VWグループジャパン社長兼アウディジャパン・ブランドディレクターのマティアス・ シェーパース氏
アウディ日本の年頭記者会見、25年にBEV比率35%(1万台超)を目指す
アウディジャパンは1月17日、東京都内で年頭記者会見を開き、2025年に日本でバッテリー電気自動車(BEV)の販売比率35%を目指すと表明した。台数では1万台以上を目標に設定。
あわせてコンパクトSUVセグメントに初導入のEV「アウディQ4e―tron」シリーズを発表した。アウディのBEVである「e―tron」の第3弾となるQ4e―tronシリーズは今秋以降に、日本で発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)
アウディジャパンは1月1日付でフォルクスワーゲングループジャパンと統合し、フォルクスワーゲングループジャパン傘下の1ブランドとして再スタートした。これは独フォルクスワーゲングループが世界的に進めているグループ編成の一環。
これに伴ってフォルクスワーゲングループジャパン社長兼アウディジャパン・ブランドディレクターに就任したマティアス・ シェーパース氏は日本で「アウディはプレミアムEVブランドNo1を目指す」と強調した。
すでにフォルクスワーゲングループジャパン傘下の4グループは日本でもBEVを導入済みだが、多くが「1千万以上の車両価格」と高額であり、販売に占めるEV比率もごくわずか。2021年でいえば2%に満たない。
こうした中で、今回発表したQ4e―tronシリーズはコンパクトSUVセグメントに導入する初めてのEVモデルであり、車両価格も599万円からと、本格的なEV市場向けの実質的な第1弾ともいえるモデルだ。
シェーパース社長は「EVは一部の裕福な人だけのクルマではない」と述べたうえで、同車の投入を機に2024年までに日本で「BEVを15モデル以上導入する」と表明した。
加えて、EV普及に向けては「消費者の不安を解消する」などのライフスタイルを考察する必要性を示し、「日本では、特にディーラーと一緒に取り組んでいきたい」との考えを強調した。
日本では利用時のカーボンニュートラルを目指す活動に取り組んでいく
インフラ面では、急速充電器の設置を加速する。系列ディーラー50か所に設置済みの低速タイプを速やかに高速タイプに充電器に置き換えるとともに、全店舗へ急速充電器の設置を進める。さらにフォルクスワーゲングループジャパン傘下の4ブランドが活用できるのも強みとし、そこで急速充電器の導入を目指す店舗数は250店舗以上にのぼるとした。
アウディは内燃機関搭載の新型モデル導入が2025年に最後になることを計画しており、26年からはすべての新型モデルがEVになるとの見通し。2030年には内燃機関のモデルを終了する方針だ。
ドイツのアウディ本体では生産から車両販売、リサイクルまでカーボンニュートラルを目指すミッション「ゼロ」の活動を進めているが、生産部門を持たない日本では「利用時のカーボンニュートラルを目指す活動に取り組んでいきたい」とも述べた。
アウディジャパンが目指す日本でのBEVの導入目標は、2022年にまず7%の販売比率へと高めたあと、23年に15%に、24年に25%の販売比率へとステップアップさせる計画。
同時に発表したコンパクトSUVセグメントのe―tronはアウディ「Q4e―tron/Q4スポーツバックe―tron」。同シリーズはEV専用プラットフォーム「MEB」を採用した最初のモデル。
同プラットフォームは内燃機関の搭載スペースを必要としないため、全長4・59メートル、全幅1・87メートル(欧州値)とQ3とQ5のあいだに位置するコンパクトなボディサイズながら、インテリア全長はQ5を凌ぐ室内空間を実現しているのが特徴。
パワートレインは、システム電圧400ボルトのテクノロジーを使用した総容量82キロワットアワーの駆動用バッテリーを前後アクスル間の床下に搭載する。
リヤアクスルに1基の電気モーターを搭載し、後輪を駆動する。駆動用電気モーターは最高出力150キロワット、最大トルク310ニュートンメートル を発揮する。
一充電当たりの走行距離は516キロメートル(欧州値)で、急速充電はチャデモ規格の125キロワットに対応。例えば125キロワットで5%から80%までの充電時間は38分(理論値)となっている。