合は中国で製造されたBEVに対する反補助金調査を開始した。中国からの低価格BEVの流入は欧州国内の自動車メーカーには悪い影響を与える。その理由は、BEV市場での価格競争が激化するからであり、その激しさはさらに増すだろう」と述べている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。