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2021年1月7日【新型車】

BASF、2020年の自動車のカラーレポートを発表

NEXT MOBILITY編集部

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BASFのコーティングス事業本部は1月7日、「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート2020」を発表した。レポートでは、自動車のカラーパレットがこれまでにない方法でシフトしていることを示し、世界中の組立ラインから生まれている幅広い有彩色を明らかにしている。

ある地域ではブルーやイエローのようなさまざまな色合いが増加している一方で、他の地域ではレッドやバイオレットが、無彩色が圧倒的に多い中で、存在感を示している。カラー領域の拡大により、カラー分布全体が2019年よりも拡張している。一方、カラー傾向の変化にもかかわらず、ホワイト、ブラック、シルバー、グレーといった無彩色はおなじみのパターンをたどり、生産車の大半に塗装されている。

 

このレポートで引用しているデータは、過去数年に比べて自動車の総生産台数が減少していることを示している。これには、自動車メーカーが新型コロナウイルスのために、操業停止を余儀なくされた時期も含まれる。世界的な感染は自動車業界と世界に、深い影響を及ぼしている。

 

 

■欧州、中東、アフリカ(EMEA):色彩の多様性の拡大
欧州、中東、アフリカ(EMEA)は、有彩色の世界的な動きに追従している。2020年には、欧州、中東、アフリカ(EMEA)の新車の約11%がブルーに塗装され、最も人気のある有彩色になった。バイオレットは市場に新規参入し、多様性をさらに高めている。他の有彩色も人気を集めており、特に小型SUV市場の成長に伴い人気が高まっている。

 

多様性の一部は、色合いの多様性に由来する。自動車メーカーは160色以上の異なるブルーを2020年に欧州、中東、アフリカ(EMEA)の自動車に使用し、グレーは二番目に多い140色であった。どちらの色域も、70色のホワイトよりも多様であった。

 

無彩色では、ホワイトが依然として市場の28%で首位であり、グレーとブラックが続いている。

 

「カラーバリエーションは自動車のサイズによって変わります。たとえば、中型SUVに独自の特徴を与えるバイオレットは、小型や大型SUVにはあまり見られません。」とEMEAの自動車向けカラーデザイン責任者であるマーク・グートヤールは述べている。 「イエローはその逆で、非常に小型と非常に大型の両方に見られますが、中型には見られません。これらは、セグメント全体に現れたり消えたりする特定の固有なカラーの位置づけです。」

 

 

■北米:予想通りに、ブルーが増加
北米の自動車購入者は有彩色の選択肢が少ないからといって、有彩色の乗用車、トラックやSUVを選択しなくなったわけではない。北米では、自動車カラーとしてブルーがレッドを抜いて人気を集めた一方で、ベージュとブラウンはリストから消えている。そのため、この地域では、他の有彩色として一定量残っているのはグリーンのみとなる。

 

ブルーの色合いはよりエレガントであると見なされ、これまでベージュやブラウンを選んでいたであろう購入者は、ブルーやグレーに移行しているとみられる。BASFのデザイナーたちは、このようなことが起こることを予測しており、2016年にはすでに、ブルーについて「今後数年で市場シェアを獲得する自動車業界の主要なカラーの方向性」と述べている。自動車のデザイナーは、カラーを開発する際に3~4年先のモデルを見据えることが多く、市場は予測どおりに展開しているという。

 

「私たちが目にしている鮮やかな色には、興奮することがたくさんあります。」と南北アメリカのデザイン責任者であるポール・チョーニーは述べている。「3~4年前に予測したように、ブルーは脚光を浴びています。私たちは、この重要なデザイン領域で、色相と質感の可能性を高めるいくつかの美しいエフェクトと顔料を使用しています。」

 

 

 

 

■アジア太平洋:ブラックとグレーの増加と、鮮やかなカラーの出現
アジア太平洋地域は、世界最大の自動車生産量を誇り、世界的なカラー人気の縮図である。それぞれの地域で異なる一方で、アジア太平洋地域の好みは世界的なデータを反映し、その鮮やかな色は有彩色に他の地域で起きていることをを反映している。

 

ホワイトは今でもこの地域で最も人気のあるカラーで、生産される自動車の約48%に塗装されている。また、ブラックとグレーも3年間のトレンドを経て上昇し続けている。

 

総数はそれほど多くはないものの、ブラウン、グリーン、バイオレットの人気は一貫している。これらのカラーは最も人気のあるホワイトには及ばないが、現在のところ、アジア太平洋地域のカラーに圧倒的な多様性をもたらしている。

 

「アジア太平洋地域の人々は、自分の自動車のカラーを選ぶことを本当に楽しんでいます。カラーは非常に人間主体なものであり、柔軟で、自由で、地域とその人々の多様性を表しています。」と、アジア・パシフィックのデザイン責任者、松原千春は述べている。

 

 

 

 

■南米:保守的な消費者はより保守的なカラーを選択
南米でレッドやブルーのような色は、特にスポーティーな自動車で個性を表現しようとしている自動車購入者の間では、依然として特別なカラーである。さらに重要なのは、市場が無彩色を好むことだ。

 

歴史的に、南米の自動車購入者は、より伝統的で派手さのないカラーを選んできた。他の地域と同様、ホワイトが圧倒的に人気で、OEM車の約39%を占めている。グレーとシルバーの人気は他の地域よりも高く、それぞれ18%。無彩色の中で最も人気のないブラックは12%となる。そして無彩色は全体で87%を占めている。

 

他の地域とは異なり、有彩色の首位として際立つレッドは9%。また世界中で人気のブルーは、市場の2%にすぎまない。オレンジが新たに出現しているが、ブラウンは安定し、ベージュはほとんどなくなっている。

 

「世界の他の地域で流行している傾向に、南米は遅れています。ここは文化的に色とりどりの面がある大陸ですが、人々は自動車に関してはより保守的になる傾向があります。」と、南米自動車塗料の地域ビジネス・マネジメント担当ディレクター、マルコス・フェルナンデスは述べている。

 

 

■「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート2020」
https://www.basf.com/jp/documents/ja/news-and-media/news-releases/2021/BASF_Color_Report_2020_Press_Kit_JP.pdf

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。