EV販売は22年に1,000万台突破、同年第4四半期は前年同期比53%増に
カウンターポイント社 (カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ)は3月28日、乗用電EV販売が2022年第4四半期に前年同期比53%増加し、2022年合計で1,020万台を超えたとする調査結果を(米国では3月1日に)公開した。
なお同発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法(時期:2022年10月1日~2022年12月31日)で実施したもの。
その2022年第4四半期に於いて、バッテリーEV (BEV) がEV販売全体の72%を占め、残りがプラグインハイブリッド (PHEV) に。EVの三大市場は中国、ドイツ、米国であり、またEVのトップ10社は、合わせて39の乗用車ブランドを販売し、2022年第4四半期のEV販売のほぼ72%を占めたという。
2022年第4四半期におけるグローバルEV自動車企業販売シェア
この市場動向の結果についてカウンターポイント社リサーチアナリストのアビク・ムカジー(Abhik Mukherjee)氏は「調査(同調査はBEVとPHEVをEVとして扱い、HVとFCVは同調査の対象外)によると仮にCOVID-19の新たな感染流行が中国で発生しなければ、2022年のトータルは1,100万台近くになっていたはずだ。
COVID-19が11月から12月に掛けて流行した中国では、自動車の製造にも販売にもCOVID-19が深刻な影響を及ぼし、部品のサプライチェーンも破壊してしまった。
しかしそんな逆風の中でも中国メーカーは力強く成長した。実際、2022年には多くの中国メーカーが欧州、東南アジア、中南米などに事業を拡大し始めた。
その理由は東南アジアや中南米で、国際展開している自動車メーカーがほとんどない事がある。このため中国メーカーが世界市場を支配する勢いがみられる。また欧州では市場のプレゼンスを巡って更なる競争が起きる事が予測される。
そんな世界市場ではEVのトップ10車種が、2022年第4四半期の乗用EV販売全体の1/3を占め、TeslaのModel Yが世界で最も売れた車種の地位を守り、BYDのSongがその後を追っている。
2022年第4四半期におけるグローバルEV自動車販売トップ10ランキング
またModel Yは、2022年第4四半期に2か月連続で、欧州に於いて最も売れた車種となっており、2022年第4四半期に於けるEVのトップ10車種のうち7車種がBYDとWuling製という結果となった。この2社は中国市場でも圧倒的な存在感があり、同国のEV市場の進化を牽引している存在だ」と説明する。
更に今後の電気自動車市場の行方関してカウンターポイント社シニアアナリストのソウミン・メンダル(Soumen Mandal)氏は「EVは予想より速いペースで主流になりつつある。2023年末にはEVの販売は1,700万台近くになるだろう。
特に米国市場に於いては、7,500米ドルの税額控除が受けられるため、今年は米国EV販売が押し上げられるだろう。
一方、中国では購入補助金制度が終わるため、EV各社が販売価格を上げる可能性がある。BYDはすでに1月に価格の引き上げを行った。
とはいえ、中国のように成熟したEV市場に於いては、こうした価格引き上げが販売(販売は卸し段階の数字であり各社工場からの出荷の台数を指す)に影響を与える可能性は低い。
リチウムの価格が2023年後半に下落する見通しである事もEV販売には追い風である」と語っている。