BlackBerry Limited(以下BlackBerry)は2月12日、同社のリアルタイム組み込みハイパーバイザー製品の最新版、「QNX® Hypervisor 2.2」の提供開始を発表した。
組み込みシステムにおいて統合化とコスト削減を実現
メーカーや組み込みシステムベンダーが、「重要度が混在したシステム」や「異なる動作環境を持つ複数のシステム」を単一のハードウェア・プラットフォームに統合する際には、柔軟性と拡張性が欠かせない。
こうした際にQNX Hypervisor 2.2を使用することで、設計時に高度な柔軟性と拡張性を実現し、さらに鉄道やロボットのコントローラ、車両のデジタルコックピット、バッテリー制御ECUなど、さまざまな組み込みシステムについて、初期の開発コストと長期的な所有コストの両方を削減することができるという。
そんなQNX Hypervisor 2.2は、QNX® Neutrino®リアルタイムOS(RTOS)7.1をベースとし、入力制御、スケーラブル・ベクトル拡張(SVE)、暗号化、セキュリティ強化など、最新のシリコン拡張をサポートしている。
さらに、ゲスト起動前にクリティカルシステムを高速起動したり、優先順位に基づいてハードウェアリソースとデバイスを共有する機能も提供できる。またVIRTIOの拡張版をさらに追加して共有デバイスのサポートを強化することもでき、これと同時にエントロピーのリソースを追加する機能も拡充させられる。
QNX Hypervisor 2.2は、開発チームに堅牢で信頼性の高いハイパーバイザードメインを提供。この結果、AndroidとLinuxのディストリビューションの実行が可能となる。スケーリングにも対応しており、システム設計者は、仮想マシン上でソフトウェアを実行するか、ホストドメイン上で仮想マシンと一緒に実行するかを選ぶことができる。
そうした柔軟性により、機能面やパフォーマンスを損なうことなく、AndroidとLinuxをSoCに追加できると同時に、システムの複雑性を軽減できる。
加えてミッションクリティカルなアプリケーションは、優先順位のスケジューリングに基づき、ホストドメイン サービス(バックエンド)をAndroidとも共有できるため、ゲストの動作を正確に制御できる。
従ってBlackBerry QNX Hypervisorのすべての製品と同様に、システム設計者は、ゲストとデバイスの分離・隔離を完全に制御し、QNX® Momentics Tool Suiteを通じてハイパーバイザーの運用に関して深い洞察を得ることができる。
こうした仕様についてBlackBerry QNXの製品/戦略部門バイスプレジデントであるGrant Courvilleは、「BlackBerry QNXは、数十年に渡り、様々な業界でミッションクリティカルな組み込みシステムをサポートしてきた実績があります。
さらに今回のQNX Hypervisor 2.2の提供開始により、組み込みソフトウェア設計者や開発者は、当社の安全性と信頼性の高いハイパーバイザー・ソフトウェアを引き続きご利用頂けるようになると共に、VIRTIOなどの共有デバイスやシリコンの標準規格の進化に合わせたBlackBerry QNXの仕様を踏まえて、自社のシステムに統合させることができます」と話している。