NEXT MOBILITY

MENU

2017年11月14日【テクノロジー】

旭化成、欧州の低炭素社会への実証プロジェクトに参画

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

アルカリ水電解システムを用いた水素関連事業の展開へ

旭化成のヨーロッパ統括会社である旭化成ヨーロッパは、欧州地域の低炭素社会実現の実証プロジェクトに参画する。今日、世界で低炭素社会の実現に向けた取り組みがある。それらは、火力発電所や化学プラントから排出されるCO2を回収して貯蔵したり、石油代替燃料等として利用するなどがある。(坂上 賢治)

 

AKEUが拠点を置くドイツでは、温室効果ガス排出量の大幅削減を原子力発電全廃と並行して進めるために、総エネルギー消費に対する再生可能エネルギーの導入目標を設定。

それを達成する手段の一つとして、再生可能エネルギーで発電した電力を水素、さらにはメタンやメタノール等に変換して交通分野等での燃料として活用する。またその原料として産業環境から排出されるCO2を活用することが検討されている。

一方、旭化成ではイオン交換膜と食塩電解システムの技術・ノウハウを生かして、再生可能エネルギーで発電した電力から水素を製造。低コストでエネルギー変換効率が高いアルカリ水電解システムの開発に取り組んでいると云う。

そこでAKEUは、EUの研究プログラムの一環であるALIGN-CCUSプロジェクトへ参画し、このアルカリ水電解システムを提供することで、他のヨーロッパパートナーと協力してドイツでの実証を進めていくことになった。

計画は2017年から2020年までの3年間で、6つのワーキングパッケージに分かれてCO2回収技術の最適化・コスト削減、大規模CO2輸送、オフショアでの安全なCO2地下貯蔵、CO2活用技術の開発、CCUSの社会的啓蒙のサポートを検討していく。

そうしたなかAKEUが参画するワーキングパッケージ(WP4)は、産業環境で排出されるCO2の回収、水素製造、他エネルギーへの転換、およびこれらトータルプロセスの設計と構築に重点を置いていく。

また、回収されたCO2を水素と反応させて製造されるメタノールや、DME等の燃料としての潜在的な市場需要を確認。適用可能性および環境性能も評価する。

旭化成では40年以上のイオン交換膜法食塩電解事業で培った技術を基に、低コストで水素を製造するアルカリ水電解システムの開発を進めてきた。

例えば神奈川県横浜市に設置した実証機サイズの大型水電解システムでは、10,000時間を超える安定的な稼働を実現している。これは再生可能エネルギーを水素に変換するエネルギー効率は90%と世界最高レベルであり、1万キロワットの電気を使い、常温常圧で1時間当たり2,000m3の水素を製造でき、これは2年間燃料電池車が走行できる量に匹敵する。

旭化成では、「はアルカリ水電解システムの技術開発にますます磨きをかけ、美しい地球環境を保つため、クリーンな環境エネルギー社会の実現に貢献してまいります」と結んでいる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。