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2018年11月30日【オピニオン】

トヨタ自動車と仏PSA、欧州での協業関係を加速

坂上 賢治

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写真はトヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)工場の全景

 

 加えて今回のストーリーで「第3拠点」にあたるチェコ所在の生産工場の話が浮上する。

このチェコ拠点は「トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)」で、現時点では「グループPSA」も株式を保有しているが、TME(トヨタ欧州NV/SA)がTPCA株式の全株式を取得し、来る2021年1月からTPCAはTME(トヨタ欧州NV/SA)の完全子会社になる。

 

なおこの話は今回突然、降って湧いた話ではなく、トヨタとグループPSAが2002年に締結した「小型車共同生産の合弁契約」時に含まれていた「持ち株比率の見直し」に係る条項の実行に過ぎない。

 

 

TMEが買収するチェコ工場は、トヨタにとって欧州での8拠点目の生産拠点となる

 

とは言うもののトヨタ自動車側から見た場合、双方の合弁という格好ゆえに、ここまでの相手先ブランド車の販売状況を鑑み、協業体制に一区切りを付けたいとする意味合いもありそうだ。

 

なお元来、中欧のチェコという国家は、永らく社会主義経済下にあったことで先進工業国に水を開けられていたが、そもそも伝統的な工業国であるから働き手の機械工学に係る素養が高い。また労働コストが安いことも魅力だ。

 

ただ西欧の先進市場とは異なり、中欧地域ではトヨタ単独の市場占拠率は低く、当初トヨタの単独進出は困難だった。そこでグループPSAとの対等比率(トヨタが50%、グループPSAが50%)で同国コリーン市(Kolin)にTPCAを設立した経緯がある。

 

ちなみに対等比率によるTPCA開設のお陰で、傘下の系列部品メーカーだけで構築してきた垂直統合型のトヨタ生産方式(TPS)は大きく進化している。

 

トヨタグループからの部品調達という慣習を崩し、中継ぎ商社を介した水平分業体制により、当地で新ジャスト・イン・タイム(JIT)方式を構築。コンチネンタルを筆頭に既存系列外企業との連携が育まれた。またこれを契機に日系企業のチェコ進出が加速するなど、当地へも社会的恩恵をもたらした。

 

このTPCAの現場では現在、欧州市場向けとして純粋に開発されたエントリーレベルの小型乗用車「トヨタアイゴ(Aygo)」「プジョー108」「シトロエンC1」を生産しているが、今後、同拠点の全株式を保有することになるTME(トヨタ欧州NV/SA)は、今後もこれらのモデルの生産を継続。当地に於ける生産人口と雇用確保のレベルを維持していく予定だ。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。