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2021年6月7日【エネルギー】

キャンピングカー白書2021、市場は582億円となり拡大

NEXT MOBILITY編集部

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一般社団法人日本RV協会は6月7日、「キャンピングカー白書2021」の内容を抜粋し、発表した。

 

 

■キャンピングカー保有台数は対前年比106.7%で約127,400台に
国内にキャンピングカーがどの程度保有されているのか、調査対象の生産台数、輸入台数、販売台数、廃車台数から、その数値を割り出してみた。すると、2020年のキャンピングカー保有台数は約127,400台となり、対前年比106.7%の増加となった。(図1)

 

国内のキャンピングカー保有台数は増え続けており、2016年に10万台を超えてから、順調にその数値を伸ばしている。

 

図1

 

 

■キャンピングカーの国内生産台数は前年対比115.3%で7,000台を超える
国内のキャンピングカー生産台数は順調に増えていて、2020年の生産台数は7,434台となった。キャブコン、バンコン、バスコン、キャンピングトレーラー、8ナンバー以外のクルマがともに、前年の生産台数を上回っている。(図2)

 

生産台数の比率はバンコンが全体の31.2%を占めており、軽自動車ベースのモデルを除外した数値でも、キャブコンの31.0%を抑えて37.0%となっていることから、国内生産台数のバンコン占有比率が高いことが分かる。

 

軽ベースの車両を注目してみると、キャブコンは対前年比83.6%であったが、バンコンは144.7%と増加している。また軽ベースの8ナンバー以外の車両も、対前年比で161.2%と増えていることから、軽ベースのクルマの生産台数が増加したことが分かる。

 

図2

 

 

■2020年のキャンピングカー販売総額は582億円となり市場は拡大
新車、中古車のキャンピングカー、8ナンバー以外となるキャンピングカー仕様車の新車、中古車のすべてを合わせて、販売総額を集計したところ、2020年は582億2,389万円となった。(図3)

 

2017年から424億円、458億円、526億円、582億円と増加しながら推移してきている。車種ごとの販売金額を見てみると、キャンピングカー登録となる8ナンバーの新車が336億円、中古車が137億円、8ナンバー以外の新車が90億円、中古車が17億円であった。

 

前年と比べると多くの車種で総販売額が増えており、なかでも8ナンバー以外の新車は対前年でプラス41億円と大幅な増加をみせた。前出の生産台数では、8ナンバー以外のクルマが減少していることから、1台あたりの販売価格が上昇したのかもしれない。

 

図3

 

 

■コロナ禍で活動が制限された2020年の現状
新型コロナウイルスの影響を受け、キャンピングカーの利用に変化があったオーナーに、どのような変化が起きたのかを聞いてみた。(図4)

 

最も多かったのが、旅行を計画しなくなったであった。キャンピングカーユーザーは活発に活動する人が多いが、今回の影響によって、旅行自体を諦める人がたくさん居たようだ。不要不急の外出は控えるようにしなければならず、レジャー用途で利用している人が多いキャンピングカーは、直接、その用途を制限されることになった。

 

さらに、近隣エリアを目的地にするようになったオーナーは49.2%で、その行動範囲がコンパクトになっているのが分かる。県をまたぐ移動が制限されたこともあり、遠くへ行くことがはばかられ、オーナーの行動が消極的になったと言わざるをえない。

 

しかし、3密を避ける場所を目的地にするようになったなど、キャンピンカーだからこそ、制限された環境下であっても、旅を楽しめたともいえる。例え、それが近場であったとしても、旅をする楽しさを多くのユーザーが感じていたことは容易に推測できる。

 

図4

 

 

■キャンピングカーが災害時の備えに
普段はレジャー仕様として利用していても、災害が発生した時、そのキャンピングカーの特性が役に立つことがある。生活するための設備が整っており、シェルターとしての空間を確保できるからだ。また、現代のライフラインとも言える電源の確保も大きなポイントと言えるだろう。

 

そんなキャンピングカーの機能性が災害時に活躍するかをキャンピングカーユーザーに聞いてみたところ、99.2%の人が活躍すると答えた。ほとんどの人が、いざという時にキャンピングカーの活用を認識していることが分かった。(図5)

 

図5

 

 

■調査概要
【ユーザーアンケート調査の概要】
調査対象:「くるま旅クラブ」会員のキャンピングカーユーザー11,315人(2020年12月現在)<回収2,407人/回収率21.3%>
調査方法:アンケート専用WEBページ上でアンケートを行い日本RV協会事務局が集計
調査項目:41項目
調査期間:2021年1月15日~2月28日
【キャンピングカー業界調査の概要】
調査対象:日本RV協会員のキャンピングカーメーカーおよび販社113社<回収107社/回収率94.7%>
調査方法:アンケート用紙を郵送し、返信を日本RV協会事務局が委託した調査機関にて集計
調査項目:141項目
調査期間:2020年12月末日~2021年1月末
※同データにおいては協会非会員事業者による登録・販売数は含まない

 

■キャンピングカー白書2021概要
書籍名:キャンピングカー白書2021 ユーザーと業界の現在
発行:一般社団法人日本RV協会 事務局
発行日:2021年6月1日
価格:5,500円(税込)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。