自動運転車を見据えた技術のひとつとして、旭化成ではドライバーの脈拍を顔から認識し、ドライバー自身の運転に切り替える前の健康状態チェックに活用できるカメラ脈拍センシング「Vital Bit」を開発。
5月23日〜5月25日に開催された「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」(神奈川県・パシフィコ横浜)で披露した。
この技術が搭載されたのは、同社製作の電動自動車「AKXY(アクシー)」。
同社が考える「自動車の安全・快適・敢行への貢献」をテーマとした製品やテクノロジー等を盛り込んだデモカーだ。
それらの中で、カメラ脈拍センシング技術は、パッセンジャーシート側のダッシュボードに設置された大型モニター内に搭載。
自動運転で助手席側に着座しているドライバーが、自身で運転するセルフドライブに切り替える際に、「Vital Bit」がドライバーの脈拍を計測し、安全に運転することが可能かどうかを判断するという想定だ。
実際に、記者が乗車して試してみたが、搭載する専用カメラがドライバー(記者)の顔を映し出し、センサーが無意識状態での脈波をセンシング。
その結果が画面左下に表示されるという仕組みだ(記者の検査結果は一応正常?)。
同社では、今後この技術を進化させて、血中酸素や血圧、LF/HF(ストレス指標)等の計測も可能にすることを研究中。
それらが実現すれば、ドライバーの健康状態をより正確にチェックすることが可能となり、自動運転車への採用が現実的になってくる。
また、他にも2018年6月から施行される「旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正」に対する対応策にもなりそうだ。
これは、バス・タクシー・トラック事業に従事する企業に対し、睡眠不足の乗務員を乗務させることを禁止する等の規則強化。この技術が活用できれば、ドライバーの健康状態を運行前に確認することができ、重大な事故を未然に防ぐことが可能となるはずだ。
同社では、ドライバーの安全管理に貢献する技術として、他にも様々な自動車関連分野で「Vital Bit」の活用を検討中だ。