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2024年8月5日【新型車】

アウディA6eトロン、一充電航続距離の新基準を受け継ぐ

坂上 賢治

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A6 e-tronは、高度なエアロダイナミクスにより高効率に磨きを掛けた

 

アウディは8月5日、A6 e-tron Sportback / Avantの発売を明らかにした。このアッパーミッドサイズのモデルは、PPEプラットフォームを採用した2番目のモデルとして、一充電航続距離の基準を受け継いだモデル。

 

同時に、PPEプラットフォームでフラットフロアコンセプトを採用した初のモデルでもある。そんなA6 e-tronは、装備レベルに応じて第2世代のバーチャルエクステリアミラー、ボタンを押すと不透明になるパノラマガラスルーフ、リヤのライティングリングなど、多くの先端機能を提供。ドイツ本国でAudi A6 e-tronとS6 e-tronは、SportbackとAvantのオーダーは2024年9月から可能になるという。

 

AUDI AGのゲルノート デルナーCEO(Gernot Döllner)は、「A6 e-tronは、SportbackとAvantとして、初の純粋な電気自動車です。その印象的なデザインは、製品ポートフォリオの中で最高のエアロダイナミクスを可能にし、その結果、効率を向上させます。700kmを優に超える長距離と卓越したドライビングダイナミクスにより、eモビリティへの熱意を刺激するでしょう」と述べた。

 

 

そんなA6 e-tronの最も大きな特徴は、低く力強いボディが土台となってダイナミックなルーフラインを支えているところにある。またブリスターは、彫刻的で筋肉質な形状で四輪駆動車であることを訴えている。またエアロダイナミクス性能は優れており、Cd値0.21を実現。Avantも0.24のCd値を達成している。

 

総電力量100 kWhのリチウムイオンバッテリーは最長720kmを実現する

 

搭載されたバッテリーは、新開発のPPE用のリチウムイオンバッテリー(12モジュール、180個のプリズマティックセル、総電力量100 kWh 正味容量94.9 kWh)により、一充電航続距離は最長756km、A6 Avant e-tronは最長720kmを実現する。

 

A6 Sportback / Avant e-tron performanceモデルは、システム出力270 kWで、アウディらしいスポーティなドライビングエクスペリエンスを提供。A6 e-tron performanceは、0から100 km/hまで5.4秒で加速し、最高速度は210 km/h。S6 e-tronはシステム出力370 kW(ローンチコントロール時405 kWを発揮する。

 

 

S6 Sportback e-tronとS6 Avant e-tronは、0から100 km/hまで3.9秒で加速し、最高速度は240 km/h。一充電航続距離は、S6 Sportback e-tronが最長675km、S6 Avant e-tronが最長647kmとなっている。

 

A6 e-tron performance(270 kW)は後輪駆動、S6 e-tron(370 kW)はquattro四輪駆動で、SportbackおよびAvantが用意される。併せて対象とする市場により、後輪駆動またはquattro四輪駆動の別のモデルが後日発売される予定だ。

 

この800Vテクノロジーと標準のDC充電能力最大270 kWにより、Audi A6 e-tronでは短い時間による充電も可能となった。

 

 

A6 Sportback e-tron performanceは、適切な充電ステーション(High Power Charging、HPC)において、10分間の充電で310kmの一充電航続距離を得ることができる。充電状態(SoC)10%から80%の充電が21分で可能だ。

 

高い充電性能の鍵は、高精度な予測サーマルマネージメントにある

 

こうした充電性能に於ける鍵となるのは、インテリジェントな高性能予測サーマルマネージメントにある。Plug & Charge機能により、互換性のある充電ステーションでは、充電ケーブルを接続するだけで車両が自動的に認証され、充電プロセスが開始され、充電プロセスが完全に自動化される。

 

また400Vの充電ステーションではバンク充電も利用できる。これは、800Vバッテリーが400Vの2つのバンクに分割されており、同時に135 kWまで並行して充電が可能となるもの。標準の家庭用充電器では最大11 kWでのAC充電が可能であり、22 kWのAC充電オプションも後日提供される予定だ。

 

 

併せて高度な回生システム(回生ブレーキ)も、Audi A6 e-tronの効率と一充電航続距離を向上させる重要な要素となっている。このシステムは日常のブレーキプロセスの約95%に対応。Audi A6 e-tronは最大220 kWを回生する。

 

なお回生はフロント・リヤ両アクスルで行われるが、軽度の減速は効率化のためにリヤアクスルで行われる。また、より強力な電動モーターにより、後軸での回生ブレーキ性能も向上する。

 

加えてプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)の一環として、従来のe-tronモデル同様に統合ブレーキシステム(iBS)が大幅に強化され、前後アクスル5に、機械的な摩擦ブレーキと電動モーターによる回生ブレーキのブレーキブレンディング(最適組み合わせによるブレーキング)が可能となった。

 

これまでのe-tronと同様、Audi A6 e-tronには2段階の回生オプションがあり、ステアリングホイールのパドルで調整できる。コースティングも可能で、ドライバーがアクセルペダルから足を離すと車両は抵抗なく惰性走行する。

 

 

もう一つの仕様として「B」ドライブモードがあり、このモードでは「ワンペダルフィーリング」に近い、強力な回生減速を行なわれる。先の状況を見越す予測運転スタイルでは、ほとんどすべての減速を「B」ドライブモードで、ブレーキペダルを踏まずに制御することができる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。