ここで翻ってみると今後、自動車産業の未来は、旧来の消費者のようにローンを背負って、自動車を購入する消費行動は確実に衰退すると見られている。
またこれに入れ替わるように相次いで「MaaS」や「CASE」環境が本格化した場合、車両利用の実態は「借りて使用するのが当たり前」になり、もはや過去の「買って・乗る」という消費スタイルに逆戻りすることはない。
自動利用のスタイルが変わる時、自動車産業の規模と収益モデルも大きく様変わりする
しかしだからといって自動車産業の可能性が先細るかと言えば、決してそうではないのだ。未来の世界では、1台あたりの自動車の走行距離はむしろ大きく伸びることになるからだ。
というのは、日本国内という限られた枠内ではなく、世界レベルでの自動車利用環境がどうなるかを考えるとよく判る。今後は途上国の躍進により、現時点で自動車を充分に利用出来ていない消費層が、積極的に自動車を利用することになるからだ。
それは決して夢物語ではなく、今の途上国に於いても高額と考えられるスマートフォンを利用している消費層が、現地で日を追う毎に拡大している。彼らの消費レベルが今後、順当に上がっていけば自動車購入ではなく、自動車の利用自体が可能なレベルになること自体は「自明の理」だからだ。