JATO Japan Limitedは10月7日、2021年8月欧州新車販売台数速報を発表した。
JATO Dynamicsが調査した欧州26カ国のデータによると、2021年8月の新車販売台数は再び減速し、前年同月比18%減の71万3,714台となった。これは、8月期として2014年以来の低水準であったが、当月の減少は、2021年の第2四半期に記録された成長を相殺する程ではなかった。年初来累計台数は昨年同期の719万2,839台を上回り、809万5,419台となっている。
・8月の欧州市場の販売台数は18%減少し、2ヶ月連続で2桁の減少が続く
・BEVおよびPHEVは8月として過去最高のマーケットシェアに
・ダチア サンデロ(Dacia Sandero)が再び欧州で最も多く販売された車となった
JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「今回の半導体不足は、新型コロナウイルスの影響に悩む自動車メーカーにとって大きな痛手となっている。新車の生産問題や納車の遅れは販売に悪影響を及ぼし、ディーラーでの供給不足により、多くの消費者は中古車を探すか、単に購入を延期せざるを得なくなってしまった。通常であれば、消費者はフェラーリの新車なら何ヶ月も待つことを妥当と考えるかもしれないが、今は普通のモデルでも同じように遅れている」と話している。
EVが唯一の成長のけん引役であることに変わりはない
こうした困難にもかかわらず、ピュアEV(BEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の販売台数は伸び続けている。当月、需要が急激に高まったことで、月次マーケットシェアは21%と過去2番目に高い数値を記録した。当月販売された15万1,737台は、前年同月比で61%増となり、1月からの累計台数は132万台となった。
Munozは「需要の増加にはお得なキャンペーンやインセンティブが大きく貢献しているが、より魅力的なモデルが市場に投入され、消費者がEVのメリットを認識するようになったことで、購買習慣が根本的に変化している」と述べている。
当月、低公害車の販売台数がディーゼル車を上回った。2020年の同時期には、低公害車はディーゼル車を15万8,300台下回っていたが、当月は低公害車がディーゼル車を1万100台上回っている。
特に、フィアット 500、プジョー 208、ヒュンダイ コナ(Hyundai Kona)、オペル/ボクスホール コルサ(Opel/Vauxhall Corsa)、キア ニロ(Kia Niro)の電気自動車への需要が高く、また、欧州で最も売れた電気自動車であるフォルクスワーゲン ID.3の結果も優れていた。
ダチア サンデロが再び首位に
ダチア サンデロ(Dacia Sandero)は、欧州で最も多く販売されている車としての地位を守った。在庫の問題があるにもかかわらず、3代目となるこのモデルはダチア社にとって真の成功を収めている。1年を通して導入されたキャンペーンも手伝い、1月から8月の年初来累計では欧州で5番目に売れた車となった。
フォルクスワーゲン ゴルフは前年比38%減となったが、年初来累計では依然として首位を維持している。また、ダチア ダスター(Dacia Duster)は4%増の4位となりトップ5に入った。そのほか注目すべきモデルは、EVモデルが後押ししたフィアット500、ヒュンダイ ツーソン(Hyundai Tucson)、プレミアムランキングで首位となったBMW 3シリーズなどがある。
BEVランキングでは、8月に発売されたばかりの待望のテスラ モデルYがトップ10入りを果たした。また、フォード マスタング マッハE(Mach-E)もトップ10入りしている。
全体のランキングでは、フォルクスワーゲン ID.3が15位となり、オペル/ボクスホール モッカ(Opel/Vauxhall Mokka)が4,900台、フォルクスワーゲン ID.4は4,600台であった。シトロエン C4が4,600台、クプラ フォーメンター(Cupra Formentor)が再び4,300台以上と好調で、ルノー アルカナ(Arkana)が4,341台と続いている。