日本が、過去と未来を共存させつつ今日も伝統を保ち続けるのと同じく、ブガッティも〝タイプ57アトランティック〟〝タイプ41ロワイヤル〟〝タイプ35〟などを融合させた新作トゥールビヨン(Tourbillon)を生み出した。今回は、そんな同車が日本各地を訪れた後、大阪と東京の販社で、その勇姿を当地のファンへ披露された。その参考価格は380万ユーロ(日本円約6億5000万円)〜。納車は2026年の予定だ。
トゥールビヨンは次世代骨格となるT800カーボンコンポジットを新たな構成素材として採用。フロントとリアのフレームは低圧薄肉アルミ鋳造と3Dプリンターによる構造ブレースが採用されたことで、より軽量かつ高剛性となった。
搭載されるパワートレインは、コスワースとの共同で設計・開発された8.3リッターV型16気筒自然吸気エンジン。これに2つの電気モーターを備えたフロントe-アクスル。1つの電気モーターをリアアクスルに組み付けたハイブリッドスタイル。
このICEで1,000馬力、電動モーター側で800psの合計1,800馬力を発生。電動モーターのみによる航続距離は60kmとなっている。搭載バッテリーは8ooV。開発車両は納車を視野に目下テスト段階にあり、ハンドメイドによる製品組み立てはモルスハイムのブガッティ・アトリエで行われる。
さて今年トゥールビヨンが旅した日本の各地は、古木と穏やかな街道が印象的な栃木。日本独特の伝統を讃えた橿原神宮。また、かつては江戸と呼ばれ、今も世界の最先端を牽引し続ける街・東京など。同社によると、それらのどの地域も先駆性と創造性が融合しており、どこに訪れても可能性の限界を押し広げる場所であったという。それはトゥールビヨンの先駆的なクルマづくりと響き合うとした。
今回の日本への旅についてブガッティのクリストフ・ピオションCEOは、「日本とブガッティは、互いに尊敬し合う相思相愛を大きく超えた存在です。実際、日本では既に25台以上のブガッティがデリバリーされ、当社にとっても事業戦略上、重要な国となっています。この度は何事にもこだわりを持つ日本のブガッティユーザーへ対して、当社の最新モデルをご覧頂く機会を提供できたことを心より嬉しく思います」と述べた。
対して〝ガーデン シティ〟とも称されるシンガポールは、緑豊かな自然と高層ビルが隣り合って建ち並び、自然の静けさと都会の活気が調和した街。そんな都市を象徴するザ フラートン ベイ ホテルは、古いものと新しいものの融合を反映しており、トゥールビヨンの訪問の地に相応しい場所だとした。
もとよりV16 ハイブリッドパワートレインを搭載し、精緻な設計思想に裏付けられたトゥールビヨンは、ブガッティの新たな幕開けを象徴するものであり、そのクルマづくりは、創業者エットーレ・ブガッティ氏の信念〝比較できるものがあれば、それはもはやブガッティではない〟を体現していると説明した。
当地に於ける挨拶でピオションCEOは、「シンガポールで、トゥールビヨンが芸術作品として受け入れられ、精度、芸術性、先進的なデザインとエンジニアリングに対する当地に於ける我々のクルマに対する全ての評価が、トゥールビヨンとの繋がりを非常に意義深いものにしました。この地で、当社の熱烈なファンに、ブランドの新時代を紹介する機会を得られたことを誇りに思います」と結んだ。