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2024年2月13日【新型車】

AML、FRスポーツの旗艦モデル「新型ヴァンテージ」誕生

坂上 賢治

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アストンマーティン APAC リージョナルプレジデントのグレゴリー・アダムス氏

 

アストンマーティンは2月13日(英国現地での発表は2月12日)、東京都内に報道陣を募り新型Vantage(ヴァンテージ)を発売すると発表した。車両販売価格は2,690万円。日本国内ーのデリバリーは今年第2四半期以降を予定している。( 坂上 賢治 )

 

ちなみにヴァンテージは、74年間続く同ブランドの歴史上に於いて、最もドライバーオリエンテッドかつ最速モデルとなるもの。

 

 

純粋にパフォーマンスを楽しみ、高揚感が感じられる爽快なドライビングフィールが享受できるクルマとして開発された。その特徴は、かつて何世代にも渡って、スポーツカーファンを虜にしてきた特徴、例えば、圧倒的なパワーを備えつつ、きわめて鋭いハンドリングが愉しめる、精緻にチューニングされたFPシャシーなどがある。

 

そんな新型ヴァンテージは、昨年発売されたDB12 Coupe(DB12クーペ)とVolante(ヴォランテ)に続くモデルとなる。それはアストンマーティンの次世代スポーツカーとして立ち位置を更に強化・浸透させるブランドであり、それはウルトラ・ラグジュアリースポーツGT、SUV、ハイパーカーだけでなく、モータースポーツの最高峰となる各世界選手権における主導的役割と並び、パフォーマンス・スポーツカー市場でアストンマーティン・ブランドの地位をより固めるための役割を担う。

 

 

今回の新型ヴァンテージは、レースで実証されたDB2のエンジン・パッケージを受け継いだクルマとして、ヴァンテージの名称が初めて使用された1950年にまで、その源流を溯ることができる。

 

その後の1964年にシリーズモデル名としてヴァンテージが初めて採用され、Vantage(ヴァンテージ)のロゴタイプのバッジを付けたDB5の高性能バージョンが新たな旗艦車両としてファンから認識されるようになった。

 

 

それ以降の1970年代になってからは、単独モデル名としてのヴァンテージが使われ、その名称は歴代のアストンマーティンのモデル・ラインアップ中で、比類のないパフォーマンスを発揮するパフォーマンス・スポーツカーとして、モータースポーツ色の強いモデとしてその名を欲しいままにしたきたと言えるだろう。

 

そんな歴代ヴァンテージのなかでも、脈々とアストンマーティンが刻んできた111年の歴史に於いても、最も戦闘的なエッジの効いたモデルとなっている。

 

実際、今回のヴァンテージは、かつての耐久GTレーサーとしての歴史を背景に、2025年のル・マン24時間レースでの勝利を目指すマシーンとして誕生している。

 

 

そんな装いも新たにしたヴァンテージについてアストンマーティンAPACリージョナルプレジデントのグレゴリー・アダムス氏は、「ハイパフォーマンス・カーの世界は180度の転換期に入っており、伝説的なブランドを築き上げてきた資質に忠実であり続けるということが極めて重要になっています。

 

我が社でヴァンテージの名を持つモデルには、それに相応しい内容が与えられていなければなりません。だからこそ今回のモデルこそが最も純粋で、歴代最高の絶対性能を持ち、かつ歴代最高峰のパフォーマンスが発揮できなければ、存在意義がありません。

 

そして今回、他のクルマでは味わうことのできない性能を持つハイパフォーマンス・スポーツカーを作り上げることに成功しました。また独特の主張のあるスタイリング、一新されたインテリア、最先端のインフォテインメントを与えられた同車は、あらゆる面に於いて世界最高水準のピュア・スポーツカーであると言えるでしょう」と述べた。

 

 

手作業で組み立てられた4.0リッターツインターボV8エンジン(最高出力665PS・最大トルク800Nm)を搭載した新型ヴァンテージは、アストンマーティン史上最速を誇る。

 

そのパワーユニットは、カムプロファイルの変更、圧縮比の最適化、タービンの大径化、冷却の強化など、広範囲に渡るチューニングを施したことで、これまで以上にシャープで感情に訴えるエンジンとなった。ラジエーターには、インタークーラー専用の冷却水回路が設けられ、メイン・ラジエータには補助クーラーを2機追加することで、熱容量増加への対策が図られた。

 

そんなエンジンに8速ZFオートマチック・トランスミッションを組み合わせて、最高速度は325km/h・0ー100km/h加速3.5秒を記録。最終減速比(3.083:1)を上げ、トランスミッション・シフト・キャリブレーションを行うことでレスポンスと楽しさを最大限に愉しめるチューニングを施した。

 

ドライブモードはこれまでの「SPORT」「SPORT+」「TRACK」に加えて、「INDIVIDUAL」「WET」が追加されている。INDIVIDUALでは、シャシーコントロール、ステアリング、エンジン、エキゾーストを好みの組み合わせで設定可能にしている。

 

 

足まわりでは、21インチ鍛造アロイホイールにフロント275/35R21(103Y)、リア325/30R21(108Y)サイズのヴァンテージ専用開発となる「AML」コード記載のミシュラン「パイロット・スポーツ S5」が装着される。またアジャスタブル・トラクション・コントロール(ATC)システムを使用することで、ホイール・スピンの制御量を最適化された。

 

ブレーキシステムは、温度管理と耐フェード性を改善するべくドリルド(穴開け)加工を施した鋳鉄製400mmフロントディスクと、360mmリアディスクを標準装備。オプションでカーボンセラミックブレーキも選択可能だ。ブレーキブースターも従来のモードと比較して改良が施されて、瞬間的な制動力の確保と共にレスポンス両立も図られた。

 

対してエクステリアは、ボディサイズで30mm拡幅されてワイド化。ボディサイズは、全長4,495×全幅2,045×全高1,275mm(全幅はミラー折りたたみ時)、ホイールベースは2,705mm、車両乾燥重量は1,605kg。

 

グリル両側のバンパー脇に冷却用インテークを追加することで、フロントエンドの顔つきがシャープ化。エアロダイナミクス機能も追加されてダウンフォース量の拡大により高速走行時の安定性も向上した。

 

またアストンマーティンらしさを打ち出すアイコニックなサイド・ストレークは、変更されたベントにシャープに収まる形状となっている。標準装着の21インチ鍛造アロイ・ホイールは、拡大されたホイール・アーチに綺麗に収まった。

 

初採用となったフレームレス・ドアミラーと、存在感のあるドアハンドルが採用され、エキゾースト・テールパイプが組み込まれたリア・バンパーも大きく拡幅されたことで前方同様、後方からのルックスも大きく変化した。

 

 

インテリア面ではオーディオパートナーのBowers&Wilkinsが開発したサラウンド・サウンド・システムを採用。インパネに組み込まれているマルチスクリーン・システムは、10.25インチ・ピュア・ブラック・タッチスクリーン、コネクテッドテクノロジーを搭載したネットワーク接続機能も備える。

 

ナビゲーションシステムには、世界中のあらゆる場所を正確に示せる「WHAT3WORD」による目的地入力に対応。ワイヤレスのApple CarPlayとAndroid Autoもサポートしている。

 

シート表皮は、しなやかで香りのよいBridge of Weir製レザーが用いられ、ドライビングポジションは、ドライバーに最適化されたエルゴノミクス技術を活かした快適な機能性が付加されている。トランク容量は235L~436Lが確保されている。

 

用意されるボディカラーは21色、購入者はピンストライプ、ピンストライプ/リップスティック、またはピンストライプ/リップスティック/リア・インフィルを選択して追加することもできる。

 

アストンマーティンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライヒマン氏は新型ヴァンテージについて、「当社は、それぞれの車種毎に独自の立ち位置を想起させるモデルに恵まれています。

 

一方でヴァンテージほど高揚感とダイナミズムさを呼び起こすモデルは他にはありません。私たちは、スーパーカーのOne-77から新型ヴァンテージのインスピレーションを得ていますが、そんな同車では車名が示す独創性をより鮮明に表現したいと考えました。

 

 

そのプロポーションが与える強い個性は、持ち前のドライビング体験を介して、ヴァンテージらしさ、長年ヴァンテージが示してきた優れたパフォーマンスを的確に伝えられるものに仕上がっています。

 

加えて他のアストンマーティンシリーズと同じく、「Q by Aston Martin」パーソナライゼーション・サービスを選択頂くことで、更なるビスポークやカスタマイズも検討できるようになります。

 

そんな新型ヴァンテージは。2024年第1四半期から生産が開始される予定で納車は2024年第2四半期以降から始まる見通しです。アストンマーティンの次世代スポーツカーとして2モデル目となる新型ヴァンテージは、ピュアなスポーツカーらしさを求めるドライバーへ対する新たなベンチマークとなります。それほどヴァンテージは、真のドライバーオリエンテッドなクルマとして設計されています」と結んでいる。

 

 

NEW VANTAGE TECHNICAL SPECIFICATION
ボディ
· 2ドア・ボディスタイル(2+0シート)
· 押出接着アルミニウム・ボディ構造&複合素材パネル

 

エンジン
· 4.0L V8ツインターボ
· 過給インタークーラー
· フロント・ミッドマウント・エンジン、後輪駆動
· 最高出力:665PS / 656bhp / 489kw @ 6,000rpm
· 最大トルク:800Nm / 590 lb-ft @2,750 – 6,000rpm
· 最高速度:202mph / 325km/h
· 0-60mph:3.4秒
· 0-62mph / 0-100km/h:3.5秒
· 圧縮比:8.6
· 可変デュアル・カムシャフト・タイミング
· フルCNC加工燃焼室

 

トランスミッション
· リア・マウント、8速オートマチック・トランスミッション
· トルク・コンバーター
· エレクトロニック・リア・リミテッド・ディファレンシャル
· カーボンファイバー製プロペラシャフト

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。