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2020年5月19日【エネルギー】

コロナ禍を機にクルマの体験意識に変化、デルフィス調査

坂上 賢治

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〝自動車を買いたい人〟が、〝購入中止・延期した人〟を上回る

 

 トヨタ100%出資の広告会社デルフィス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長: 棚田京一)は、コロナ禍真っ只中のGW中2度に別け(第1回:1,000名、第2回:600名)、人口構成比に沿った18歳~69歳の男女に対して〝移動〟をテーマとした意識調査を実施した。(坂上 賢治)

 

この調査は、政府が「緊急事態宣言延長」を発表した5月4日を中心に、GW前半(4月28日と29日)と、GW終了後(5月11日と12日)に行われた。

 

 

 その結果〝移動に関わる意識変化〟で、都市部でもクルマの利用頻度が増え、全国規模でも〝安全な移動手段〟としてクルマが再認識されて乗用車に対する購入意欲が高まっているという。

 

また〝生活意識に関わる変化〟では、外出行動で我慢が続くなか「気軽に外食に行きたい」などの欲求のほか、コロナ禍収束に向けて「前向きに頑張りたい」とした生活意欲の高まりが全体の7割を超えたとした。

 

 

新しい日常に向けた、新たな消費行動と生活者意識

 

 具体的には〝今後どのように暮らしたいか〟という質問ついて、全ての性年代で「当たり前の日常を大切にしたい」という意見。

 

さらに世代別では10〜20代男女を中心に「新しいモノやサービスを取り入れて生活を改善したい」「新しいコトを始めてみたい」という意識が高い意見が弾き出され、コロナ禍収束後を見据えた行動意欲に積極性が見られる数値を得たとしている。

 

 

 これを受けてデルフィスでは「感染リスク防止の観点で、安全な移動手段 × プライベート空間」という二面を兼ね備えたクルマの価値が再認識され、このような安全価値の高まりに伴いクルマの購入ニーズが高まっているとした。

 

 

同調査に於けるより具体的な例では〝期間中クルマを運転する頻度が増えたか〟という設問に、特に感染者が多い一都三県(埼玉・千葉・東京・神奈川)で26%と大きな増加傾向が見られるとし、〝所有から利用〟に移り変わってきたクルマに対する価値観に新たな変化の兆しが生まれていることを予見した。

 

 これについて同社のコミュニケーションデザイン局・朝岡幹雄局長は「〝屋外でのプライベート空間の確保〟と〝新しい日常〟に向けた人々の活動を軸に考えると、新しい日常を前向きに捉え、プライベート空間としてのクルマを上手に使いながら、安全に自分の時間を楽しむ人々が、今後はさらに増加するものと推察します」と結んでいる。

 

 

「所有よりも利用」という流れが揺り戻される新たな潮流

 

 もとより今回の新型コロナ禍により、個々人の仕事などの生産・経済活動に箍(たが)がはめられたことを通して、生活上の懐具合いに深刻な影響が及んでいるのは確かだ。

 

それに加えて、本来は自由である筈の〝時間〟や〝移動〟などの行動にも制限が加えられていることから、もはや制限撤廃後の経済社会の戻り予測に疑問符が付くほどの状況となっており、消費意欲の長期低迷で、未来の行く末に対して予断を許さない状況にある。

 

 

 そうしたなか翻(ひるがえ)ると、ここ数年は若年層を中心に〝繋がり〟を軸としたコミュニケーション消費が堅実に伸び続けてきた。

 

これにキャッシュレス決済などの比較的新しいデジタル消費行動が加わり、一頃、モノを買って所有するより、その体験をサービスとして利用できればいいという価値観が急速に高まってきていた。

 

 しかし今回の〝移動制限〟や〝ソーシャルディスタンスの遵守〟という新たな生活スタイルの導入によって、早晩には得られない体験や、利用できなくなったサービスが幾つか出始めている。

 

 

つまるところ個々人を取り巻く生活上のリスクを避けるため、〝利用するだけ〟より、むしろ〝所有した〟方がストレス無く体験価値が愉しめる事例が新たに生じてきたということだろう。

 

従って今後は一気に揺り戻しが起きて、体験内容によっては〝モノを所有すること〟への回帰が生まれるかも知れない。アフターコロナに於ける〝商機〟が、そうした新しい消費行動に伴って誕生しそうな機運が育まれ始めている。

 

以下デルフィス調べ
コロナ禍における「移動」「クルマ」に関する意識調査を実施

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。