ABボルボ傘下のボルボ・トラックス( Volvo Trucks )は欧州中央時の5月22日、世界最大の建築資材企業ホルシム( Holcim Ltd. )に対し、来たる2030年迄に1,000台のBEVトラック( FH&FM型 )を提供する意向書に署名した。( 坂上 賢治 )
同契約はボルボ・トラックスのBEVビジネスにとっても、史上最大規模の受注案件であり、最初の130台は2023年と2024年に納入される予定だという。
車両提供先のホルシムは、スイス・ザンクト・ガレン州に本社を置くセメントメジャー。スイス証券取引所とユーロネクスト・パリに上場。世界60か国以上に自社拠点を置き、約60,000人の従業員を介して90カ国以上の建設系企業へ、セメント・骨材・コンクリート等を販売している。
今回は先の通り、来たる2030年迄にホルシム傘下の欧州事業所全体に、1,000台のボルボ製BEVトラックを配備するというもの。最初の130台のボルボFHおよびボルボFM電動トラックは、2023年第4四半期から2024年の期間内にフランス・ドイツ・スイス・英国等のホルシム欧州事業拠点に順次配備される。
この大型契約を受けてボルボ・グループのマーティン・ルンドシュテット社長兼CEOは「大幅なCO2削減を実現させるには、長期的な協力と、社会に大きな変化をもたらすための信頼関係が不可欠です。当社は、今事案がホルシムと長年築いてきたパートナーシップの成果であると同契約合意を誇りに思っています」と述べた。
対してホルシムのヤン・ジェニシュ会長兼最高経営責任者(CEO)は「ネットゼロへの移行にはバリューチェーン全体に亘る緊密な連携が必要です。
私たちはABボルボと共にBEVトラックを介して欧州の物流環境を脱炭素化し、2030年迄にゼロエミッション大型トラック保有30%を達成するべく、この計画を積極的に推し進めていきます」と話している。
なお両社は共に、民間部門に於ける野心的な気候変動対策を推進させていく、ファースト・ムーバーズ・コアリション( FMC / First Movers Coalition )の創設メンバーでもある。
両社の今合意によって、一例を挙げると既存のボルボFHディーゼルトラック(長距離輸送車/直列6気筒13Lの大型ディーゼルターボを搭載。標準仕様は最高出力460PS/1400~1800rpm、最大トルク234kgf・m/900~1400rpm)1,000台が、グリーン電力を使用するボルボFH型BEVトラックに置き換わる。その結果、年間最大50,000トンのCO2が節約されると謳われている。
ちなみにこのCO2削減量は、ボルボ・トラックス独自の環境フットプリント算出方法の Environmental Footprint Calculator が根拠となっている( これは7%のバイオディーゼルを使用する総重量44トンの車両が、年間で80,000kmの距離を走行した時のCO2排出量を比較する/結果、同算出では平均23リットルのCO2排出量を削減させられると仮定している )。