最高出力333PS、最大トルク420Nmで、更にパワフルが増した
アウディAGは4月9日(独インゴルシュタット発)、S3のエクステリア&インテリアデザインをリファインした上でエンジン出力も向上させ、ステアリング特性やサスペンション設定も見直すなどにより大幅なアップグレードを施した上で発表・発売する。まずは新型Audi S3 Sportback及びSedanを、2024年第2四半期には発売する予定という。
新型Audi S3は、製品のアップグレード施策の一環で搭載した2.0TFSIの出力を23PS、トルクを20Nm向上させた。その結果、最高出力333PS、最大トルク420Nmと、これまで以上にパワフルになった。そのパフォーマンスは、0~100km/h加速で4.7秒、最大トルクは2,100から5,500rpmの幅広い回転域で発生。最高速度は電子リミッターにより250km/hに制限されている。
トランスミッションも、よりスポーティな設定とした。7速Sトロニックのチューニングを変更したことで発進トルクがアップ。これまでより素早いスタートを切ることが可能になった。
これは、クラッチ構造のクラッチパックをより強く押し付けることによって実現したもので、トランスミッションをDに設定すると、フルロード時(アクセル全開時)の変速時間が半減し、パーシャルロード時のエンジン回転数が上昇するため、優れたスロットルレスポンスを発揮できるようになったという。
一定速度での走行およびパーシャルロード域(アクセルを踏み込んで徐々に負荷がかかっていく領域)の低中加速時に於いても、プリロード(ブースト圧が事前に充填)されたターボチャージャーが一定の回転数を維持する。また、オーバーランモード時にスロットルバルブが開くことによって、パフォーマンスを向上させることができている。
トルクスプリッターとダイナミックプラスモードで操舵が俊敏に
併せてAudi RS 3に続き、Audi S3にも駆動トルクを配分するスプリッターが搭載されたことで敏捷性と安定性が向上した。これは左右のリヤホイールの間で駆動トルクを完全に可変配分するもので、このトルクスプリッターは各ドライブシャフトに組み付けられた複数のディスククラッチを電子制御することにより、運転状況と選択されたドライブセレクトモードに応じて、コーナー内側と外側のリヤホイール間でのトルク配分を最適化する。
ドライブセレクトには、快適性重視からダイナミックな設定まで、幅広い走行フィーリングを示す6つの異なるモードを設定。またアップデートにより従来のドライブモード(オート、コンフォート、ダイナミック、インディビジュアル、エフィシェンシー)に加えて、新しいダイナミックプラスモードも加わっている。
この新しいモードを選択すると、トルクスプリッターがリヤアクスルおよびコーナー外側のホイールに可能な限り多くの駆動トルクを配分するため、コーナリング時のステア特性を強くサポートする。
またこのドライブセレクトをスポーツモードにした場合、エレクトロニックスタビリゼーションコントロール(ESC)が自動的にアクティブになる。その結果、ESCシステムが適度に介入することにより、摩擦係数が異なる路面で、よりエモーショナルなドライビングエクスペリエンスが得られる。
更にエンジンとトランスミッションをダイナミックプラスモード専用に設定変更することもできる。このモードを選択すると、先のダイナミックモードと比較して、2.0 TFSIのアイドリング回転数が200rpm増加して1,300rpmとなり、初期駆動時のパフォーマンスが更に向上する仕組みだ。
ハンドリング性が向上したことで限界走行時の挙動も改善した
サスペンションでは、より硬めの特性を備えたウィッシュボーンと、よりネガティブキャンバーを可能にする新しいピボットベアリングにより、ステアリングレスポンスの俊敏さと、ラテラルコントロール(横方向の制御)面のフレキシブル性が向上した。
これにより、コーナリング時のグリップとダイナミクスが強化され、アップデートされた車体に最適化されたプログレッシブステアリングも相まって、Audi S3はより正確にコーナーを曲がることができる。操舵角によって変化するステアリングレシオは、中間ポジションでよりダイレクトな設定となっているためハンドリング精度も増している。
Audi S3シリーズには、Sスポーツサスペンションも標準装備される。これによりAudi A3と比較すると車高が15mm低くなる。トルクスプリッターと各アウディドライブセレクトモード専用に調整されたアダプティブダンパーも備えているため、オプションのSスポーツサスペンションを選択した場合、車高が15mm低くなる設定だ。
新世代のESCも採用された。コーナリング中のコーナー内側のホイールに、わずかにブレーキをかけるホイールセレクティブトルクコントロールも進化を遂げ、トラクションが向上すると共に、減速時の挙動も改善されている。
併せてAudi S3専用のサスペンションコントロールシステムの設定により、コーナー進入時のダイナミズムとドライビング特性も向上。ハンドリング性が向上したことで限界走行時の挙動も改善した。
新たに採用されたブレーキシステムにより制動力も高まる
ちなみにAudi S3は18インチ(225/40)タイヤを標準装着。加えて2種類の19インチ(235/35)タイヤもオプションで設定される。これらにはドライコンディション時のハンドリングを最適化し、ブレーキング時の挙動を向上させるパフォーマンスタイヤも含まれている。
今回のモデルでは新たに、タイヤ銘柄にファルケン製スポーツタイヤがラインナップに加わった。このタイヤは、特にドライコンディションで高いグリップ力と安定性が与えられており、あらゆる速度域でハンドリング特性がより精緻になった。
その他の足まわり機能ではブレーキの強化により絶対性能自体も高まっている。アップグレードされたAudi S3には、フロントアクスルに大径のベンチレーテッドブレーキディスクを装備。これは視覚的なハイライトにもなっている。
例えば18インチのスチールブレーキの直径は357mm、厚さは34mmで、以前よりも4mm厚くなった。フロントブレーキの2ピストンキャリパーも新たに採用され、大きなパッドと広いディスクの摩擦面積により、熱や負荷に対するポテンシャルが増し制動力が大きく向上した。
エクステリアデザインもAudi S3ではアップグレードされ、よりスポーティで引き締まった外観を備えている。六角形のフレームレス シングルフレームは、よりフラットでワイドな形状で、特にAudi S3では、ディストリクトグリーン、アスカリブルー、プログレッシブレッドを含む、新しいメタリックカラーによって表現力の豊かさが増している。
選択可能なランニングライトシグネチャーで表現力も豊かに
このようなエクステリア面の改良についてアウディAGのデザイン責任者を務めるセザール ムンターダ氏(Cesar Muntada)は、「Audi S3では、ライティングのカスタマイズがより高度になり、いつでも好きな時に表情を変えることができます。
そんなライトシグネチャーは、このモデルの自信に溢れたスタイルと俊敏な走りを様々な方法で解釈したものです。これは、それぞれのライトシグネチャー毎に個別にデザインされたカミングホーム/リービングホームのシナリオにも当てはまります。テールランプも新しいリヤライトデザインを採用して、カミングホーム/リービングホーム機能の演出が大きく一新されています。
印象的なエクステリアデザインの刷新に合わせてインテリアの印象も、これまで以上にシャープになりました。インテリアでは、シフターのデザイン、エアベントから、ファブリックの装飾インレイ、新しいインテリアライトに至るまで数多くの新しい搭載機能を確認して頂けるでしょう。これらすべての要素は、細部に至るまで高い精度で仕上げられており、このモデルらしい精緻さを強調しています。
S3に標準装備されるアンビエントライトパッケージプラスは、シフターの手前、ドア、足元の収納コンパートメントに、照明によるアクセントを追加しています。今回のアップグレードにより、センターコンソールとカップホルダーにもコンツァーライトも装備されました。
インテリアでは多様なオプション装備の選択肢が用意される
更に注目すべき新しいデザインエレメントの1つは、300回のレーザーカット加工が施されたフロントドアのファブリックパネルです。このフロントドアパネルは、パネル内に設けられた光源によって5色に照らされます。
なおこのライトは、車両のロック時とロック解除時にも点灯します。そんな照明付きファブリックパネルは乗員に対してS3のユニークさ印象付けることでしょう。
人工皮革のアームレストと2ゾーンコンフォートのエアコンディショナーも標準搭載しました。フラットボトムの3本スポークのレザーステアリングホイールには、マルチファンクションボタンと、クロームメッキが施された新しいステアリングホイールパドルが装備されます。
一体型のヘッドレストと立体的なサイドボルスターを備えたスポーツシートは、コーナリング時に横方向のサポートを強化。Dinamica(ダイナミカ)マイクロファイバー、アルミニウムやカーボンファイバーに加えて、新しいテクニカルテクスチャードファブリックも、装飾オプションとして選ぶことができます。
ユーザーは車両購入後でも、快適機能をオンラインで追加できる
その他、S3には数多くのコネクテッドサービス、オンデマンド機能、アプリストアが提供する高度なコネクテッド機能も備えています。その操作を行える10.1インチのタッチディスプレイに加えて、アウディバーチャルコックピット、ワイヤレス充電機能を備えたスマートフォントレイのすべてが標準装備です。
センターコンソールに2つのUSB C充電ポートを設置したのに加え、標準でリヤシートにも同様の2つのポートが設置されています。オプション機能にも多くの選択肢があり、MMIナビゲーションプラス、アウディコネクトのフルサービスなどがディスプレイを介してアクセスすることができます。
このようなアプリ群は、ユーザーのスマートフォンを経由することなく、車両のインフォテインメントシステムに直接インストールでき、ユーザーは、ボイスコマンドを介してアプリを操作することができます。
オンデマンド機能を介して高い柔軟性も達成されています。ユーザーは車両購入後でも、マイ・アウディアプリを介して、最大5つのインフォテインメントおよび快適機能をオンラインで追加することができようになっています」と結んでいる。